――新宿JAMのライブは去年の12月24日ですよね。撮影はいつから始めたんですか？

川口　メンバーと初めて会ったのが10月頭ぐらいかな。そこで「12月24日に新宿JAMでライブをやります」みたいな話が出て、「もう2ヶ月しかないじゃないですか！」というところから始まって。メンバーのシーンはその2ヶ月で撮りました。そのあといろんな方のインタビューを撮って。

――ではあまり密着というわけにはいかないですね。ライブシーンでは新宿JAMのほかに中野サンプラザのものが入っていましたね。

川口　はい、その前に大阪BIG CATのライブも撮って、それはオフショットを映画で使っています。コレクターズがどういう活動をしているかを知りたかったので、そこらへんから入らせてもらいました。中野サンプラザがツアーラストで、それが終わるとメンバーも映画のために動けるようになって、ロケというか、メンバーが出かけるのに同行して撮影したりするようになりました。

――新宿JAMのライブの衣装を買いに行ったりするシーンですよね。メンバーが監督を呼んでくれて、そこに同行する感じだったんですか？

川口　そうです。僕はモッズのことを知らないから、僕の方から「フレッドペリーの店に行きましょう」なんて提案はできない。今回はそういう意味では受け身の部分が多かったですけど、それでいいかなって。カメラ目線でしゃべるので、最初のうちはプロデューサーが「目線大丈夫ですか？　テレビみたいじゃないですか？」って心配して言ってきていました（笑）。まあ確かにテレビ番組みたいだけど、あれがまんま加藤さんなんです。「カメラ目線やめてください」って言う方が演出になっちゃうし、面白いからいいやって。

――さすがバンド歴30年ともなるとカメラにも慣れていて。でもそんなベテランなのに、昔のことを思い返すときは、「メジャーに行くために早くJAMから這い出したかった」「デビューしたらモッズが流行ると思っていたのに、全然花火が上がらなかった」と、いまだに悔しそうに言うんですよね。ハングリー精神を持ち続けていることに驚きました。

川口　ああいうふうに常にみずみずしいのがすごいなあと思いましたね。そこが彼らの魅力だと思います。

――あの時代だからプロ志向がすごく強くて、それは今の若いバンドと違うところですけど、東京モッズというコアなシーンは今の人にも魅力的だと思います。当時は本国からの情報もあまり入ってこなくて、自分たちでファッションを編み出していたというのはすごくDIYだし。

川口　ストリートカルチャーの走りというか、先輩なんだなあって。コレクターズがストリート上がりだということも知らなかったので、それを含めて勉強になりました。