第65回カンヌ国際映画祭 監督週間アートシネマアワード(最高賞)受賞
第85回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
NO ノー
http://www.magichour.co.jp/no/2014年8月30日(土)より、[東京]ヒューマントラストシネマ有楽町
[大阪]テアトル梅田 [神戸]シネ・リーブル神戸ほか全国順次ロードショー
CMは世界を変えられるのか!?
若き広告マンが恐怖政治に挑んだ、政権打倒キャンペーンの行方は――
世界の名だたる映画祭や映画賞で高い評価を受け、公開された国々で軒並み大ヒットを飛ばしているチリ映画『NO』が遂に日本上陸!
本作はパブロ・ラライン監督の長編『トニー・マネロ』、『検死』に続くチリ独裁政権3部作の完結編。1988年ピノチェト政権末期、長きにわたるアウグスト・ピノチェト将軍の軍事独裁政権に対する国際批判の高まりの中で、信任延長の是非を問う国民投票が実施されることになり、ピノチェト支持派「YES」と反対派「NO」両陣営による1日15分のTVコマーシャルを展開する一大キャンペーン合戦が行われる。ガエル・ガルシア・ベルナル演じる「NO」陣営に雇われた若き広告マンが斬新かつユーモア溢れる大胆なアイデアで、支持派の強大な権力と向き合い熾烈なメディア争いを繰り広げていく。
広告の力が社会に与える影響を観る者に問う、傑作社会派エンターテインメント映画が誕生した!
また、本作は実話を元にしており、撮影技法も当時の映像とドラマが巧みに融合していくことを狙い、ビンテージカメラを使用、実際の映像とフィクションをうまく交錯させて、作品の舞台である80年代を追体験するような演出効果に成功している。
1988年、ピノチェト独裁政権末期の南米チリ。
フリーの広告マンとして忙しい日々を送っているレネ・サアベドラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)のもとに、かねてから家族ぐるみの付き合いがある友人ウルティア(ルイス・ニェッコ)が訪ねてくる。ウルティアは反独裁政権の左派メンバーのひとりで、近く実施される政権の信任継続を問う国民投票の反対派「NO」陣営の中心人物であった。今回、投票までの27日間、政権支持派「YES」と反対派「NO」それぞれに1日15分のPR ができるテレビ放送枠が許され、広告やCM制作の責任者として新進気鋭のクリエーターであるレネに白羽の矢が立ったのだ。
政権が対外的に平等をアピールしているだけの出来レースと、気乗りしないレネだったが、次第にプロの広告マンとしてのプライドをかけて制作に取り組むようになっていく。
彼の作る資本主義の象徴のようなCMは、はじめ独裁政権下で弾圧をうけ迫害されてきた党員たちから非難されるが、明るい未来、喜び、そして希望を謳いあげる斬新でウイットに富んだ言葉や映像は国民の心をつかんでいく。
そんな風潮に焦りを感じた「YES」陣営たちは、賛成派の広告アドバイザーとして関わっていたレネの上司グスマン(アルフレド・カストロ)を広報責任者とし、強大な権力を使って「NO」陣営へ妨害と脅迫行為を繰り返し、押さえ込んでいく。
「YES」派と「NO」派の熾烈なCM合戦が繰り広げられ、いよいよ投票日がやってくる……。
『NO』は、パブロ・ラライン監督が2008年に、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』でジョン・トラヴォルタ演じるトニー・マネロに異様なまでの憧れを抱き、その人生を捧げた中年のダンス狂男を主人公に、チリ暗黒時代のドタバタを描いたダーク・コメディー『トニー・マネロ』で始めた、チリ独裁政権を振り返る3部作の最終章である。第2作『検死』(10)は、遺体安置所で働くカフカの小説の主人公を彷彿とさせる市職員が、隣に住むエキゾティックなダンサーに実らぬ恋をするが、彼女の失踪を調べるうちに1973年のチリ・クーデターの残虐な実態と対面することになる物語である。
パブロ・ラライン監督は「『検死』では独裁政権の起源を語りました。『トニー・マネロ』ではそれが最も暴力的になる瞬間を、そして『NO』ではその終焉を描きました。」と語る。「多分、私が最も興味を持つのは、暴力、モラルの崩壊、思想の歪曲などを映像的に追体験してみることです。ただその目的は、理解するというよりは、それに光を当てることです。」
実話をベースに、『NO』は、レネ・サアベドラという、独裁者アウグスト・ピノチェトを倒すために、斬新で活気ある選挙広告キャンペーンを任される主人公を生み出した。
「『NO』は弱小なものが強大なものを打ち負かすダビデとゴリアテの史劇ともいえる物語であり、上質のブラック・コメディーでもあります。」とは、プロデューサーで、ラライン監督の兄弟でもあるフアン・デ・ディオス・ララインの談。「広告ツールを使って社会改革を行った男の話です。」とパブロ・ララインは追加する。「だからこの話は、こんなにも斬新で同時に奇妙なのです。」
『アモーレス・ペロス』(00)、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04)、『バベル』(06)、『ジュリエットからの手紙』(10)、『俺たちサボテン・アミーゴ』(12)などで知られる国際的スター俳優ガエル・ガルシア・ベルナルは、子供の頃からの友人であり俳優のディエゴ・ルナと共に設立した映画の製作配給会社カナナ・フィルムズ(Canana Films)の経営者でもある。カナナは『トニー・マネロ』『検死』でもパブロ・ララインたちの製作会社ファブラを支援してきた背景がある。今作の『NO』で、ガエルが、自分と同じ政治感覚を共有するパブロ・ララインのカメラの前に立つことは、全くの自然な流れであったといえよう。
ガエルは語る「これは重要な映画です。あの(チリの独裁者が公正な選挙で拒否された)瞬間に成し遂げられたことは、人間の善性による最も重要で純粋な行いでした。民主主義は世界に存在したのです。」プロデューサーのダニエル・ドレイフュスは付け加える。「この映画は構成としてはクラシカルですが、この映画で私たちが語っていることは、世界中の観客に響くはずです。自由な市民生活は普遍的なテーマですが、それぞれの国民によって特別な意味を持つはずです。それぞれがそれぞれにNO MOREと伝えるべき何かを持っているし、何かを希求しているはずです。」
ラライン監督が言う。「これはとても特異な出来事ですが、普遍的でもあります。だから私たちはこの話にこんなに魅了されるし、誰もが理解できるのです。これを体験するためにチリ国民である必要はないのです。」パブロとフアン・デ・ディオスのラライン兄弟が映画の準備を始めた時、この作品がかつて経験したことのないような大きなスケールを必要とする映画になることに気づく。そこで彼らは出資パートナーを探し始める。LAをベースとし海外製作に興味を持つ若きプロデューサー、ダニエル・ドレイフュスとジョイントベンチャーを組み、脚本の開発を進めることになる。ダニエルは、US資本を入れた合作映画を目指しパーティシパント・メディア(Participant Media)に企画を持ち込む。パーティシパントのジョナサン・キング(上級副社長)は言う。「パブロ・ララインの前2作を見ておりファンでもあった。脚本は力強く、今日の世界情勢の重要なテーマである民主化を完璧に捉えていた。ガエルの主演が既に決まっているというし、出資を決めました。その後、すべては物凄い速さで進んだのです。」
ラライン兄弟と再度のコラボレーションとなったのは、『トニー・マネロ』『検死』に出演したアントニア・セヘルス(ベロニカ役)。他にも、グスマン役のアルフレド・カストロや、ラライン監督作品に多く出演しているマルシアル・タグレもアルベルト役で登場する。『検死』に出演したハイメ・バデルもピノチェト政権の大臣役で出演。ララインと初めての仕事となるのは、反対派「NO」陣営にレネをリクルートするウルティア役のルイス・ニェッコ、レネと意見がぶつかり合うカメラマン、フェルナンド役のネストル・カンティリャナ、レネとベロニカの息子シモン役のパスカル・モンテロである。
ラライン監督のもと集結したスタッフは、『トニー・マネロ』(08)でもタッグを組み、近年は『MyLast Round』(11)、『The Maid』(14)を手掛けた撮影監督のセルヒオ・アームストロング。編集はアンドレア・チノグリ(『Circumstance』(11))。セット美術のエステファニア・ラライン(ラライン兄弟とは血族関係はない。『My Last Round』のアート・ディレクター )。そして衣装のフランシスカ・ローマン(『The Maid』)。本編オリジナル・スコアの担当は、バンド「エレクトロドメスティコス(Electrodomesticos)」のヴォーカルとして有名なカルロス・セベサス(Carlos Cabezas)。
『NO』において、ラライン監督は時代を再生することに腐心した。アームストロングの協力を得て、彼は1988年の映像とマッチするものを2012年に撮影するために、ビンテージカメラを探して回った。彼は当時のニュースアーカイブ映像と撮影映像の違和感のない融合を目指したばかりでなく、それによって、24年前のキャンペーン時に実際に製作された多くのTVCMを作中に登場させることができたのである。
例えば、毎晩放映される反対派のニュースコーナー“No-ticias”( ※ニュースコーナー名“No-ticias”はスペイン語のニュース【noticias】の綴りに【no】が入っていることを利用したシャレ)の シーンでは、白髪のキャスターのクローズ・アップからスタジオの引きのシーンに変わると、スタジオ内のモニターにキャスターの映像がライブで映し出されている。どちらも同一の人物であるが、モニターの彼の髪は、クローズ・アップよりも白くはないことがわかる。モニターの映像はほぼ四半世紀前、実際に使われた「NO」番組内のニュースコーナー映像なのである。この パトリシオ・バニャードスというキャスターは、彼の政治観が独裁のそれとは異なっていたためブラックリストに載せられ何年にもわたってテレビ界から外されていた。彼は今、NO を支持する人々から資金の提供を受けて制作された27日間にわたるテレビ放送を任されて、視聴者の前に再び姿を見せた。
プロデューサーのフアン・デ・ディオス・ララインは、カメラのブレやフラッシュは意図的だと指摘する。「パブロはカメラが自然体であることが好きで、手持ちカメラを俳優と同じように出演者にしたのです。」一方、パブロ・ラライン監督はよりリアルであることを求めた。CMの耳にいつまでも残る歌やジングルは1988年当時のものであるし、コマーシャルの歌手、ダンサー、俳優陣の多くも当時のタレントたちである。また、ラライン監督の大勝利は、反対派の候補で1990年にピノチェトの後を継いで大統領となったパトリシオ・エイルウィン本人を出演させたことだ。ビンテージカメラで撮影し、2012年に祝祭を再現した場面と当時のニュース映像とを見事に融合させた。「自分でもどちらの映像か違いがわからないほどです。」とラライン監督は語る。
オリジナル戯曲:アントニオ・スカルメタ「国民投票」
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル,アルフレド・カストロ,アントニア・セヘルス,ルイス・ニェッコ
2012/チリ・アメリカ・メキシコ/スペイン語/カラー/スタンダード/5.1ch/118分
日本語字幕:太田直子/スペイン語監修:矢島千恵子/後援:チリ大使館
配給・宣伝:マジックアワー ©2012 Participant Media No Holdings,LLC.
http://www.magichour.co.jp/no/
2014年8月30日(土)より、[東京]ヒューマントラストシネマ有楽町
[大阪]テアトル梅田 [神戸]シネ・リーブル神戸ほか全国順次ロードショー
- 監督:セバスティアン・レリオ
- 出演:パウリーナ・ガルシア, セルヒオ・エルナンデス, マルシアル・タグレ, ディエゴ・フォンテシージャ
- 発売日:2014/09/03
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- 監督:カルロス・カレラ
- 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル, アナ・クラウディア・タランコン, サンチョ・グラシア, アンヘリカ・アラゴン
- 発売日:2014/11/05
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