春日 弘 (俳優)&嶋本 信明 (俳優)
映画『ハクソー・リッジ』について【2/3】
2017年6月24日(土)TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー
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(取材:わたなべりんたろう )
――メルの演出及び現場はどうでしたか?
春日 2015年9月にユキ長嶋さんによるブートキャンプ、撮影は10月から12月撮影でした。朝夕の寒さと、日中の熱射、夜間撮影の雨による寒さ、発汗と喉の渇き、まさしく戦場でした。メル監督は本当に現場至上主義で役者が困っていると、すぐに横に立ち「こういう感じでやってみようよ」と実演してみせるのです。役者どころか、背景のエキストラにまで同じことをやってしまいます。ぼやけて見えないほど遠くのエキストラの動きをもっとよくしたい、とかで、本当に画面の細部の細部にまでこだわり抜きます。メル監督は役者やクルーをとにかく褒めますね。それも全力で。歩くのも大変な戦場セットで足にサポーターをつけるほど体に負担があるのに全力で走って現場に駆けつけ、全身を使って大きな声で褒める。それを見て、もっといい動きをしようと思わない人間はいませんよ。もう一つ、僕らはADRといういわゆるアフレコもお手伝いしたのですが、ここでの音のこだわり、自分らの場面を見ながら全身を使って音を入れていく感覚は難しく厳しくも貴重な体験でした。この作品は録音・整音でもオスカーを受賞していますので、何度も劇場でのホンモノの臨場体験をしていただいた上で、DVDも買っていただきたいです(笑)。
嶋本 メル監督と少しですがご一緒させて頂いて本当に素晴らしい映画監督さんだということを再認識することができました。個人的には素晴らしいという形容詞よりはもはや天才と言っても過言ではないと思います。この映画の主人公デズモンドと同じように物凄い強い信念をお持ちの方で今作を通して何を伝えたいかという事に対して物凄い明確なビジョンを持って指示を出されていました。あの何百人もの気持ちの入った日米の兵士達がそれぞれ真剣に縦横無尽に走り回っている混沌とした状況の中で、あれだけ明確なビジョンを持って細部まで演出できるって素晴らしいと思います。ましてはあの凄まじい現場を人の目線で表現するって、これはメル監督にしかできないんじゃないかと思います。そしてその監督の信念が現場の全ての人に浸透して日本兵は日本兵の背負うもの、アメリカ兵はアメリカ兵が背負うもの、そして全ての兵士たちが守らなければならないもの、そういった気持ちが毎日思いっきりぶつかり合っていた撮影現場でした。僕のメインシーンである塹壕から出てくるシーンの撮影日は40度越えの猛暑で、かなり暑かったのを覚えています。VFXに頼らず実際に現場で実際に人を吹き飛ばし、人を燃やし、爆破し、現場で演じている兵士たちにとってもそれは本当の恐怖を感じさせるほどでした。これはどうしても伝えておきたいのですが、その恐怖と混沌を実際に演出し、あれだけのことをしたのに一切事故も怪我もなくやり遂げたスタントの人たちには敬意を表したいと思います。
出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィーヴィング、レイチェル・グリフィス、ヴィンス・ヴォーン
監督:メル・ギブソン 製作:ビル・メカニック 日本語字幕:齋藤敦子 PG12
配給:キノフィルムズ © Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
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