~ 北欧映画の一週間 ~
トーキョーノーザンライツ
フェスティバル 2015
2015年1月31日(土)~2月13日日(金)、
ユーロスペース&アップリンクにて開催
毎年2月に、渋谷ユーロスペースを中心に北欧映画や北欧の文化を紹介してきたトーキョーノーザンライツフェスティバルが今年も開催されている。記念すべき5回目となる今回は、日本未公開作品を中心に17本の北欧映画が上映される。
恒例の監督特集は、2010年に『シンプル・シモン』が大ヒットしたスウェーデンのアンドレアス・エーマン監督と、ラース・フォン・トリアーの甥でノルウェー本国や海外でも高い評価を得ている俊英ヨアキム・トリアー監督を取り上げる。また、近年、独特なダークな雰囲気が世界中で人気を博している「北欧ミステリー」を特集。「北欧ミステリー」の世界的ブームの発火点とも言えるスウェーデンの警察小説「マルティン・ベックシリーズ」の第7作目『唾棄すべき男』を映画化した『刑事マルティン・ベック』、英国推理作家協会ゴールドダガー賞受賞作家であるアーナルデュル・インドリダソンの世界的ベストセラーを映画化した『湿地』、スウェーデンのアガサ・クリスティーとも称されるカミラ・レックバリの代表作で「ミレニアム」シリーズを超える人気を誇る原作の一篇を映画化した『エリカ&パトリックの事件簿 説教師』が上映される。
他にも、ラース・フォン・トリアー初のコメディ作品『ボス・オブ・イット・オール』、ムーミンフリークとして有名なビョークが主題歌を担当した『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』、北欧発の映画運動として知られる「ドグマ95」が、2000年に行なった監督たちによる反省会の模様を記録した幻のドキュメンタリー映画『ドグマ・ミーティング』、デンマークの巨匠カール・Th.ドライヤー監督の名作『ミカエル』を柳下美恵さんのピアノ生演奏付きで上映、など新作から旧作までヴァラエティに富んだラインナップとなっている。
また、本映画祭開催に合わせて北欧のアーティストに関連した様々なイベントも開催される。映画と併せて北欧の文化を存分に堪能してほしい。
監督特集
続々と傑出した才能が登場する北欧映画界。今回は『シンプル・シモン』の大ヒットも記憶に新しいスウェーデンのアンドレアス・エーマン監督と、海外でも高い評価を得ているノルウェーの俊英ヨアキム・トリアー監督にフォーカスします。
『リメイク』 ( 監督:アンドレアス・エーマン、ペール・ガヴァティン ) ジャパンプレミア
日常のすべてを映像に記録し続けているリサは、恋人のマッティンと休暇でNYを訪れる。買い物中に彼とは対照的なニューヨーカーのルーカスと出会い、惹かれたリサは、マッティンの存在を退屈に感じ始め…。役者たちによってゲリラ的に撮影されたドキュメンタリータッチの映像が、2人の男性の間で揺れるリサの心を赤裸々に映し出していく。
ユーロスペース 2月8日(日)19:00~|2月10日(火)21:10~|2月12日(木)14:00~
『ビッチハグ』 ( 監督:アンドレアス・エーマン ) ジャパンプレミア トークショー
野心家で奔放なクリスティンは、憧れのNY生活についてのコラム連載を地元紙で約束され浮かれていたが、飛行機に乗り遅れてしまう。今更家に戻れない彼女は、偶然出会った風変わりな少女、アンドレアの家に転がり込み、NYにいるふりをするが…。大嫌いだけど、大好きな自分自身と向き合う、少女たちのかけがえのない一夏の物語。
ユーロスペース 2月8日(日)16:30~|2月10日(火)19:00~|2月12日(木)16:30~
『シンプル・シモン』 ( 監督:アンドレアス・エーマン )
吹替え版、音声ガイド・ガイド字幕付き特別上映
自分だけのルールで生きていて、他人の感情を理解するのが苦手なシモンが、兄の恋人探しに夢中になるうちに、大切なものに気付いていく…。アスペルガー症候群のシモンの眼に映る世界をユーモアたっぷりに描き出す、キュートでハッピーなラブ・コメディ。
ユーロスペース 2月8日(日)11:30~
『リプライズ』 ( 監督:ヨアキム・トリアー ) ジャパンプレミア
ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞
幼い頃から共に作家になることを夢見てきたフィリップとエーリク。2人は同時に原稿を出版社へ送るが、フィリップの原稿だけが出版され、彼は一躍人気作家となる。一方、エーリクは…。夢や、愛や、友情に戸惑う繊細な心の機微を、新人離れした語り口と秀でた映像センスで綴る、みずみずしくも切ない普遍的な青春ドラマ。
ユーロスペース 2月7日(土)19:00~|2月10日(火)11:30~|2月12日(木)19:00~
『オスロ、8月31日』 ( 監督:ヨアキム・トリアー )
ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞最優秀監督賞、最優秀編集賞
薬物依存の治療施設に入っているアンデシュは、ある朝、入水自殺を図り失敗する。彼は就職の面接のため故郷オスロへ戻り、旧友や元恋人を訪ねるが…。孤独な青年が漂うように過ごす24時間を端正な映像で静かに見つめ、若い世代から絶大な支持を得たヨアキム・トリアーの代表作。やり場なき深い絶望が胸を打つ、痛切な人間ドラマ。
ユーロスペース 2月7日(土)21:10~|2月10日(火)14:00~|2月12日(木)21:10~
再発見!北欧古典映画の魅力
デンマークが生んだ巨匠カール・Th. ドライヤーが、TNLFではおなじみのクリステンセン監督を主演に、ドイツで創り上げた耽美的傑作『ミカエル』を上映します!
『ミカエル』 ( 監督:カール・Th.ドライヤー ) トークショー
同性愛者であったデンマークの作家ヘアマン・バングの原作をドライヤーがドイツで映画化。世紀末的装飾美に彩られた邸宅を舞台に芸術家達のやりとりが描かれた本作は、ホモセクシュアル的であるとして当時センセーションを巻き起こした。ドライヤーは『復讐の夜』での演技を高く評価していたB・クリステンセン監督を、愛に引き裂かれる孤独な大画家役として主役に起用した。
[ユーロスペース 2月9日(月)19:00~|2月11日(水)16:30~
北欧ミステリ特集
2015年は「マルティン・ベック」が生まれて50年。刊行されたシリーズは世界的な人気を博し、現代北欧ミステリ界の隆盛に繋がっています。人気は原作にとどまらず、多くが映像化されました。それら数多の映像作品から、代表作『刑事マルティン・ベック』とともに、現在世界で大人気の2シリーズより一作品ずつをご紹介します。
『刑事マルティン・ベック』 ( 監督:ボー・ヴィーデルベリ ) トークショー
77年スウェーデンアカデミー(グルドバッゲ)賞最優秀作品賞、主演男優賞
ストックホルムの病院に入院中のニーマン警部が刺殺される。捜査に加わったベックは警察での彼の悪評を知り、そのことから警部に恨みをもつある男が浮かび上がる。地道な捜査から一転、犯人との間に繰り広げられる派手な追跡劇へと繋がる展開は最後まで目が離せない。世界中のファンを魅了した映画史上に輝く名作が、スクリーンに甦る。
ユーロスペース 2月7日(土)11:30~|2月10日(火)16:30~|2月13日(金)11:30~
『湿地』 ( 監督:バルタザール・コルマウクル ) ジャパンプレミア トークショー
2006年アイスランドアカデミー(エッダ)賞最優秀作品賞ほか5冠
北の湿地に建つアパートの一室で、一人の男が他殺体となって発見された。室内に隠されていた写真にうつる十字架は何を意味するのか。エーレンデュル警部の捜査で次第に明らかになる被害者の過去。事件は思いもよらぬ真実をあぶり出してゆく…。英国推理作家協会ゴールドダガー賞受賞作家の出世作となった世界的ベストセラーを完全映画化。
ユーロスペース 2月7日(土)14:00~|2月9日(月)21:10~|2月13日(金)14:00~
『エリカ&パトリックの事件簿 説教師』 ( 監督:ヨナス・グリモス )
AXNミステリー提供特別上映作品
現代北欧を代表する人気刑事シリーズの映像化作品。夏休みシーズンの港町の外れで若い女性の他殺体が全裸で発見され、さらに2体の白骨死体が…。休暇中のパトリックが捜査に借り出され、捜査線上にカリスマ説教師の一族が浮上。一方、パトリックのパートナーで妊娠中の作家、エリカは、事件の資料を探しに図書館へと赴くのだった。
アップリンク 2月10日(火)19:30~
北欧パノラマ
ジャパンプレミア上映作品を含む、国内劇場未公開作品の中から、ジャンルを問わず選りすぐりの6作品をお届けします。
『ボス・オブ・イット・オール』 ( 監督:ラース・フォン・トリアー ) ジャパンプレミア
ラース・フォン・トリアー初のコメディ作品! IT企業経営者のラウンは、架空の社長“ボス・オブ・イット・オール”を仕立て上げ、嫌われ役を押し付けて従業員たちに取り入っていたが…。万事をコントロールするのが好きなフォン・トリアーが、オートマヴィジョン(コンピュータ制御による撮影方法)を用い、自らナレーターも務める。
ユーロスペース 2月7日(土)16:30~|2月9日(月)16:30~|2月13日(金)19:00~
『予想外な8月』 ( 監督:タル・マケラ )
ヘルシンキで暮らすエルサの元に、23年前に離ればなれになったかつての恋人ヤンが訪ねて来る。ミュージシャンのヤンは、チェコスロヴァキアの代表として国際平和祭に参加するためにやって来たのだが…。1962年、冷戦下の鉄のカーテンに阻まれた男女の恋の顛末を、ジャズにR&R、60年代ファッションが彩るラブ・コメディ。
ユーロスペース 2月8日(日)21:10~|2月12日(木)11:30~
『ピンチクリフのクリスマス』 ( 監督:ラスムス・A.シヴァートセン ) ジャパンプレミア
2014年ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞 最優秀児童・青少年映画賞
国民的アニメ『ピンチクリフ・グランプリ』の仲間たちが帰って来る! ピンチクリフ村では、発明家のレオドアとアヒルのソラン、ハリネズミのルドビグがクリスマスの準備をしていた。でも、肝心な雪がまったく降らない! レオドアはとある人物に頼まれてスノーマシーンを発明し、雪を降らせることに成功するが、マシーンが暴走を始め…。
ユーロスペース 2月8日(日)14:00~|2月9日(月)11:30~|2月13日(金)21:10~
『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』 ( 監督:マリア・リンドバーグ )
ジャパンプレミア トークショー ムーミン物語が誕生して70年。1978~82年にトーベ監修の元、ポーランドで制作されたTVシリーズから「ムーミン谷の彗星」のエピソードに、キャラクターの台詞を加えてデジタルリマスターし再編集。パペットになったムーミン達の彗星を巡る冒険が始まる。新映像が付けられた主題歌は、ムーミンファンを自認するビョークが手掛ける。
ユーロスペース 2月9日(月)14:00~|2月11日(水)11:30~
『バレエ・ボーイズ』 ( 監督:ケネス・エルヴェバック ) ジャパンプレミア
ノルウェーでバレエ・ダンサーを目指す3人の少年を追った4年間。時にはふざけ合いながらも厳しい練習に耐え、夢に向かって切磋琢磨していたが、ある日、彼らの中の1人だけが名門ロンドン・ロイヤル・バレエスクールから招待を受けて…。少年たちの葛藤と奮闘、そして踊る喜びをみずみずしく描き出したドキュメンタリー。
アップリンク 2月5日(木)19:30~|ユーロスペース 2月11日(水)14:00~
『劇場版 ニルスのふしぎな旅』 ( 監督:鳥海永行 他/国内劇場初上映 )
1980年からNHKで放映された、スウェーデンの作家セルマ・ラーゲルレーヴ原作の同名TVアニメの劇場版。妖精の魔法で体を小さくされてしまった少年ニルスは、ハムスターのキャロット、ガチョウのモルテンと一緒に渡り鳥の故郷ラップランドを目指す旅に出る。色褪せることのない不朽の名作アニメを国内初の劇場公開!
アップリンク 1/31日(土)~2月6日(金)13:00~
ドグマ95
鬼才ラース・フォン・トリアーが、トマス・ヴィンターベアらと映画救済のための十戒“純潔の誓い”を掲げた映画運動の誕生から20年、「ドグマ95」とはなんだったのか?を振り返ります。
『ドグマ・ミーティング』 ( 監督:イェスパー・ヤーイル ) ジャパンプレミア トークショー
「ドグマ95」の提唱から5年後の2000年、ラース・フォン・トリアーと共に映画運動の道に踏み入った盟友ヴィンターベア、『キング・イズ・アライブ』、『ミフネ』の監督ら4人が集められ、夜を徹しての反省会が始まった。“純潔の誓い”がもたらした希望と興奮、そして撮影現場での滑稽なまでの苦しみがいま明らかに!
ユーロスペース 2月11日(水)19:00~|2月13日(金)16:30~
『セレブレーション』 ( 監督:トマス・ヴィンターベア )
98年カンヌ国際映画祭審査員賞、99年デンマークアカデミー(ロベール)賞最優秀作品賞ほか7冠
ドグマの方向性が示された記念すべき第1作を再上映。製作当時、ヴィンターベアはドグマの制約を「低予算映画を撮るための口実」とうそぶいていたが、人工照明を一切排し、家庭用デジタルビデオのみで撮影された濃密な世界観は、今なお斬新さを失っていない。息子の告白がある上流階級の一家にもたらす、残酷なカタストロフ。
ユーロスペース 2月11日(水)21:10~