『大都会』#21、#22。『大激闘』#1
この世界はマボロシだよと、誰かにオレに言ってくれ――。
そんな気分に襲われた昼下がり。
ま、この世の営みの大半は茶番劇。いつもハードなバーレスク。
1月18日
アパートの二階にすむDVアベックの騒音に耐え切れず、引越しを決意し、仮契約を済ました日。スコブルすがやかな気持ちで『大都会―闘いの日々―』#21「スクープ」(脚本:永原秀一 峯尾基三、監督:山本迪夫)を観る。
チンピラが幹部・睦五郎を射殺したとして、城西署に自首してくる。偶然にも事件をいち早く知ることになった事件記者・裕次郎は、部下を現場に先回りさせる。そこで負傷した睦を発見した記者達は、睦を匿う。組から足を洗おうとしたがために組織からも警察からも追われる睦がもたらす貴重なスクープ。代償として裕次郎は、逃亡の手助けを約束する――。
永原脚本ならではのハードタッチが魅力的ではあるが、さすがにチト無理のある展開だったような気が…しかし、警察なんて末端の人間を助けてくれないという作者達の確信が全編を貫き、ほのぼのと世間に対する怨念が伝わってきて飽きさせない。
追い詰められた睦と愛人の末路に、やはり永原脚本の『蘇える金狼』の一場面など思い起こすと、70年代邦画アクション好きにはたまらないかと思います。
1月24日
“10秒に1発撃ち、1分に一人死ぬスーパーポリスアクション”『大激闘 マッドポリス'80』が再度のリピート開始。#01「マフィアからの挑戦」(脚本:永原秀一 監督:関本郁夫)に、懲りることなく、飽きることなく、またも付き合ってしまう。
メインタイトルから威勢よく吹っ飛ぶマフィアの手下ドモに感嘆しているとあれよあれよと話は進み、第一話から最終回のようなテンションの中、ジャパンマフィア幹部・中尾彬が無差別虐殺を展開し、マッドポリス初代キャップ・土屋嘉男は殉職し、我らが渡瀬恒彦が二代目キャップを襲名。クライマックスには廃車工場にて、志賀勝がダイナマイトをブン投げ、片桐竜次がマシンガンを乱射し、中西良太がバイクで疾走しつつ手榴弾を投擲。ジョン・ウー作品を完全に先取りした火薬炸裂しまくりの大戦争が繰り広げられる。
関本監督は、初期の二話のみ監督し、鬱病を理由に番組のローテーションから外れているのですが、撮影時には相当な躁状態だったのでしょうな。とまれ、また半年、ジャパンマフィアを無秩序に殺戮するマッドポリスの雄姿にココロ躍らせたく思います。
闘えマッドポリス!来週も、撃て!殺せ!ブチ壊せ!
なお、番組の放送予定はこちら。
1月25日
『大都会―闘いの日々―』#22「スター」(脚本:柏原寛司、監督:山本迪夫)を観る。
ひき逃げを起こして逃走中のやくざ・高橋長英。多額の金を横領し、組からも追われる彼の妹は渡の妹・仁科明子もファンの人気ディスク・ジョッキー佐野厚子だった。金はどこに流れていたのか。砂上の楼閣のようなスターの座に佐野が上ったのには裏があった――。
アクション派・柏原氏にしては珍しいウェットな展開のような気もしますが、深夜放送といった往時の空気を持ち込むのはやはりらしい作劇かと。『特捜最前線』の本拠地であり、サントラ・ファン御用達の名物ショップ・すみや渋谷店(今年、惜しくも閉店!)も入っていた渋谷東邦生命ビル(現・クロスタワー)でのロケーションも楽しい。前回に続き、裕次郎の存在がいつも以上にアクティヴに見えるのは、『太陽にほえろ!』のメイン監督でもあった山本監督ならではの味でしょうか。『大都会』ならではの暗黒テイストには少々欠ける回でしたが、それでも妹や裕次郎のケアも空しく、ドスでメッタ突きにされる高橋の姿に目頭を熱くせずにはいられません。そこにテーマ曲が盛り上がって警視庁~新宿の空撮となりエンド・ロール。
なお、番組の放送予定はこちら。
次回はもっと暗い気分に浸れる倉本脚本の#23「山谷ブルース」が待ち構えています。お楽しみに!
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