SKIPシティ国際Dシネマ映画祭・短編初のSKIPシティアワード受賞!
カウンセラー
岡山メルパにて2022年1月21日(金)より 1週間上映!
名古屋シネマテークにて2022年1月22日(土)より 1週間上映!
神戸映画資料館にて2022年1月29・ 30日(土・日)限定上映!
ユーロスペース渋谷にて2022年 3月下旬より 2週間レイトショー上映
INTRODUCTION
42分間、究極の短編怪奇心理サスペンス
ある心理相談室に勤める心理カウンセラー・倉田真美は、妊娠6ヶ月目で産休前最後の出勤日だった。予定していた最後の相談者を見送ったあと、ある一人の女性・吉高アケミが予約なしでやってくる。やむなく「相談内容だけでもお聞きしましょうか」と伝えた倉田に、アケミは「……妖怪が見えるんです」と語り始める。謎めいた彼女の口から語られる暗い物語が、奇妙なことに聞いている倉田を妄想に駆り立て、不安の渦に堕としてゆく……。
『あれから』『SHARING』脚本、『おもちゃを解放する』『RIP』監督を手がけ、 2019東京フィルメックス新人監督賞・準グランプリ受賞経験を持つ酒井善三監督による短編映画『カウンセラー』。突如現れた相談者の話を聞くことになった心理カウンセラーが、想像を絶する奇妙な不安感に飲み込まれてゆく様を描いた本作は、製作開始前の段階からシナリオをネット上で公開した上で役者の募集/クラウドファンディングでの資金募集を実施し、約110万円の資金で製作。
主演を繊細な演技で観客に不安を伝播させる鈴木睦海(『やす焦がし』)、鬼気せまる怪演で新しい人物像を体現した西山真来(『夏の娘たち~ひめごと』 )が務める。本作はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて、短編映画では初のSKIPシティアワード受賞という快挙を達成。さらに2021年10月の下北沢トリウッドでの2週間上映ではその好評からアンコール上映が行われ、全国劇場での公開も順次決定されるなど短編自主映画としては異例の反響を呼び、今まさに注目すべきカルト的話題作になりつつある。
COMMENTARY
- 酒井善三の作る映画にはワンショット毎にアイデアがある。
そのアイデアに基づき、昨今流行りのナチュラルな演技とも、スタジオシステム全盛期のような作り込んだ演技とも、才能ある監督が陥りやすい抑制の美学や振り付け演出とも違った形で、俳優の芝居を撮ろうとしている。
その上で、観客の想像力にお任せしますといった思考停止=責任放棄をしない。
スティーブン・キングは、かつてホラー小説やホラー映画において、読者や観客に「扉の向こう」を想像させることがいかに有効か詳細に説きながら、自分はその扉を開けてみせると語った。
扉を開けて、その向こうに「いる」ものを見せる、と。
それでも読者や観客の想像力を奪わない、むしろ想像力を刺激するやり方がある。
キングの語るそのイバラの道を、酒井はいそいそと楽しそうに往く。
現実と妄想が交じり合い、即物的な禍々しさが浮上する感触は、『反撥』から『テナント』にいたる、ある時期のポランスキーの映画や70年代のシャブロルやフライシャーの『絞殺魔』を思わせる。
面白いです。
映画好きはもとより、恒川光太郎や京極夏彦の小説、妖怪好きの人にもおすすめします。──篠崎誠(映画監督) - 素晴らしく面白い、以外の言葉が出てこなくて困るのだけれど、それに気づいたのは二度目にモニターで観た時でした。
なぜ試写室のスクリーンで観た時には「立派だ」としか思わなかったのだろう。
舞台が狭い空間なため顔の大きな人ばかりを見つめていたせいなのか、話の展開に惹き込まれて物語を楽しんでしまったせいなのか……いや、多分、シナリオがジャンルの定型をどう裏切るかの予測を外しまくって観ていたせいだと思う。これほど重層的な仕掛けでありながら局面が早いテンポで切り替わる展開について行けてなかった、ということだよな。
だから、
この映画『カウンセラー』は二度観ることをお勧めします。
一度目はサスペンスとエロを愉しむため、
二度目は話を知った上で二人の女優の演技合戦と演出を味わうために。
『おもちゃを解放する』も面白かったけれど、酒井君は本当に腕の確かな脚本家であり演出家なのだなあと改めて思いました。
そして、なんといっても
西山真来さんの凄さ!鈴木睦海さんの魅力! ──大工原正樹(映画監督)
- 冒頭2分半、その日最後の患者の診察を終えたカウンセラーが洗面所で手を洗っていると、その背後にとつぜん「やっぱり、予約とかないとだめですよね」と声がする。
びっくりして顔を上げると、鏡には怯えた様子の女性が写っている。
ここから、一気に映画に引き込まれる。
たった40数分の尺にもかかわらず、物語は二転三転四転し、虚と実が交錯した果てに、ついに長いベロを出した妖怪が登場する!
ホラーでもスプラッターでもない、正々堂々のスリラー映画だ。
──万田邦敏(映画監督) - 西山真来の表情に目を奪われた。
カットが切り替わったら、どんな顔をしているのか……
恐怖と期待を抱えて観た。──内藤瑛亮(映画監督) - すさまじい緊張感と不気味さ!画面から目が一瞬も離せなかった。
現実と幻想の境目が曖昧になり、自分が何者かもわからなくなっていく感覚が恐ろしい。カットが切り替わる瞬間、鳥肌が立つような衝撃がある。
怪談話でもあり、ミステリでもあり、純文学でもあり、あらゆるジャンルを超越した映画体験としか形容できない42分間だった。 ──乙一(小説家) - あー面白かった。
終始漂う不気味な緊張感。この映画に映る顔や体、声には異常な説得力がある。
42分という尺の中で、自己と他者、生と死をも混沌とさせる最高に不愉快なエンタメ!!(超褒め言葉です!笑) ──上村 奈帆(映画監督/脚本家)
- 次のカットが予測できない。
あたりまえのようにカットバックしたかと思うと、とてつもないカットが不意打ちしてきたりする。それが、こんなに映画を面白くするなんて。
最高にスリリングで驚嘆しました。──入江悠(映画監督) - 根底にずっと独特な空気が流れていて、最後までその空気に絡めとられていた。
見ている側が作品を掴めそうで掴めない、一種の癖になるスパイスのようなジワジワと身体に浸透してくるような作品。 ──皆川暢二(俳優) - まだまだこんな映画のつくりかたが出来るんだと心静かに快く、強く圧倒された狭く閉じた空間に、なぜこれほど豊穣に、官能的に、呪わしく光景が出現するのか。そしてこの光景は、いつからどこから私たちのもとにやってきたのか……。
各ショットに細かくみなぎる明暗・角度・音・表情の力と、それらの大胆予測不可でかつ(物語自体は恐ろしく非人間的かもしれないが)非情な世界に倫理的…とでも形容したらいいのか、あとから思い返せば頷くしかないショットの接続。その未知の堆積に、想いもしない遥かな場所からなにかをもって来られているのだと思います。
多様に広がるいまの映画にあって、心から畏敬に値する映画のありかたと思いました。──木村文洋(映画監督) - かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまった……
脚本、構成、場所、キャスト、間合い、画、音響、全てに不安が張り詰め、薄気味悪い空気が満ち満ちてくる──かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまっ…あれ?……気がしただけ?……マズい、憑り込まれる。
酒井善三監督、、、、凄い才能だ!ぎっちり憑り組まれた長編が観たい。
──清水崇(映画監督)
CREDIT
夏の娘たち ひめごと [DVD]
- 監督:堀禎一
- 出演:西山真来, 鎌田英幸, 松浦祐也, 志水季里子, 下元史朗
- 発売日:2018/1/6
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