山本浩司(俳優)
映画『童貞放浪記』について
8月8日より、ヒューマントラストシネマ文化村通りにて公開中
名古屋シネマスコーレ、第七藝術劇場にて今秋公開予定
山下敦弘監督の「どんてん生活」(99)主演で登場し、今や映画界の名バイプレイヤーでもある山本浩司。大作からインディペンデントまで多くの作品に出演しているが、久々の主演作「童貞放浪記」が公開中である。初の本格的な濡れ場も披露していることも話題の今作品の公開に合わせて、山本浩司にインタビューを行った。(取材:わたなべりんたろう)
1974年8月11日、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業(同期に本田隆一監督や元木隆史監督らがいる)。後輩である山下敦弘監督、脚本の向井康介の「どんてん生活」(99年)、「ばかのハコ船」(02年)、「リアリズムの宿」(03年)に出演し、注目される。
他の出演作品として「東京ハレンチ天国 さよならのブルース」(01年)、 「魁!!クロマティ高校THE★MOVIE」(04年)、「トニー滝谷」(04年) 、「くりいむレモン」(04年) 、「リンダ リンダ リンダ」(05年)、「イヌゴエ」(05年)、「雪に願うこと」(05年)、「嫌われ松子の一生」(06年)、 「幽閉者 テロリスト」(06年) 、「しゃべれどもしゃべれども」(07年)、「それでもボクはやってない」(07年)、 「眠り姫」(07年) 、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(07年)、「ユメ十夜「第八夜」」(07年)、 「さくらん」(07年)、「サイドカーに犬」(07年)、 「エクステ」(07年)、 「グーグーだって猫である」(08年)、 「GSワンダーランド」(08年)、 「歓喜の歌」(08年) 、「デメキング」(09年)、 「蟹工船」(09年)、「色即ぜねれいしょん」(09年)、「カムイ外伝」(09年)などがある。
――今作は製作者や監督などを知っているので、こちらもエキストラで出ています。冒頭のストリップ小屋のシーンで、立ち上がってジャンケンをしています(笑)。
山本 そうだったんですね。ご協力をありがとうございます(笑)。
――山本さんといえば、監督もされますよね? 雑誌「EATER」を読み返していたら、山本さんが仲間とインタビューに答えていて、監督にも意欲的なことを話していました。山本さんの監督作品も好きなのですが、もう監督はしないのでしょうか?
山本 その頃は監督にも興味あったのですが、今は俳優に専念しています。自主映画でも監督するのは大変ですから、無理せず流れがきたらまた監督はするかもしれないですが。
――山本さんといえば、さまざまな映画で見かけるバイプレイヤーですが、「それでもボクはやってない」での裁判傍聴マニアでワンシーンに出てきて、場をさらったのは見事でした。
山本 そう言っていただいて、ありがとうございます。脇役は瞬発力が求められることがありますからね。監督によって求めるものは違いますが。
――2007年には邦画の脇役出演で光石研、遠藤憲一につぐ11本の出演作だったですが、脇役としてのこだわりは何かあるのでしょうか?
山本 とにかく映画に関わっていきたいんです。映画が大好きですから。そういう覚悟なので、どんなことがあっても俳優で食べていきますから、バイトは絶対にしません(笑)。
――宮藤官九郎もインタビューかエッセイで同じことを言っていたのを思い出しました。「バイトをしていると書く時間がとれないので、生活を考えると無謀だがバイトを一切やめて覚悟を決めた」と。
山本 そうなんです。無謀さが必要なんです(笑)。
――その後に宮藤官九郎は「そうしたら何とかなった」と続けていました。
山本 そう、何とかなるんです。
――盟友の山下敦弘監督が「30代も半ばを過ぎ、いまだ童貞を演じ続ける班長さん(=山本浩司)を観ていて切なくなった。やっぱり班長さんは僕らのことを代弁してくれる役者だ」と今作の応援コメントを寄せていますね。
山本 「リアリズムの宿」で童貞の役をやるということで、いろいろ本を読んだり考えたりしたんです。ちょうどその頃に「D.T.」(みうらじゅん・伊集院光=著)という本も出ていて、哲学というか“イズム”としての童貞をだいぶ勉強して、確かにそうだなと納得した部分はありましたね
――今作は主人公の淳だけでなく、萌もお互いに対してタイミングがあっていなくて、もどかしさがありますよね。
山本 そういう女の人はいますよね。自分にはその気がないんだけれど男性に気をもたせるのが楽しみのような。そこが見極められなくて男友達に相談するとだいたいそう言われます。。
――神楽坂恵さんとは二人で演技について話し合ったりしましたか?
山本 技術的なことは話しました。萌が「お腹が痛い」と言うシーンでは、頭の中で「痛い!」と叫びながら口では耐えて普通に喋るように言ってごらん、とアドバイスしたりしましたね。女性の痛みそのものは神楽坂さんのほうがよくわかっていると思うんですけど(笑)。
――これからやってみたい役はありますか?
山本 探偵役はやってみたいですね。少しとぼけた味の。今はちょっと興味のある題材が出てきたので、また監督をやりたいなとも思うんですけどね。。
――尊敬する俳優はいますか?
山本 フィリップ・シーモア・ホフマンですね。後はドン・チードル。
――共にポール・トーマス・アンダーソン組ですね。
山本 「ブギーナイツ」が大好きなんですよ。
――いいですよね。傑作だと思いますし、今でも何度も見直します。公開未定のときに、ディカプリオが主演するはずが「タイタニック」で降りた作品のみの情報で輸入盤レーザーディスクで見て、見始めたら止まらなくなって最後まで見てしまった作品です。
山本 最高ですよね。機会があったら、ポール・トーマス・アンダーソンの話しでもしましょう(笑)。
取材:わたなべりんたろう
主なキャスト / スタッフ
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