宗教団体による反社会的活動が取り沙汰されている昨今、
宗教と政治の関わり、信仰とは何か?を問う問題作が緊急上映決定!
上映後は<「宗教・政治・家族」を巡って>と題したトークイベントも連日開催!
宮台真司、島田裕巳、寺尾紗穂、藤田直哉の登壇も決定
息衝く
- 映画『息衝く』を 2010 年頃から数多くのキャスト・スタッフ、協力者とともに製作し、 2017 年より上映してきました。本作は二世信者を主人公にした映画であり、私の 10 代の人生経験、親族、友人のことが根本にありました。スタッフとの共作で一個人の体験や問いを超え、様々な方の生きる課題を見つめる映画になったかと思います。いま改めて、この国の長年の信仰と社会との関係が問われています。
ひとはなぜ迷いながらも自分以外のもの—家族、社会、信仰を必要とするのか。そしてひとは自分が生きている間の時間にどうにかできる分からない問題に直面したとき、なにを選んでその問題と関わりを持ち直していけるのか。いま改めて、この問いに見つめ返されている思いでいます。
本作の再上映で、そうした問いを私たちの日常から考えていける機会にできれば幸いです。 ――木村文洋(『息衝く』監督) - 政教分離の意味は二つある。
第一:政治が特定宗教を贔屓しないこと。
第二:宗教が「信者なら×× せよ」と政治動員しないこと。
後者が難しい。価値観に基づく政治参加は大切で、その価値観は宗教に由来してよい。だが「信者なら ××せよ」は範囲を超えるのだ。どう超えるのかを一言で述べづらい。『息衝く』はその難しさに「社会」ならぬ「実存」の側から切り込む。
宗教二世なら覚えがあろうが、「信者なら×× せよ」という命令に従うことと、宗教的信念に従うことの、微妙かつ大きな違いは、実存の側から見て初めて判るのである。
――宮台真司(社会学者)
2022年9月3日(土)よりポレポレ東中野、
9月10日(土)より大阪・シアターセブンにて緊急公開!
政権与党でもある大宗教団体の信者を親にもつ2世信者たち
自身の信仰と政治活動の狭間で、葛藤し苦悩する人々の群像を描く
ある政権与党の政治団体でもあり、大新興宗教団体でもある「種子の会」。 本作は、その信者を親にもつ、 二人の男と一人の女を巡る物語である。宗教の掲げる理想、原発の再稼働に目を瞑る政党。理想と現実の間に揺れ、自らの信念を問い続けながらも団体の中で生きる二人の男、則夫と大和。一方、「種子の会」を離れ、母親となり、独りで子を育てる一人の女、慈。彼らには絶対的に信頼を寄せる父親的存在がいた。幼少期からの師でもあり、精神的支柱でもあるカリスマ、森山周。「ひとは独りで生きていける程は強くない。世界ぜんたいの幸福を願うときこそ、個であれ―」そう言ったかつてのカリスマは、日本という国を捨てて失踪した。彼が思い描いた未来は果たしてどこにあったのか―この物語は、 三人の2世信者たちが、自身の信仰する宗教の始祖のもとに再び会いにゆくことで、自身の背けていた何かを取り戻そうとする。
本作の監督は、 核燃料再処理工場がある青森県六ヶ所村を舞台に、そこに生きる家族の決断を描いた『へばの』 ('08)。「地下鉄サリン事件」オウム真理教の幹部・平田信と、逃亡を助ける女性の、実在の話をベースに、そのありえたかもしれない束の間の愛のすがたを描いた『愛のゆくえ(仮)』 ('12)など常に社会と個のあり方と関わりに、鋭く問題を投げかけてきた木村文洋監督による長編第3作である。 2018 年に公開され、話題を投げかけた本作が、 2022 年 9 月、宗教団体の反社会活動、政治と宗教の関わりが取り沙汰される昨今、緊急上映される。上映後には<「宗教・政治・家族」を巡って>と題して、各界の識者を呼んでのトークイベントも開催。信仰とは?政治とは?家族とは?と言う困難な問いについてゲストと木村監督と共に考える。
<トークイベント:「宗教・政治・家族」を巡って>
日程: 9/3(土)~9(金) 連日 17:30『息衝く』上映後トークイベント開始
場所:ポレポレ東中野 中野区東中野4丁目4 −1 坐ビル地下
9月3日(土)登壇:木村文洋監督
9月4日(日)登壇: 藤田直哉(SF・ 文芸評論家)、木村文洋監督
9月5日(月)登壇: 宮台真司(社会学者)、木村文洋監督
9月6日(火)登壇:島田裕巳(宗教学者)、木村文洋監督
9月7日(水)登壇:寺尾紗穂(シンガーソングライター、エッセイスト)、木村文洋監督
9月8日(木)登壇:木村文洋監督
9月9日(金)登壇:木村文洋監督
※登壇は予告なく変更となる可能性があります。
監督:木村文洋
脚本・プロデューサー:桑原広考,中植きさら,木村文洋 脚本:杉田俊介,兼沢晋
撮影:高橋和博 撮影・照明:俵謙太 俗音:近藤崇生 助監督:遠藤晶 編集:上田茂
音楽:北村早樹子 録音・ミックス:葛西敏彦 宣伝美術:大橋祐介
製作:team JUDAS 2017 配給:ブライトホース・フィルム
2017 年/DCP/16:9/130 分 ©teamJUDAS2017