不二子 (女優) 映画『赤い玉、』について【3/6】
2015年9月12日(土)よりテアトル新宿他にて全国ロードショー
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――奥田瑛二さんとの共演はいかがでしたか?
不二子 控室なんかでは駄洒落ばっかり言っていて、場をすごく和ませてくれるんです。今回は学生さんがたくさん撮影に参加していたので、慣れない方も多かったんですが、そういう子たちにもいっぱい声をかけてリラックスさせていましたね。私にももちろんすごく気を遣ってくださっていたんだろうなと思います。撮影前とかも一緒に食事をしたりお酒を飲んだりして、で、食事に行ったからと言って「じゃあ明日の撮影はこんなふうに」という仕事の話は一切しなくて。やっぱり現場に入って「ヨーイ、ドン」じゃあダメだろうなというのを私も思うし、奥田さんも多分そう思っていらっしゃるんだろうなと思いますね。俳優として大先輩なので、そういうお姿を見られてありがたかったです。
――今回『赤い玉、』についての奥田さんの発言なども聞いて、本当に映画を愛しているんだなとあらためて思います。でもこの映画での演技はそういうギラギラした感じとは違って弱い部分をさらけ出していて、またそこもよかったですよね。
不二子 似合いますよね、奥田さん、こういうダメな男の演技が(笑)。
――この映画は桜の季節から始まって、京都の四季を描いてまた大学の入学式で終わるんですが、実際に1年かけて撮られているんですよね?
不二子 そうですね、私は夏に2週間、冬に1週間かな? 奥田さんは春から本当に1年かけてでした。最後は温泉で終わり(笑)。
――いいですね、打ち上げ気分で(笑)。
不二子 温泉のシーンは好きですね、きれいで。あと好きなのはお風呂上がりに二人で並んでビールを飲んでいるシーンです。
――ああ、全裸でゴクゴクと。最初のほうのシーンですが、二人の関係を一気に見せてくれますよね。
不二子 あそこが可愛いなと思います。二人とも細い身体で、なんか似ているなあと(笑)。
――今回は撮影に学生さんが大勢参加していたとのことですが、大学の映画学科も舞台になっていて、映画作りの内側が見えるということも面白かったです。シリアスなばかりではなくて、『雨に唄えば』(52)のミュージカル・シーンの再現という素敵なシーンもあって。
不二子 あそこが私が初めて撮影に参加したシーンかな? ただ眺めているだけっていう(笑)。みんな歌の練習とか一生懸命やっていました。ダンスも大変だったと思います。
――すごく本格的にやっていますよね。雨もあんなに降らせて。映画の飛躍というのをこんな形でも見せてくれるんだなあと感心しました。それまで衝突ばかりしていた学生たちがひとつになって、映画作りの楽しさを感じさせてくれるシーンでもありました。
不二子 すごくいいシーンで私も大好きですね。本当に映画的だなと思います。