わたなべ　紆余曲折があり過ぎるほどだった今作に関して話が尽きないですしまだ聞いていたいですが残念ながら時間です（ロフトのフリーペーパー「rooftop」でのナリオさんとKEEさんのインタビューが次にあってKEEさんが待機していました。このインタビューを先日読みましたが興味深いので是非）。では最後に映画館で観るお客さんに向けて一言ずつ今作についてコメントをお願いします。

ナリオ　ストリッパーであり、女優であり、パフォーマーである若林美保という女性ありきの企画です。以前から知っていましたが今回がっつりしっかり組ませていただいて、自分の思った以上に素晴らしい女性で上手い下手というテクニックの問題ではなく、努力の人だと思いました。いつまでも新しいものを追求して取り入れようという人です。その精神と姿勢が気持ち良いというか、気持ち良く現場を過ごすことができたし、こういう方を主演で作品を撮れたということがとても嬉しかったです。若林美保の5本の異なる魅力を楽しんでもらいたいと思います。

福島　まず、自作について言うと僕は主人公が若者の青春映画ばかりを撮り続けていてSFのネタを入れることが多いのですが、今回はSFのエレメントをなくして大人の物語にしようと思いました。それは自分にとってチャレンジなのですが、若林さんと園部貴一くんによってそのチャレンジがものすごく上手くいったと思います。いい経験をさせてもらいました。今まで自分の映画を観てきてくださった方も満足してもらえるし、新しいやり方で撮れて良かったなと思っています。そして、『プレイルーム』全体で言うと、いろんな若林美保を見ることができる企画で、その通りになっているし、幕の内弁当みたいなもので好きなものが絶対一つはあるから観に来て！と言える、色とりどりのオムニバスになったなと思います。

佐々木　今回のような手法で撮るときは自分は俳優を本業にしていない人、自分の演出に慣れていない人を使うのが好きだということもあって、若林さんは撮るまであまり会わないでおこうと思っていました。初めて会った時に一緒に映画を観に行ったのでので若林さんのことは大体分かったという気がしていて、若林さんを事前に知るのはそこ止まりにしておこうと。他人同士の間に漂うドキドキ感みたいなものを捉えたかったからです。若林さんは長年舞台に立たれており、無意識でも出てしまう、観られるということに対しての所作がある方なので自分のドキュメンタリー的な手法で、それをどのように見せようかということを、ものすごく暑い熱海で汗だくになってずっと考えながら撮影していました。結果、若林さんのプロフェッショナルな所作と自分のドキュメンタリーの手法が合体して面白いものができたという感じです。

若林　5本全て違う若林美保を観ることができるというのもありますが、各監督の個性を観ることもできます。5本の作品の中には好みのものが必ずあるし全体的にも面白いので是非映画館で観て頂きたいです。

※インタビュー中にも登場しましたが、ナリオ監督プロデュースのバー「OiRAN」公式サイトが11月21日（水）にオープンしました。このインタビューは開店前日の夕方に行いました。店内はアートとカルチャーの交差点といった雰囲気。是非お越しください！

松蔭浩之監督×中村真夕監督インタビュー