カルテット!人生のオペラハウス
ヴェルディ、プッチーニ、バッハ、シューベルト…
クラシックの名曲の数々と笑いと涙で彩る人生賛歌。
愛と音楽に満ちあふれた、ダスティン・ホフマン初監督作品!
ようこそ、“人生を奏でる音楽の館”へ。
2013年4月19日(金)より、 TOHOシネマズ シャンテ、
Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
名優の監督デビュー作品で
アカデミー俳優陣と有名音楽家たちが世紀の競演!
英国の美しい田園風景の中、引退した音楽家たちが暮らす〈ビーチャム・ハウス〉で、英国オペラ史にその名を残す4大“旧”スターが再会した。経営難に陥っていた〈ビーチャム・ハウス〉の面々は、ホームの存続をかけた起死回生のコンサートに、この4大スターによる伝説のカルテット(四重唱)復活を期待する。ところが、過去の古傷をひきずる4人の人間関係は壊れたまま。しかも、その中心となるプリマドンナはかつての栄光に縛られ、歌うことを封印。果たして史上最高齢のオペラコンサートは無事に幕を開けることができるのか――。
オスカーに2度輝いた名優ダスティン・ホフマン(75歳)が満を持して監督デビューを果たしたこの作品に、同じく2度のアカデミー賞Ⓡ受賞を誇るマギー・スミス(78歳)、トム・コートネイ(75歳)、ポーリーン・コリンズ(72歳)、ビリー・コノリー(70歳)、マイケル・ガンボン(72歳)ら英国を代表する俳優が出演。名優の元へ同世代の名優が結集した。
さらに、音楽界からは、マギー・スミス演じるプリマドンナのライバル役として、世界的に名高いソプラノ歌手ギネス・ジョーンズが参加。他にも、ヌアラ・ウィリス(メゾソプラノ)やジョン・ローンズリー(バリトン)といった名高いオペラ歌手や、ジャズピアニストのジャック・ハニーボーン、トランペット奏者のロニー・ヒューズら、音楽史にその名を轟かせるアーティストがキャストとして出演。アカデミー俳優陣との2度とない夢のコラボレーションを実現している。
ヴェルディ作曲の《リゴレット》からはカルテットの名曲「美しい恋の乙女よ」や有名なカンツォーネ「女心の歌」、《椿姫》からは誰もが耳にしたことのある「乾杯の歌」、プッチーニの《トスカ》からは美しいアリア「歌に生き、恋に生き」など名作オペラはもちろんのこと、バッハの「トッカータとフーガロ ニ短調」、シューベルトの歌曲「シルヴィアに」、ハイドンの「交響曲第100番『軍隊』」などクラシックからジャズまでの名曲を、名だたる音楽家たちが素晴らしい歌声と演奏で披露している。
音楽は『つぐない』でアカデミー賞Ⓡを受賞し、『プライドと偏見』や『路上のソリスト』でもアカデミー賞Ⓡにノミネートされたダリオ・マリアネッリ。
全編に美しい音楽が流れる本作は、映画館をコンサートホールに変えるほどの音楽的魅力に満ちている。
人生のクライマックスに
ユーモアあふれる愛と希望と元気のエールを!
脚本は『戦場のピアニスト』でアカデミー賞Ⓡ脚色賞を受賞し、『潜水服は蝶の夢を見る』(07)や指揮者フルトヴェングラーの非ナチ化裁判を描いた『テイキング・サイド』(01)なども書いたロナルド・ハーウッド。原案は1984年に製作されたダニエル・シュミット監督のドキュメンタリー映画『トスカの接吻』で、1896年にヴェルディが私費を投じてミラノに創設した世界にも類を見ない音楽家のための老人ホーム「音楽家のための憩いの家(Casad:Riposo per Musicisti)」からインスピレーションを得た。1999年に舞台として世に出た『カルテット(原題)』は多くの共感を得て、2011年には日本でも黒柳徹子主演で「想い出のカルテット〜もう一度唄わせて〜」というタイトルで上演。今回、待望の映画化となった。
肉体は衰えても、精神は成長することを止めない。幾つになっても、愛や音楽が人生を彩ってくれる。老いの悲喜劇をダスティン・ホフマンらしい人間味あふれるユーモアで包んだ人間賛歌であり、人生のクライマックスに温かなエールを送る傑作である。
2013年4月19日(金)より、 TOHOシネマズ シャンテ、
Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
ダスティン・ホフマンに監督デビューを決意させた脚本
俳優として50年以上にも及ぶキャリアを持つダスティン・ホフマンは、舞台演出の経験はあったものの、長編映画を監督する機会がなかった。そのきっかけを提供したのが『新しい人生のはじめかた』(08)でホフマンと親交を深めた撮影監督のジョン・デ・ボーマンだ。「俳優として多くの代表作に出演したのだから、監督業も始めるべきだと、撮影中、いつも言っていたんだ」。ホフマンも「もし君が脚本を見つけたら、ぜひ演出してみたいよ。ロンドンは大好きだし、家もあるし、英国で撮りたいからね」と答えていた。デ・ボーマンはプロデューサーのフィノラ・ドワイヤーにその旨を伝える。彼女の手元にあったのがこの映画の脚本だ。「本当の意味でこの脚本を生かし、新鮮味を与えられる人を探していました。当時、ダスティンは72歳で登場人物たちのように人生の最終幕にいましたし、ダスティンなら年を重ねたスターの話に共鳴できると思ったのです」。
ドワイヤーは気づいていなかったが、ホフマンとこの作品が共鳴する点がもう一つあった。それは音楽だ。5歳からピアノのレッスンを受けた彼は、演技の勉強を始める以前ジャズ・ピアニストになるのが夢だった。
ホフマンは飛行機の中で脚本を読んだ。「読み終えたら妻が僕を見ていた。目に浮かんだ涙を見て『どうして泣いているの?』と聞かれてね。『これはやらないといけないな!』と言ったんだ。僕は普段、泣いたりしない。非常に批評的だからね(苦笑)」。
ホフマンは脚本に「真実を描くときは、面白くなければならない」というビリー・ワイルダーの言葉を書きとめ、撮影中、毎日それに目を向けた。この映画の芯はユーモアにあると考えたからだ。デ・ボーマンは語る。「ダスティンはユーモアの感性と強い生命力を持った人です。この映画は彼そのもの。今のダスティンだからこそ、選び、作ることのできた作品なのです」。
カルテットを構成する4人の完璧なキャスティング
戯曲だったこの作品の映画化に一役買ったのがトム・コートネイだ。脚本家ロナルド・ハーウッドは回想する。「彼から電話があったのです。『ぜひ、映画化すべきだ。レジーを演じたい』とね」。ハーウッドは、レジーにコートネイを、ジーンにマギー・スミスを想定して脚本を映画用に書き直した。ホフマンは彼自身が参加する前から、スミスが参加していたのは「夢のようだった」と語る。「ジーンを演じられるのはただ一人の女優しかいないと思っていた。それが、マギーだったからだ」。
「カルテットを演じるのは英国を代表する俳優4人でなければならない」というのが、キャスティングにあたっての一致した考え方だった。シシー役にはスミスがポーリーン・コリンズを推薦した。ホフマンはウディ・アレンの『恋のロンドン狂騒曲』(10)でコリンズの演技を見ていた。「彼女は見事な技術を持った大女優だ。シシーの話をしたとき、彼女は認知症の知り合いについて語り、その人を役のベースにしたいと言って、実際にそうした」。
ウィルフ役については、アルバート・フィニーやピーター・オトゥールの名が挙がっていたが、撮影が長期に渡るため体力的な理由から実現できなかった。白羽の矢が立ったのがビリー・コノリーだ。コメディアンとして有名なコノリーだが、ホフマンは『Queen Victoria 至上の恋』(97)での彼の演技を高く評価していた。コノリーの最初の返事は「みんな大物じゃないか、ダスティン。僕の居場所はないよ」。「何度も話し合い、ようやくびくびくしながら来てもらったよ(笑)」とホフマン。4人の中で最も若いコノリーを老けさせるのは簡単だった。「ちょっと白髪にしたら、それで充分だったよ!」とコノリーは笑う。
コートネイはコノリーで正しかったとリハーサル初期の段階で確信する。ホフマンは彼らの相性がスクリーン上の関係に活かされていると言う。「トムがビリーを愛し、ビリーがトムを愛す。その雰囲気が欲しかった。相性は演じるものではないからね」。
英国の音楽界が誇る著名なアーティストたちの豪華競演が実現
ホフマンはキャスティングへのこだわりを〈ビーチャム・ハウス〉の住人にも広げた。「僕は本物のミュージシャンをキャスティングしたかった。俳優にミュージシャンの振りをさせたくはなかった。演技の経験がなければ、僕が面倒を見ればいい」。ホフマンには彼らを演出する自信があった。
キャスティング・ディレクターのルーシー・ビーヴァンは語る。「例えば、映画の中の偉大なオペラ歌手アン・ラングレーはギネス・ジョーンズが演じています。彼女のコンサートをダスティンに観せたら、彼はぞっこんになりました。それで私は彼女が暮らすスイスにすぐに飛んだのです」。ジョーンズは「トスカ」の素晴らしいアリアを披露するとともに、ジーンのライバル役を見事に演じてみせた。
同じくキャストとして出演したオペラ歌手のナウラ・ウィリスとジョン・ローンズリーは、オペラ歌手も俳優も形式は違っても演じることは基本的には同じだと主張する。「オペラ歌手全員が役者なのです。私たちは声を使って役になりきり表現するのですから」。
オペラ歌手だけではない。さまざまなミュージシャンが〈ビーチャム・ハウス〉の住人になった。80代の著名なトランペット奏者ロニー・ヒューズは彼の職種では最高齢の現役である。彼は「年をとっても人生はいくらでも楽しめる」というこの映画のメッセージに共感すると語る。「私はまだ演奏するのが好きだし、それを楽しんでいる。それが私の人生なのです」。
レジーが学生たちにオペラの講義をするシーンは「芸術はどの世代にも普遍的な力を与えてくれる」というこの映画のテーマを伝えている。レジーにラップをして見せる少年を演じたジュマイン・ハンターは熟達したラッパーだ。ホフマンは音楽性に特化したキャスティングを〈ビーチャム・ハウス〉の住人以外にも広げているのだ。
舞台となった美しいホーム、
こだわった居住空間〈ビーチャム・ハウス〉での撮影秘話
クリエイティブチームは、〈ビーチャム・ハウス〉は背景としてあるのではなく、一つの世界として存在していなければならないと感じていた。美術監督アンドリュー・マッカルパインは、主要キャストとスタッフの多くが住むロンドン近郊からロケハンをスタートさせ、タプロウ村にあるヘッソー・ハウスを選んだ。煉瓦造りの邸宅で古風な重厚感がある。撮影監督のデ・ボーマンが説明する。「人間味こそが〈ビーチャム・ハウス〉の最も重要な要素です。結果的に自然の風景や光を取り入れながら、少し秋らしさを加えて映像に優しさを出しました」。
ホフマンとデ・ボーマンは〈ビーチャム・ハウス〉を「希望」を感じさせる老人ホームにしたいと考えていた。「全てを美しく見せたかったのです」とプロデューサーのドワイヤーは語る。「老いることを美しく。ですから、美術には力を入れました」。マッカルパインは登場人物の継続する生命力を反映させるため、内装の色を秋色にフォーカスした。冬はまだまだなのだ。「〈ビーチャム・ハウス〉の住人は華やかな人生のパレードを歩んできました。だから、椅子の上に置かれたブランケット一つにも優雅さを表現したかったのです」。
美術スタッフの見せ場はラスト・シーンだ。ヘッソー・ハウスのメインホールは、オペラの殿堂ミラノ・スカラ座を彷彿させるコンサート会場へと仕立てられた。その荘重なセットが映画のクライマックスを最大限に盛り上げている。
監督:ダスティン・ホフマン
出演:マギー・スミス,トム・コートネイ,ビリー・コノリー,ポーリーン・コリンズ,
マイケル・ガンボン,ギネス・ジョーンズ,シェリダン・スミス,アンドリュー・サックス
脚本:ロナルド・ハーウッド
製作:フィノラ・ドワイヤー,スチュワート・マッキノン
撮影:ジョン・デ・ボーマン 編集:バーニー・ピリング 美術:アンドリュー・マッカルパイン
衣装:オディール・ディックス=ミレー メイクアップ&ヘアデザイナー:ダニエル・フィリップス
音楽:ダリオ・マリアネッリ
©Headline Pictures (Quartet) Limited and the British Broadcasting Corporation 2012
配給:ギャガ 原題:quartet2012年/イギリス映画/99分/シネスコ/字幕翻訳:栗原とみ子
http://quartet.gaga.ne.jp/
2013年4月19日(金)より、 TOHOシネマズ シャンテ、
Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
- 監督:ジョン・シュレシンジャー
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- 監督:シドニー・ポラック
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