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ヤエレ・カヤム監督監督/『オリーブの山』

ヤエレ・カヤム (監督) 映画『オリーブの山』について【3/3】

第17回東京フィルメックス・コンペティション上映作品

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

――ルーヴェン役のアヴシャロム・ポラックさんは日本でも名前の知られた演出・振付家で、私も彼の演出するミュージカルを観たことがあるので、この作品に役者として出演していることを知って驚きましたし、前衛的なダンスをやっている方が保守的なキャラクターを演じているのも興味深かったです。もちろんツヴィア役のシャニ・クラインさんも素晴らしい女優さんでした。俳優さんたちとどんな話をしたのか教えていただけますか?

カヤム ポラックさんはイスラエルでとても有名な俳優さんだったのですが、15年前に俳優業は完全にやめてしまっていて、もうやりませんということでした。説得するのがとても大変で、キャスティング・エージェントの力を全面的に借りて説得しました。でもやると言ったら真剣に取り組んでくれました。本当に知性的に物事を追究する方なので、まさにこの学者役にはぴったりでしたね。何人もの正統派ユダヤ教の学者と会ってくれました。役柄のために髭をたくわえたんですが、ダンスのカンパニーの中での彼への対応が変わったと言っていました。「みんな僕がすごく真面目な人みたいに接するんだよね」と(笑)。シャニさんや子どもたちとはそこまで特別なことはしませんでしたが、リハーサルを何回もしましたね。本当に家族らしくするのは難しいですから、1週間に一度ぐらいは全員で一緒に会って、一緒に遊んで、ゲームの間はキャラクターの名前で呼び合って。それは子役さんもとても気に入って、「いつになったらおじいちゃんとおばあちゃんに会えるの?」と言っていました(笑)。

――名前はこの映画の中でとても重要な意味を持つものですね。主人公の名前は「ツヴィア」ですが、それが映画で出てくるのは売春婦に名前を尋ねられたときだけなんですよね。「やっと自分をひとりの人間として見てもらえた」という彼女の感動が表れるそのシーンはとても胸を打つものでした。

カヤム ありがとうございます、細かいところを見てくださって。私はタルムードをかなり読み込んでいたんですね。タルムードというのは聖書のあとに書かれたユダヤ教の教典なんですけど、その中にヒヤというラビと妻の話が出てくるんです。夫が妻に関心を失って、妻が嘆き悲しんでいるという話なのですが、妻のほうが主人公なのに名前が一切出てこないというところに関心を惹かれました。それにすごく刺激を受け、心に留めていました。もうひとつタルムードの中で印象的だったのは、「売春婦のところに行くなら、自分の住む町ではないところに行って、自分の名前は明かしてはいけない」という一節です。それらを組み合わせ、主婦と売春婦という立場のまったく違う二人の女性が出会ったときに、初めてお互いにちゃんと名前のある、人格を持った人たちであるというふうになるように作っていきました。

――本当に様々なところからのインスピレーションを練り上げて作られた作品なんですね。この映画はイスラエルでは公開されているんですか?

ヤエレ・カヤム監督2カヤム はい、5月に公開されて、その後シネマテークでも何度か上映されています。

――日本でもぜひ公開されることを願っています。日本の印象はいかがですか?

カヤム 今回初めて日本に来たのですが、フィルメックスも東京の街もとても楽しんでいます。日本の文化や日本の方たちのことを少しずつ知る中で気付いたのは、日本の方はとてもディテールに気付いてくれるんですね。私自身もものすごく細かいことにこだわる性分なので、映画でも細かいところにとてもこだわって作っているつもりなのですが、日本の方はそういうところにちゃんと気づいてくださる。それがとても嬉しかったです。

――この映画の日本での公開と、監督の次回作を観る日を楽しみにしています。どうもありがとうございました。

( 2016年11月25日 有楽町朝日ホールで 取材:深谷直子 )

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オリーブの山 (2015年/イスラエル、デンマーク/83分/ヘブライ語、アラビア語/DCP/カラー)
脚本・監督・製作:ヤエレ・カヤム
撮影:イタイ・マロム 美術:ネタ・ドロール 編集:オル・ベン・ダヴィッド
音楽:オフィール・レイボヴィッチ 衣装:ヒラ・グリック 録音:テュリー・ヘン
音響:ピーター・アルブレックツェン、イチック・コーエン
製作:エイロン・ラツコフスキー、ヨハナン・クレド、リサ&ヨシ・ウズラド、ガイ・ヤコエル
出演:シャニ・クライン、アヴシャロム・ポラック、ハイタム・イブラヘム・オマリ
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第17回東京フィルメックス・コンペティション上映作品

2016/12/10/17:13 | BBS | トラックバック (0)
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