インタビュー
福永壮志監督/『リベリアの白い血』

福永 壮志 (監督)
映画『リベリアの白い血』について【1/7】

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2017年8月5日(土)よりアップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開

西アフリカ・リベリア共和国とニューヨークを舞台に移民の苦悩を描き、ベルリン国際映画祭をはじめとする各国映画祭で高い評価を受けた『リベリアの白い血』が、8月5日より公開されている。監督はニューヨーク在住で本作が長編1作目となる福永壮志氏。自身も10年以上故郷を離れて暮らす異邦人であり、その目を通して描かれるリベリア人たちは愛情とたくましさに満ちていて、映画を観終えたあとも彼らの様々な表情やそれを優しく包む風景に想いを馳せてしまうだろう。撮影監督の村上涼氏が本作撮影中にマラリアに感染して亡くなられたことが惜しまれてならないが、その才能と情熱には作品を通していつまでも触れることができる。ぜひ劇場でお二人が国境を越えて成し遂げた大仕事を見届け、称賛の拍手を贈ってほしい。困難や悲しみも乗り越えて力強い人間ドラマを作り上げた福永壮志監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
福永 壮志 北海道出身でニューヨークを拠点にする映画監督。2015年に初の長編劇映画となる本作『リベリアの白い血』(原題:Out of My Hand)がベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品される。同作は世界各地の映画祭で上映された後、ロサンゼルス映画祭で最高賞を受賞。米インディペンデント映画界の最重要イベントの一つ、インディペンデント・スピリットアワードでは、日本人監督として初めてジョン・カサヴェテス賞にノミネートされる。2016年には、カンヌ国際映画祭が実施するプログラム、シネフォンダシオン・レジデンスに世界中から選ばれた六人の若手監督の内の一人に選出され、長編二作目の脚本に取り組む。
STORY 西アフリカ・リベリアからニューヨークへ、自由を求めて生きる男がいた。
リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは過酷な労働の中で家族を養っていた。仲間たちと共に労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらない。そんな時シスコは従兄弟のマーヴィンからニューヨークでの生活のことを聞き、より良い生活のために愛する家族の元を離れ、自由の国アメリカへ単身で渡ることを決意する。NYのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコ。移民の現実を目の当たりにしながらも、都会の喧噪や多種多様な人々が住むこの地に少しずつ順応していく。しかし、元兵士のジェイコブとの予期せぬ再会により、リベリアでの忌々しい過去がシスコに蘇ってくるのだった……。
福永壮志監督1 『リベリアの白い血』
――福永監督はニューヨークを拠点に映画制作をされていて、この『リベリアの白い血』が長編1作目となりますね。まずはなぜニューヨークで活動されているのかというところから教えていただけますか?

福永 もともとアメリカに行ったのは他の文化に触れたいという気持ちからでした。映画はずっと好きだったんですが、映画を学ぼうとか作ろうと思って行ったわけではなかったんです。でも2年いる間に映画がどうしてもやりたくなって、最初にいたミネソタ州からニューヨークの映画学科のある大学に編入しました。それが今から12年前のことです。ニューヨークを選んだのは、キューブリックなどニューヨークで制作していた監督から影響を受けたのもありますし、街として魅力的なところだったから。そこで短編映画を1本、2本撮って、卒業後はフリーの編集としてドキュメンタリーなどをやっていました。

――本作の撮影監督の村上涼さんとも大学で出会われたんですか?

福永 村上は同じ大学の先輩で、在学の時期は被らなかったんですけど卒業制作をたくさん撮っていて、そのときから撮影が素晴らしかったので名前は知っていたんです。いつか会いたいと思っていたら卒業後にやっと会えまして、そこからずっと交流を続け、一緒にミュージックビデオとかのちょっとした作品を撮ったりもしていました。そして村上は僕の妹の旦那さんでもありました。そのとき妹もニューヨークにいて、3人一緒に出会ったんですよね。プライベートから仕事から、とても近い仲でした。

――『リベリアの白い血』は、村上さんが作られていたドキュメンタリーが元になった映画とのことですね。

福永 はい、彼が自主制作で撮っていたドキュメンタリーがもともとあって、その制作の話を彼からいろいろ聞いていたんですけど、のちのち僕がその作品を編集で手伝うことになって、そこで映像を見てとても強く感銘を受けて。僕には移民の映画を作りたいというのがあったんですけど、その移民のバックグラウンドとして思い浮かんだのが、ドキュメンタリーで描かれるリベリアのゴム農園の世界でした。

――監督が暮らすニューヨークの移民とリベリアをつなげることでとても強い物語が生まれました。

福永 そうですね、つなげることで伝えられるものがあるんじゃないかなと。というのは、ドキュメンタリーで見たゴム農園で働く労働者の過酷な中でもひたむきに生きている力強さに僕は強い感銘を受けたんですけど、同時にその世界が自分にもつながるものだと思えたんです。ゴム農園というのは僕たちが日常的に使っているゴムの製造現場であり、その製品を通してつながっている世界だと。それをニューヨークにたくさんいる移民の方々のバックグラウンドとして描くことで、自分たちの目の前のこととして伝えられるんじゃないかなと思いました。

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アップリンク渋谷にて連日ゲストトークショー開催
8月12日(土) 13:40の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
15:30の回【上映後舞台挨拶&短編併映】『ノート・フロム・リベリア』(25分)登壇:福永壮志監督
21:05の回【上映後トークショー】登壇:中井圭(映画解説者)、小林涼子(女優)、福永壮志監督
8月13日(日) 15:30の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
20:50の回【上映後トークショー】登壇:菊池健雄(映画監督)、福永壮志監督
8月14日(月) 15:30の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
20:50の回【上映後トークショー】登壇:カラテカ 矢部太郎(お笑い芸人)、福永壮志監督
8月15日(火) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:山本政志(映画監督)、福永壮志監督
8月16日(水) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:亀山亮(写真家)、福永壮志監督
8月17日(木) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:入江悠(映画監督)、福永壮志監督
8月18日(金) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:武正晴(映画監督)、福永壮志監督
リベリアの白い血
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス
録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン
編集:ユージン・イー,福永壮志 美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス
衣装:キャシディ・モシャー 配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム
公式サイト 公式Facebook

アップリンク渋谷にて大好評上映中!
8月26日、27日 福永監督の地元・北海道伊達市
伊達信用金庫コスモスホールにてプレミア上映会(監督挨拶あり) 公式情報
9月2日よりディノスシネマ札幌劇場(初日監督挨拶)、ディノスシネマ室蘭、
9月9日より亡くなったカメラマン・村上涼さんの育った四国・高松ソレイユ2にて
2週間限定上映(初日監督挨拶)ほか全国順次公開

2017/08/09/21:41 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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