
第 28 回釜山国際映画祭/第 36 回東京国際映画祭 正式出品
市子


2023年12月8日(金)テアトル新宿、
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
すべては、生き抜くために。
――川辺市子の魂の叫びが、あなたの心に突き刺さる。
過酷な宿命を背負ったひとりの女性の切なくも壮絶な人生を描く衝撃作。
市子(杉咲 花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、忽然と姿を消す。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がってくる…。出生時から彼女が背負った悲しき宿命。名前を変え、年齢を偽り、社会から逃れるように生きてきた。なぜ、彼女はそのような人生を歩まなければならなかったのか?市子が、幸せな暮らしを自ら手放しても、手に入れたかったものとは――。
原作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズ theater 旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞 2015 では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」。観客から熱い支持を受け2度再演された⼈気の舞台を映画化。どのような環境下であっても、自分の存在と向き合い生き続ける市子の姿をスクリーンに映し出す。
痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも、「生きること」を諦めなかった川辺市子を演じるのは杉咲 花。抗えない境遇に翻弄された彼女の壮絶な半生を、凄まじい熱量で体現。「撮影を共にした皆さまと、精根尽き果てるまで心血を注いだことを忘れられません。」と語るほど全身全霊を捧げ、芝居を超えて役を生き抜く姿を鮮烈に観る者の心に焼き付ける。
市子が3年間一緒に暮らしていた恋人の長谷川を演じるのは、若葉竜也。この重厚な物語の軸を担う長谷川が、市子の真の姿を知る過程で揺れ動く感情の変化を繊細に演じ切る。さらに、共演陣には森永悠希、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり、倉 悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳が名を連ね、市子の知られざる人物像や過去が第三者の目線から描き出されていく。
ひとりの女性の生き様が、あなたの心を打ちのめす。
2023 年、見逃してはならない唯一無二の衝撃作が誕生した。


杉咲花主演『市子』インタビュー映像【前編】
- 本当に悲しい人って、湿っぽいどころかカラッカラなんやなぁ。
市子もさることながら、長谷川。
夏の蒸し蒸し。
なのに湿気はなく、乾いて乾いてヒリヒリした。
――トータス松本(ウルフルズ) - 人にはそれぞれの地獄があり本当の闇も光も本人しかわからない。
その闇の濃さと合間からきらめく光の切なさ
すべてを内包した市子の笑顔が頭から離れない。
杉咲花さん、圧倒的でした。――佐久間宣行(テレビプロデューサー) - この世界には、存在すら知られていない人間がどれほどいるのだろうか。
杉咲花によって体現された、絞り出すような川辺市子の魂の叫びを、
祈りを込めて、ひたすら受け止めた。――立田敦子(映画ジャーナリスト) - 市子を生き抜いた杉咲花と
市子に出会った我々観客と
市子の面影を宿す当事者が線で繋がる、という第一歩。
この先、独りにはさせない。
分断の暗闇を物語で照らす映画の責務を改めて想った。――SYO(物書き) - 日本発、世界に届けたいストロングスタイルの名作。
存在と制度をめぐる重厚なミステリードラマ映画として『羅生門』があり、『砂の器』があり、『市子』がある。 戸田彬弘監督とそのチームに最大の敬意を!――森直人(映画評論家) - 自分を消すこと。自分を捨てること。
それが「市子」に残された唯一の生きる道。
どうして?なぜ!
脚本も演出もキャスティングも全てが〈別格〉のヒューマンミステリーの秀作である。――北川れい子(映画評論家)


- 圧巻の杉咲花。
幾重にも重ねた人物像の根底に心の軸を垣間見せる、
杉咲花の卓越した演技が物語を牽引し、真実の輪郭を捉えきれない観客を翻弄する。
ヤングケアラー問題や社会制度の隙間を横切りながら描くのは、
この苛烈な時代を生き抜くための、哀しくもしなやかな態度。
――中井 圭(映画解説者) - 近くにいるのに、遠くに感じる。
遠くにいるのに、声も匂いも身近。
杉咲花が、言葉にできない笑みを浮かべる。
市子が、沈黙の叫びをあげる。
ふたりの女が通り過ぎ、残像がこびりつく。
忘れない。忘れられない。――相田冬二(Bleu et Rose/映画批評家) - もしかしたら、市子とあなたは街中ですれ違ったことがあるかもしれない。
あるいは、市子は学校やオフィスであなたの隣の席にいたかもしれない。
誰でもあって、誰でもない。
スクリーンの中でそんな市子を生き抜いてみせた、杉咲花の「優しさ」に震えた。――宇野維正(映画ジャーナリスト) - 名前や肩書きは、必ずしもある人間の存在証明を示すものだとは限らない。
己が“誰か”であること、社会が認識することの意味を、市子の存在は我々に問いかけている。――松崎健夫(映画評論家) - 『市子』という極めてシンプルなタイトルに惹かれ、本篇を観てみたら、
とんでもなく厄介な〈市子的世界〉の迷宮譚が待っていた。
僕はまだそこから抜け出せられず、そして未だ「市子とは何なのか」をあれこれと考え続けている。――轟夕起夫(映画評論家) - 海外の映画祭関係者と話すと
「日本映画は身の回りの話で完結しているものが多く、社会が見えない」という声をよく聞く。
『市子』はそうではない日本映画が確実に存在することを示している。
杉咲花の抜群の演技は今年の様々な女優賞の最有力候補となることは間違いない。――市山尚三(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)


- この映画は、まさに主人公の『市子』という存在そのものに関する映画だ。
私たちは市子の過去を辿ってゆくにつれ、その境遇を理解するだけでなく、
同時に、彼女を心から抱きしめてあげたい気持ちに駆られる。
――ナム・ドンチョル(釜山国際映画祭 プログラム・ディレクター) - “ぼく”や”あなた”はこんなにも不確かで危ういものなのか。
必死に“市子”にしがみつく彼女に対して、
“わたし”は感動して涙を流すと同時に“他者”であるという事実に安堵した。
――太田千尋(テアトル新宿 営業) - それぞれの記憶の中に生きる、断片的な市子とはいったい何者だったのか。
正解を探さずとも目の前にいる“市子”それだけで充分なのに「逃げてはいけいない」理由はなく、
その存在に片時も目が離せない。――小川賢人(アップリンク吉祥寺 支配人) - 劇中、市子は逃げ続ける。
突き抜けるほど青い空の下、その歩行はポツンとひとりで寄る辺ない。
我々は彼女を追うことしかできない、と同時に「私も確かにここにいる」という事を思い出させてくれる映画だった。――塩谷洋介(シネ・リーブル梅田 営業) - 行き場のない感情、どうする事も出来ない現実の中でもがく市子の姿にどうしようもなく感情を揺さぶられました。
こんなにも胸が苦しくなった映画は他にありません!
今もどこかで生きているであろう市子の事をいつまでも忘れる事は出来ないでしょう。――多田祥太郎(シネ・リーブル神戸 支配人) - 俳優・杉咲花という存在を手がかりに、
タイトル『市子』の意味を考えながら、 じっくりと観て欲しい。
彼女は一体何者なんでしょうか。――稲垣明子(伏見ミリオン座 支配人)


監督:戸田彬弘 原作:戯曲「川辺市⼦のために」(戸田彬弘)
脚本:上村奈帆,戸田彬弘 音楽:茂野雅道
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2023 映画「市⼦」製作委員会