脳内i-pod・サウンドトラックコーナー繁忙記

『大激闘』#13、14、15『大都会PART II』#04、05

第二十二回

佐藤 洋笑

大な人の波が、ココロを鈍くさせる。


4月24日

化石の荒野“10 秒に1発撃ち、1分に一人死ぬスーパーポリスアクション”『大激闘 マッドポリス'80』#13「スカイライダー大作戦」(脚本:永原秀一 監督:長谷部安春)を観る。

以下、予告より抜粋。

――保守党幹事長誘拐さる! 事件の陰に、ジャパンマフィアの凶悪な犯罪計画が!決死の救出作戦に挑戦するマッドポリスたち。難攻不落、天然の要塞を舞台に、マフィア対マッドポリスの24時間の攻防戦が華麗に展開!――

これ、もう刑事ドラマじゃないよ!って感想ももう何度目でしょうか。今回も予告の大フロシキに一切偽りなし。クールに良識を踏みにじる長谷部安春監督とメインライター永原秀一のタッグがついに実現。ヘリコ動員しての幹事長探索。そして、舞台となる採石場へのハングライダーによる潜入など、めったに観れないシーンが続出。そして、件の採石場=難攻不落、天然の要塞を舞台に、特撮ヒーローよろしくで展開される爆破&銃撃戦=24時間の華麗な攻防!恒さんはマシンガンを乱射する大木正司をダンプで轢殺し、辰っちゃんは丸大ハム兼ジャッカー電撃隊長の田中浩に自ら銃を貸与し正当防衛として射殺する無軌道ぶり。まあ、無頼なスタッフ、キャストが表向き“刑事”としてアウトローの姿を描くのがこの当時のアクション・ドラマの常(この辺、良識ある人が職業としてオマワリを描く現在とのノリの違いが如実ですね)ですので、驚くこともないのでしょうが、いくらなんでもココまでストレートに描いた番組は前代未聞でしょう。ちなみに本話、『暴走パニック大激突』『狂った野獣』『0課の女 赤い手錠』と並ぶ我が家のパーティ・ムーヴィー。ホロ酔いの若き友人達に見せると大概皆、感動して帰っていきます。

というわけで、視聴者のドギモを抜く長谷部安春の演出が相変わらず快調な傑作でした。数年後、長谷部監督が恒さん主演で撮った角川映画『化石の荒野』もこのぐらいにハジけていればもっとオモシロかったのになあ。不思議なもんで、長谷部監督の傑作って、序盤や最終回などの目立つ時期には少なく、いつも番組の中盤ぐらいの地味な時期に飛び出しますよね。周囲の期待を重荷に感じるお人柄なのでしょうか。

とまれ、闘えマッドポリス! 来週も、撃て!殺せ!ブチ壊せ!


4月25日

大都会PART II』#04「警官嫌い」(脚本:永原秀一、監督:舛田利雄)を観る。

3話立て続けにアクション巨編が続いたところで、今回は設定編再びでしょうか。黒岩君以下の捜査課の面々、妹との関係、新たにロマンスを感じさせる渋谷病院のナース丘みつ子らの雰囲気描写に力が置かれた印象。「警官嫌い」というタイトルが象徴的ですが、気の置けない仲ながらも職業上での対立が常にあり、緊迫感のあるドラマを提示する『大都会PART II』の世界観を手際よく紹介。

また、ゲストのチンピラNo1林ゆたかや、深海怪獣ジグラの手先・大映のセクシー・ダイナマイト八並映子らの好演もあり、中々楽しめる一編でした。日本デザイン専門学校や、渋谷のクロスタワー(当時は東邦生命ビル)など、代々木~渋谷あたりに土地勘のある人は楽しいロケーションも見所の一つでしょう。

それと、今回は選曲・鈴木清司氏の音楽の使い方が実に印象的。他の番組でもそうですが、極端にエコー処理などしているのでしょうか、同じ曲でもまったく違う聞こえ方がしてきてギョっとする瞬間が多々あります。『大都会―闘いの日々―』でも、伊部晴美とゼロ座標と別人が担当した曲をまるで一曲のように編集してみせたりと、見ようによってはかなり大胆な仕事をされるのは存じ上げていましたが、今回は特にすごい。まあ、一概に良し悪しを言えませんが、こうした音楽の使い方は、意外と現代風のセンスかも知れませんね。


5月1日

特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.3【初回生産限定】“10秒に1発撃ち、1分に一人死ぬスーパーポリスアクション”『大激闘 マッドポリス'80』の#14「ハンター・キラー」(脚本:柏原寛司 監督:田中秀夫)を観る。

ジャパンマフィア上層部直属の殺し屋部隊・ヒット・チームが実業家兄弟を標的にするとの情報を得て、彼らの身辺をガードするマッドポリス。だが、顔も素性も知れないヒット・チームの襲撃は留まることを知らず、実業家兄弟もMPへの不信感をあらわにする。ついに兄弟をアジトにかくまう決断をするMPだが、それこそヒット・チームの真の狙いだった――。

ゲスト・北見敏之が、ろくすっぽ台詞を発さず、ヌメっとした感触で好演。この人が『特捜最前線』の#107「射殺魔・1000万の笑顔を砕け!」で演じたタイトルロールも大好きでした。尊大な三上真一郎も味があります。

脚本は柏原寛司氏。要塞攻略アクションの快作#8「破壊」以来の登板ですが、今回も絶え間なく起こるドンパチの果て、爆弾サスペンスになだれ込む手堅い仕事ぶり。登場する銃器の弾丸の数とかへのこだわりもニヤっとさせます。今回も殺し屋が弾切れ起こしたところを集中射撃で追い詰め、爆殺する痛快さ。

演出は田中秀夫。『快傑ズバット』『宇宙刑事』『スケバン刑事』などの東映ヒーロー物でおなじみの人ですが、そうしたキャリアならではのいい意味での外連味というかハッタリズムというかが全編に漲り、スイマセン、私はこういうのが大好きなんです。

とまれ、闘えマッドポリス! 来週も、撃て!殺せ!ブチ壊せ!


5月2日

『大都会PART II』#05「明日のジョー」(脚本:斎藤憐、監督:村川透)を観る。

『大都会―闘いの日々―』では、倉本センセ、永原秀一氏とともに、作劇の中心を担った斎藤憐氏が『PART II』に初登場。

と、言うことからもわかるとおり、今回は前作を彷彿とさせる濃ゆい人間ドラマが炸裂。ゲスト・水谷豊の演じるボクサー志願の青年がヤクザの手先となり手を汚す様を、苦労人である黒岩君の生い立ちと絡めて描きます。村川監督得意の舞台調の照明演出も時折かまされ、実に効果的。クライマックス、昔『嵐を呼ぶ男』のリメイクなどで取った杵柄か、水谷スパーリングをつける黒岩君=渡哲也の雄姿、それを受けての水谷の哀しい独白は中々魅せます。相変わらず老刑事・丸山米三がちょっとオイシイ役割を担っているのも斎藤氏らしいかと。また、今後『大都会』シリーズのセミレギュラーとして悪役を演じまくる片桐竜次の初登板としても記憶してしかるべきかと。

しかし、『―闘いの日々―』ならば追い詰められて早々に自首してそうな水谷が窮鼠と化して凶行に及ぶアタリ、やはり『PART II』らしいですな(笑)。

ちなみに、水谷が思い悩み、凶行に及ぶシークエンスに突如としてかかる電子音楽は、冨田勲 大先生の『火の鳥』収録の「カスチェイ王の魔の踊り」(作曲:ストラヴィンスキー)。クラシック好きで、かつ当時先端の音楽にもアンテナ張ってた村川監督らしい選曲でしょう。チト鳴らしすぎのような気もしましたが(笑)。

こちらの冨田勲 先生のホームページで試聴可能です。

なお、今後の放送予定はこちら


5月8日

“10秒に1発撃ち、1分に一人死ぬスーパーポリスアクション”『大激闘 マッドポリス'80』の#15「005便で来た狙撃者」(脚本:高田純 監督:田中秀夫)を観る。

恒さんを暗殺すべく、海外より招き入れられた凄腕スナイパー・岩城滉一。姿の見えない強敵と恒さんの狙撃合戦。

今回は、ド派手なバイオレンスは控えめに、ジリジリしたサスペンスで魅せます。メイン・ゲスト=岩城滉一は、田村正和同様、若き日は吹けば飛ぶようなチンケな若者を得意としていたのに、突然変異的に渋いオジサンの役を独占している稀有な役者ですが、今回は、一時期の反町隆史(顔もそっくり)に相通じる軟派ヴァージョン&クールな狙撃者ヴァージョンとで見事に顔を使い分け、強敵の印象を強めます。まさに過渡期ならではの名演。

まあ、軟派ヴァージョンのはまりっぷりに比べ、狙撃者ヴァージョンでは明らかに台詞まわしが硬く、腹から声が出ていないのですが――それもまた味です。

それにしても本場・海外のマフイアに"こちら側の目"と評された恒さん。問答無用でカッコいい!!今回の再放送をきっかけにして、"マッドポリス・ブーム"が日本全土を制覇していることは、明らかにこの番組における恒さんのファッションを意識した、ハンチング帽を被ったおしゃれで可愛らしいうら若いお嬢さんたちが都内各地に急増していることが証明しています。なのに!そんな、歴然たる事実を前にしつつも、番組のほうはボチボチ佳境。最終回1話前でございます。ジャパンマフィア、壊滅なるのか?

とまれ、闘えマッドポリス! 来週も、撃て!殺せ!ブチ壊せ!

なお、今後の放送予定はこちら

最終回は、巨匠・舛田利雄登板! 屋久島ロケ敢行の「人間狩り」です。

化石の荒野
化石の荒野
出演:渡瀬恒彦,川津祐介,
浅野温子,夏八木勲,田中明夫
監督:長谷部安春
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2008/05/12/15:41 | トラックバック (0)
佐藤洋笑 ,脳内i-pod
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