ハリウッドと日本の映画祭で長編作品賞を受賞した
日本人監督が描く、ロシアSF感動作。
レミニセンティア
2016年11月12日(土)より、 渋谷ユーロスペースにてロードショー
11/12(土)~18(金)までは朝・夜(10:00~/21:00~)二回上映
11/19(土)~25(金)までは夜(21:00~)のみ上映
オールロシア語、ロシアロケで日本人監督が自主制作で作りあげた異色のロシアSF映画『レミニセンティア』が、11月12日(土)より、 渋谷ユーロスペースでレイトロードショー公開される。
ロシア製SF映画と言うと、アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(72)『ストーカー』(79)、ティムール・ベクマンベトフ監督の『ナイト・ウォッチ』(04)『デイ・ウォッチ』(06)、ゲオルギー・ダネリヤ監督の『不思議惑星キン・ザ・ザ』(86)、アレクサンドル・ソクーロフ監督の『日陽はしづかに発酵し…』(88)『静かなる一頁』(93)などなど、完成された世界観とその作品世界を独特な映像美で思弁的に表現する傾向が強いことで知られ、世界中でカルト的な人気を誇っている。
本作『レミニセンティア』を完成させた井上雅貴監督も、そんなロシア映画の魅力に取り憑かれた映画人の一人で、元々は石井岳龍(旧名義:石井聰亙)監督の映画編集を筆頭に、様々な日本映画のメイキング監督をしていたという。その後、ロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画『太陽』(05)のメイキング監督として参加したことを機に、ロシアに3ヶ月滞在してロシアの映画製作を学んだ井上監督が、かねてから切望していた初監督作品をロシアで撮影する決意をし、企画から脚本、撮影、編集を自ら兼ねて完成させたのが本作『レミニセンティア』なのである。
タイトルとなっている『レミニセンティア』とは、「おぼろげに思い出す記憶」を意味するラテン語で、日本語的には「追憶」に近いニュアンスを持つという。本作では、思い出した記憶の先に溢れる思い出=「記憶の万華鏡」という意味が込められており、 忘れたくない記憶によって結ばれた父娘の絆、忘れられない記憶に悩まされる人々の苦しみ、そして、忘れることによってこそ得られる救いの存在など、人間の記憶にまつわる物語が、記憶を消す特殊能力を持つ小説家と、記憶を呼び出す特殊能力を持つ女性との出会いを通して描き出されている。
記憶をテーマに、哲学的思弁的でありながらもSFヒューマンドラマという高いエンターテイメント性を併せ持つ作品に仕上げられた本作は、ロサンゼルス・シネマフェスティバル・オブ・ハリウッドで主演男優賞、監督賞、長編作品賞など主要部門を受賞したほか、日本では新人監督映画祭の長編グランプリを受賞するなど、米国と日本の映画祭でグランプリを授賞という快挙を成し遂げている注目作品だ。
日本人監督によるロシアを舞台にした自主映画という異例尽くしの本作、ロシア製SF映画好きにはもちろん、日本的な人間ドラマ好きにもこの秋にお勧めしたい映画の一本である。
なお、本作『レミニセンティア』は、現在Motion Galleryを通して国内宣伝活動支援とロシア配給活動支援を募るクラウドファンディングも実施中だ(12月22日23:59まで)。500円から出資が可能なので、本作を応援したいと思った人は、是非クラウドファンディングページを訪ねてみてほしい。
ロシアのとある街の郊外、小説家のミハエルは愛する娘ミラーニャと二人でひっそりと暮らしていた。彼の元には悩める人々がやってくる。
「私の記憶を消して欲しい」
ミハエルは人の記憶を消す特殊な能力を持っていた。小説のアイデアは彼らの記憶を元に書かれたものだった。そんなある日、娘との思い出の一部が無いことに気づく。
過去が思い出せず、悩み苦しむミハエルは教会に行き神に祈る。すると、 見たものすべてを記憶する超記憶症候群の女性マリアに出会う。彼女は忘れることが出来ない病気に苦しんでいた。そして、ミハエルと同じく特殊な能力も持っていた。その能力とは記憶を呼び起こす能力だった。ミハエルは彼女に取引を持ちかける。
「記憶を消すかわりに、娘との記憶を取り戻して欲しい。」
彼女の能力によりミハエルは記憶のはざまへと落ちて行き、そこで、衝撃の真実を知ることとなる。
デニス・ヤコベンコ、アントン・クヌィジョーバ、イゴリ・ボンダレンコ、エレーナ・クヌィジョーバ
監督・脚本・撮影・照明・録音・編集:井上雅貴
プロデューサー:井上イリーナ 助監督:井上智博 MA:小野川浩幸
2016/日本/カラー/16:9/STEREO/89分
製作:INOUE VISUAL DESIGN © INOUE VISUAL DESIGN