インタビュー
福永壮志監督監督『リベリアの白い血』

福永 壮志 (監督)
映画『リベリアの白い血』について【4/7】

2017年8月5日(土)よりアップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開

公式サイト 公式Facebook (取材:深谷直子)

『リベリアの白い血』場面4 『リベリアの白い血』場面5
――そうやって内戦中の過ちについて説教する牧師のような人もいる一方で、一般の人にとってはやはり内戦はつらい過去であり、それを消して人生をやり直したいと思ってもついて回るという、そんな苦しみも映画には描かれていました。

福永 そうですね。でも、主人公のシスコが元少年兵士のジェイコブと再会するシーンで内戦中の出来事が語られますが、それが全部真実だったかどうかは映画の中では言っていないんですよ。全部が全部本当ではないかもしれない、だけどたくさんの人が多かれ少なかれ何らかの形で関わった戦争だったので、彼もきっと自分の意志ではなく間違った選択をせざるを得ない状況にいただろう、という意図で僕の中では描いています。それを過去において前に進んでいこうとしていたんだけど、やはりあるとき遠く離れた地で不意に戻ってくるという、そういうストーリーにしました。

――そうした戦争で受ける心の傷というのは、ベトナム戦争以降の映画でも多く扱われてきた現代の普遍的な問題ですよね。今は日本でも戦争に向かっている気配があるので、実際に戦争が起きたら戦場で起こる悲劇はもちろん、戦争が終わってもこの先長く地獄が続いていくんだなあ……ということに、この映画を観てあらためて恐怖をおぼえました。他にも貧困や外国人差別など、本来の映画のテーマからは離れるのかもしれませんが、日本の問題としても受け取れることがたくさんありました。

福永 ありがとうございます。この映画を最初に撮ろうと思ったときに、日本人の自分がリベリア人の映画を撮っていいのか?という自問自答や葛藤もあったんですけど、やろうと思えたのは、僕ももともと映画にすごく影響を受けてきて、それはいろんな国で作られた映画が自分にいろんなところで響いてきたという普遍的なものがあるからで。自分もやはりそれを目指して映画作りをしているので、それが目標であれば自分の前に境界線を引く必要はないんじゃないかと思ったんです。それがあるからリベリアに向かったときも、日本人としてリベリア人を描くのではなく、人として人を描くという気持ちで取り組みました。

――実際にリベリアで映画を撮るということになると、そこでもご苦労は多かったと思います。キャスティングはどうされたのでしょうか?

福永 映画産業が非常に小さいので、俳優だけをやって生活している人はいないんですよね。別の仕事を持ちながら国内の映画制作に携わるという、そういう形で演技経験が多少ある人はいたんですけど、僕らの定義で言う“俳優”というのはいないんですね。だからそこだけで絞ったら選択の余地がないので、演技経験をまったく問わないでオーディションをしました。主演のビショップ(・ブレイ)は国内の作品に何本か出たことはあるけど普段は駐車場で働いているという人です。フランシス役のデューク(・マーフィー・デニス)はコメディアンとして結構活躍していて、ラジオのパーソナリティもやりながら俳優もやるという人です。

――登場人物が、エキストラのような人も含めるとかなり多いのですが、みなさん迫真の演技をしていて素晴らしいですね。先ほども出た教会での説教のシーンが圧巻でした。

福永 ありがとうございます。教会のシーンに関しては本当にドキュメンタリーのような撮り方をしています。牧師は本人を呼んでやってもらっていますし、教会に来ている人たちは村の人たちで、もちろん「撮影でこういうシーンを撮ります」と言って来てもらっているんですけど、「牧師がこう言ったときにこういうリアクションをしてください」といったディレクションは一切せずに、教会に話を聞きに来た人たちという設定であの場にいてもらっているだけです。ジョシュア(・ブライ)というあの牧師さんには映画の説明やこういう話をしてほしいといった打合せはしましたけど、台詞でこういうことを言ってほしいという細かなことはせずに大体の流れだけを伝えて撮っているので、ほぼドキュメンタリーですね、あのシーンは。

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アップリンク渋谷にて連日ゲストトークショー開催
8月12日(土) 13:40の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
15:30の回【上映後舞台挨拶&短編併映】『ノート・フロム・リベリア』(25分)登壇:福永壮志監督
21:05の回【上映後トークショー】登壇:中井圭(映画解説者)、小林涼子(女優)、福永壮志監督
8月13日(日) 15:30の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
20:50の回【上映後トークショー】登壇:菊池健雄(映画監督)、福永壮志監督
8月14日(月) 15:30の回【上映後舞台挨拶】登壇:福永壮志監督
20:50の回【上映後トークショー】登壇:カラテカ 矢部太郎(お笑い芸人)、福永壮志監督
8月15日(火) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:山本政志(映画監督)、福永壮志監督
8月16日(水) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:亀山亮(写真家)、福永壮志監督
8月17日(木) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:入江悠(映画監督)、福永壮志監督
8月18日(金) 20:50の回【上映後トークショー】登壇:武正晴(映画監督)、福永壮志監督
リベリアの白い血
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス
録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン
編集:ユージン・イー,福永壮志 美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス
衣装:キャシディ・モシャー 配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム
公式サイト 公式Facebook

アップリンク渋谷にて大好評上映中!
8月26日、27日 福永監督の地元・北海道伊達市
伊達信用金庫コスモスホールにてプレミア上映会(監督挨拶あり) 公式情報
9月2日よりディノスシネマ札幌劇場(初日監督挨拶)、ディノスシネマ室蘭、
9月9日より亡くなったカメラマン・村上涼さんの育った四国・高松ソレイユ2にて
2週間限定上映(初日監督挨拶)ほか全国順次公開

2017/08/09/21:44 | BBS | トラックバック (0)
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