岩瀬 亮 (俳優) 映画『ひと夏のファンタジア』について【2/6】
2016年6月25日(土)よりユーロスペース(東京)にてレイトショー、
7月2日(土)よりシネ・ヌーヴォ(大阪)、シネマスコーレ(名古屋)、
7月9日(土)より横浜シネマリン(神奈川)にてロードショー!
以降、全国順次公開予定(群馬・シネマテークたかさき他)
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――『ひと夏のファンタジア』の脚本を読んだときはどんなことを感じましたか?
岩瀬 第1章のほうは割ときっちり脚本があったんですけど、第2章はプロットみたいなものがあるだけで、台詞もまったく書かれていなかったので、未知のものという感じでした(笑)。僕が第2章で何の役をやるかもはっきりと決まっていない感じだったので。
――そうなんですか? 第2章は友助とヘジョンという男女二人だけのお芝居という感じですよね。
岩瀬 でもそれも第1章を撮ってから形になったような感じだったんです。まあ元々の監督の構想の中にはあったとは思うんですけど、撮影を始めた時点では第2章のストーリーはいくつかの選択肢があってという感じだったんじゃないかな? そこは僕ははっきりとは知らないんですが。最初のプロットは本当にザックリしたものでした。
――第1章での岩瀬さんの役どころは、韓国からやってきた映画監督に町を案内する武田友助という市役所職員ですが、ドキュメンタリー・タッチで撮られている中によく溶けこんでいましたね。自分のことを話すシーンはアップの長回しで、インタビューを受ける町のお年寄りの方たちと同じ撮り方をされています。岩瀬さんが俳優だということを知らないで観たら、本当に市役所職員かな?と思ってしまうような感じで。
岩瀬 それを目指していましたね。そう見られたらいいなあと。あのシーンはだいぶカットされていて、20分から30分は喋っていたと思います。
――そんなに長い間カメラを前に話し続けるのはどんな感じがしましたか?
岩瀬 一応台詞があったので、普通に芝居をするのと感覚的には変わりなかったですね。
――そのシーンで武田はかつて俳優を目指していたということを語るのですが、その境遇は岩瀬さん自身とちょっと近いですよね。
岩瀬 はい、多分監督は僕自身の境遇も鑑みながらフィットするものを書いてくれたと思います。
――一方、第2章はシナリオがなかったということですが、具体的にどんなふうにお芝居をしていったのでしょうか?
岩瀬 「このシーンではこの台詞を言ってください、こういう話をしてください、そして最終的にこうなってください」と、本当にザックリといくつかのポイントが決められていて、それをどう繋げていくかは俳優に任されていた感じです。いきなり撮影するんじゃなくて1回テストをして、いい部分・悪い部分を監督が選んで直してくれて、本番は基本的にはテストをなぞる方法でやっていったので、完全な出たとこ勝負というのとは違うのかな?と思います。いちばん最初はアドリブで、そこから作っていくようなイメージです。
――第2章の友助はどんな人だと捉えていましたか?
岩瀬 キャラクターとかをあんまり最初から設定しないようにしていたんです。最初の観光案内所のシーンでは「外国人がひとりでいるところに声をかけられる人なんだな」というように、脚本に沿って少しずつ作っていって、キャラクターはあとから付いてくればいいかな、と思ってやっていきました。
――そのときどきの友助の心理などは、監督から説明されたりしたのでしょうか?
岩瀬 基本的にはなかったですね。どういう行動を取るかということのディレクションはあったので、「こういうときにこういう行動を取るメンタリティの人なんだな」という考え方をしていました。
――すごく打たれ強かったですよね(笑)。キム・セビョクさん演じるヘジョンとのやり取りが絶妙で、友助はウソばっかり言っているんですけど(笑)、ヘジョンが「やっぱりウソばっかり」とちゃんと見抜いているという冷静さが面白かったです。お互い意識しながらぎこちなく接近していく感じがとても生々しく出ていました。
岩瀬 セビョクさんは本当にすごい女優で、自分の母国語じゃない言葉で喋っているんですけど、そこに捉われず、向き合って喋ってくれている感じがすごくしました。懐が深くて僕が何を言っても受け止めてくれる感じで、バランスがすごくよかったんじゃないかと思います。
監督・脚本:チャン・ゴンジェ プロデューサー:河瀨 直美、チャン・ゴンジェ
出演:キム・セビョク、岩瀬 亮、イム・ヒョングク、康 すおん
製作:NPO法人なら国際映画祭実行委員会・MOCUSHURA
配給:「ひと夏のファンタジア」プロジェクト2014-2016 © Nara International Film Festival+MOCUSHURA
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