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映画『リアリティのダンス』
アレハンドロ・ホドロフスキー監督記者会見レポート

『リアリティのダンス』アレハンドロ・ホドロフスキー監督記者会見レポート

『ホドロフスキーのDUNE』2014年6月14日(土)より、
『リアリティのダンス』2014年7月12日(土)より、
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開

実に23年ぶりの新作となる『リアリティのダンス』、そして未完のSF大作『DUNE』の製作過程をめぐるドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』(監督:フランク・パヴィッチ)の公開を控えるアレハンドロ・ホドロフスキー監督がこのたび来日した。昨年のカンヌ国際映画祭・監督週間でのワールド・プレミア上映時には、壇上に現れた伝説の監督の姿に、そして作品の弩級の面白さに、会場には熱狂が渦巻いたものだが、それから1年、85歳のホドロフスキー監督は日本にも旋風を巻き起こしていった。今回の来日中にはファンとの交流の機会もたくさん設けられ、タロット・リーディング付きの上映会やDOMMUNEでの配信で監督の話を聞いた人は、禅問答のように謎めいた言葉、衰えを知らない凛とした風貌に魅了されたことだろう。この日の記者会見では波乱万丈なホドロフスキー史の重大トピックが多く披露されてまた興味深いものとなった。監督の豊かなパーソナルが映る2作品の公開をぜひ心待ちにしてほしい。(取材:深谷直子)

アレハンドロ・ホドロフスキー監督 1929年、チリ生まれ。1970年に、ジョン・レノンやアンディ・ウォーホルが惚れ込んだという伝説の映画『エル・トポ』を発表。 その後、『ホーリー・マウンテン』(73)、『サンタ・サングレ/聖なる血』(89)を発表し、確固たるカルト界の巨匠としての地位を 築く。ホドロフスキーの映画がほかの誰とも似ていないことは批判者さえもが認めており、無から有を生みだし、見る者を眩惑 し、奇跡を引き起こす“魔術師”であると言える。2014年、ホドロフスキー監督が1975年に企画した幻のSF大作『DUNE』に ついてのドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』(6月14日公開)と、自伝的な作品『リアリティのダンス』(7月12日公開) の2作品連続公開を控えている。

司会者 本日はお越しくださいましてありがとうございます。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督1ホドロフスキー このたび日本に来ることができて大変嬉しく思っています。初めて日本に来たのは50年前で、マルセル・マルソーと一緒に来ました。日本を知るということには文化的な感動があり、そこから私のアートが変わっていきました。25年前には『サンタ・サングレ/聖なる血』(89)のプロモーションで来日しました。そこでまた日本の文化的価値を吸収しました。きっと新作『リアリティのダンス』(13)の中にも多くの面で日本文化の影響が出ていることが分かっていただけると思います。ですから今日こうしてみなさんとお話できることを嬉しく思っています。

司会者 ありがとうございます。今のお話にもありました『リアリティのダンス』は昨年のカンヌ国際映画祭の監督週間で発表され、日本では未公開の前作『The Rainbow Thief』(90)から数えると23年ぶりの新作となります。あらためてこの23年ぶりの本作に込めた思いをお聞かせいただけますでしょうか。

ホドロフスキー 「思い」ってどういうことでしょうか? 「思いを込める」というのがどういうことなのか……?

司会者 そうですね、23年ぶりという長いブランクのあとの作品ということで、本作に賭けた特別な思いがあったのではないかと。

ホドロフスキー ああ、分かりました。私は自分に印を付けません。人は他人と区別することをしなくていいと思うのです。なぜかと言うと、一人の人間はひとつのものではないからです。以前、電話は電話でした。今は四角くなって、その四角が電話でもあり、音楽も聴けます。地図も見れます。誰かが待っているというメッセージもあり、バイブレーションのモードにしてマッサージもできます(笑)。たくさんのことができるわけです。ですから私もたくさんのことをしていいのではと。音楽、絵画、詩、演劇、小説、サイコマジックの発明、たくさんのことをやります。『アンカル』や『メタ・バロンの一族』などのコミックは日本でも出版されました。この23年間創造するということをやめてはいません。時間が過ぎていったわけではないのです。私はマクドナルドのようなやり方で、ビッグマック、ビッグマック、ビッグマック……、と同じものを毎年作っているわけではありません。私が映画を作るのは何かを言うべきときであり、1本の映画を撮り終えると私の人生の一部分が終わります。言うべきことを全部込めるからです。ですから映画で何か言うべきことが来るのを待っています。私の映画は商業映画に対抗するものです。私はスーパー・ヒーローではありません。アイアンマンもスーパーマンもスパイダーマンも好きではありません。3Dも好きではありません、私に襲いかかってくるからです(笑)。『リアリティのダンス』©photos Pascale Montandon-Jodorowsky誰からも暴行を受けたくないし、誰も暴行したくありません。アメリカ映画には反対です。純粋に商業的なものだからです。もちろんお金をくれたらとっても嬉しいですが、私が撮る映画はアートなのです。分かっていただけるでしょうか? 前作から23年経ってしまいましたが、映画で言うべきことがなかったからです。でも突然思いが浮かびました。今まで私は物語を語ってきましたが、自分の人生こそ語るべきものなのではないかと。私の人生が本物ならば、すべての人たちがそれぞれの自分の人生を重ねられるだろうと思いました。誰にでも子供時代の喜びや痛みというものがあります。それを語ろうと思い、映画を作りました。……長い答えですみません(笑)。

司会者 ありがとうございました。ではここからはマスコミのみなさまからのご質問を受け付けたいと思います。

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2014/05/02/20:01 | トラックバック (0)
深谷直子 ,NEWs

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