『ハイヒール革命!』第25回レインボー・リール東京・舞台挨拶レポート 【3/3】(取材:深谷直子)
2016年9月17日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
濱田龍臣
ここまでは楽しく展開していた舞台挨拶であったが、締めの質問として「世間でも認知されてきているが、まだまだ差別や偏見を持つ人が多い『セクシャル・マイノリティ』を描く本作で、どんなメッセージを伝えたいか?」と訊かれた三者は、それぞれの想いをあらたまった表情で語った。
まずは真境名が「こういう場で言うのもおかしな話なんですが、私自身『セクシャル・マイノリティ』という言葉は好きじゃないです。むしろ嫌いです。その言葉があることによって、私たち、ニューハーフとかオカマとかいう人が、より区別されてしまう気がして、その言葉が本当になくなったときが差別がなくなるときだと思うので。私自身『セクシャル・マイノリティ』だと思って生きていたことは一度もないです。私自身を知ってもらうためには、映画でも言っていたことですが『私はオカマです』って普通に言うんですね。でもそれってすごく勇気の要ることだと思うんですよ。自分自身がオカマだということを、腫れ物に触るようなこの世間に対して言って生きていくということはすごく大変なことだと思うんです。でも私がなぜこういうふうに強くなれたかというと、家族の支えがあり、理解してくれる友達や仲間がいたからだと思っているので、同じ悩みを抱える方が、この映画を観たことによって、一歩前に勧める勇気を持っていただけたらなと思います」と力強く語りかけた。
濱田も、「真境名さんが言った『一歩の勇気』を出すことによって身近な人がアクションを起こしたら、それに対するまわりの人のリアクションがすごく大事だなと僕は思って。作品の中でも『まわりの人が理解してくれれば障害ではなくなる』という台詞があったように、その人の問題だけではなくてまわりの環境の問題というのがすごく大きなことになっているんじゃないかと僕は考え、まわりの人が興味を持ってあげることがすごく大事なんじゃないのかなと思いました。そういう方がいらっしゃったら興味を持ってあげてほしいなと思います」と実感のこもった言葉で語った。
最後に古波津監督が、「個性が豊かなのがいいことだと言われている割には、人と違うことをやると受け入れられないという矛盾した風潮が結構あると思います。そのためにすごく生きにくさを感じている人がたくさんいると思うんですね。だけどものすごくいろんな人がいるからこそ世界は豊かなはずなわけで、『いろんな人がいるよね。この個性の裏にはこういうことがあるんだよね』というのを感じるきっかけになるといいなと思います」と、やはり「セクシャル・マイノリティ」だけにとどまらず、すべての人が生きやすい社会となることを願って映画を作り上げたことを語り、三人に対して大きな拍手が贈られた。
( 2016年7月17日 青山・スパイラルホールで 取材:深谷直子)
出演::真境名ナツキ、濱田龍臣、秋月三佳、小宮有紗、藤田朋子、西尾まり
監督:古波津陽 脚本:福島敏朗 主題歌:ミヤモリ「Everything」(IVY Records)
製作:益田祐美子、山本ヒカル、中江康人、余田光隆、神野嘉文 プロデューサー:代情明彦、伊藤太一
撮影:柏崎佑介 照明:モリタケンジ 録音:茂木祐介 美術:三ツ松けいこ
編集:小原聡子、伊藤了太、古波津陽 助監督:高橋雄弥 衣装:SERIKA ヘアメイク:石川奈緒記
音楽:松岡政長、YOSHIZUMI
製作:「ハイヒール革命!」製作委員会(平成プロジェクト、山栄、AOI Pro.、TBSサービス、テアトルアカデミー)
制作プロダクション:AOI Pro. © 2016「ハイヒール革命!」製作委員会 配給・宣伝:新日本映画社
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