新作情報

熱波

第62回ベルリン国際映画祭 アルフレッド・バウアー賞/国際批評家賞(FIPRESCI)
第13回ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア国際映画祭 観客賞/監督賞
2012パリ映画祭審査員特別賞受賞/2012ランサローテ映画祭最優秀作品賞
2012Auteur 映画祭グランプリ受賞/2012ヘント映画祭最優秀作品賞
2012カルタヘナ国際映画祭グランプリ受賞  タイムアウト・アワード2012ベストポルトガル映画
仏カイエ・ドゥ・シネマ2012ベストテン第8位 英SIGHT&SOUND2012ベストテン第2位

http://www.neppa.net/

2013年7月13日(土)より、
シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

特集 ポルトガル映画の巨匠たち

上映作品
マノエル・ド・オリヴェイラ監督
『春の劇』(63)『アブラハム渓谷』(93)『階段通りの人々』(94)
ジョアン・セーザル・モンテイロ監督『黄色い家の記憶』(89)
ミゲル・ゴメス監督 『私たちの好きな八月』(08)『自分に見合った顔』(04/国内初上映)
アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ監督 『トラス・オス・モンテス』(76)
テレーザ・ヴィラ・ヴェルデ 『トランス』(06)

2013年7月13日(土)~7月19日(金) 会場:ユーロスペース 公式サイト
相互割引実施
「特集 ポルトガル映画の巨匠たち」→ 映画『熱波』の半券持参で当日一般一回¥1,500 より200 円割引
『熱波』→ 「特集 ポルトガル映画の巨匠たち」半券持参で当日一般¥1,800 より200 円割引
INTRODUCTION

世界の観客&批評家から絶賛の声!
今ヨーロッパで最も注目されているポルトガルの俊英ミゲル・ゴメス監督が渇いた現代に贈る、去りし日の情熱

『熱波』ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』のペドロ・コスタ監督に“ポルトガルで今最も注目すべき監督”とその才能を認められ、本作で、世界的な権威である仏誌「カイエ・デュ・シネマ」や英誌「サイト・アンド・サウンド」の2012年映画ベスト10入りを果たしたミゲル・ゴメス。前作『私たちの好きな八月』で世界の批評家たちを唸らせた俊英は、ある老婆の現在の虚無感と過去の情熱的な記憶を辿り、上質なメロドラマを完成させた。現代と過去、無機質感の漂うポルトガルの都市と冒険的な雄壮さに満ちたコロニアル時代のアフリカ、そして今目の前にあるものと眩い記憶。対比するものがそれぞれ持つ空気感を表現するため、35㎜と16㎜のフィルムを併用するなど、細部に至るまで様々な映像技法を駆使し、ミゲル・ゴメスは情感溢れる傑作を作り上げた。こだわり抜いた映像が胸を締め付ける。

60年代を彩った名曲によって綴られる
コロニアル時代のアフリカ――熱き恋の物語

ザ・ロネッツの「あたしのベビー(Be My Baby)」「ベビー・アイ・ラヴ・ユー」といった色あせない永遠の名曲によって綴られる本作の恋物語は、過ぎ去った時の話でありながら、音楽同様に色あせず、まるで現在進行形のように鮮やかに現代に甦る。本作は、単に過去を懐かしむのではなく、珠玉の想い出をもう一度体験したかのような感動を、観る者に沸き起こさせる。

Story

第一部「楽園の喪失」
ピラールは定年後の数年間、世界を真っ当にしようとしたり、他人の罪に向き合ったりして、過ごしているが、ここ最近はそれによってストレスが溜まっている。平和の祈りに参加したり、カトリックの社会活動団体に協力したりする彼女はリスボンでのキリスト教集会のためにやってきた若いポーランド人女性を家に宿泊させようとして、迎えにいった空港で、泊まるのを拒まれたり、家に遊びにきた友人に気を使って彼女が描いた醜い絵を掛けたり下したりするのだった。
彼女はまた、孤独な隣人・アウロラに悩まされている。アウロラは短気でエキセントリックな80代の老女だが、お金ができればカジノへ入り浸り、会ってはくれない娘の話を常にしてくるのだ。抗鬱剤の後遺症を持ち、カーボ・ベルデ出身のメイドのサンタが自分にヴードゥーの呪いをかけていると疑っている。サンタは、ほとんど喋らず、命令に従い、他人には干渉すべきではないと考えている。
ある時、病に倒れたアウロラは、ピラールとサンタに謎のお願いをし、二人はそれを叶えるために奔走する。既に長くは生きられないことを悟ったアウロラは、消息不明のベントゥーラという男に会いたいと言い出したのだ。ピラールとサンタは彼が生きていることを知るが、彼はもう正気ではなかった。ベントゥーラとアウロラには、ある約束があったのだ。それは、ポルトガル植民地戦争が始まって間もない50年前に起きたこと。彼は語り始める。「アウロラはタブー山麓に農場を持っていた…」

『熱波』場面1 『熱波』場面2

第二部「楽園」
アウロラの父親は、アフリカで事業を起こそうとポルトガルを出てタブー山麓にやってきたが、若くして脳卒中に倒れた。母親は彼女を産んで直ぐに他界していた。一人残った彼女は、お手伝いと家庭教師と共に暮らし、夢見がちな毎日を過ごしていた。大学の卒業パーティーで夫と出会い結婚、何不自由ない幸せな生活を送っていた。
しかしある日、流れ者的にアフリカにやってきたベントゥーラと出会うと、彼女の心の奥底にあった冒険心の炎が燃え上がる。またベントゥーラも一目で彼女の魅力に惹かれ、夫がいる彼女の虜になってしまう。こうして、どうにもならない情熱にせき立てられ、禁断の物語が幕を開ける…。

2013年7月13日(土)より、
シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

インタビュー

ミゲル・コメス監督インタビュー

――この映画を撮ろうとしたきっかけは?

自分の親族の中にピラールのような人がいるのです。彼女はずっと一人暮らしで、敬虔なカソリック信者で、映画に行くのが好きな人です。彼女は私が映画にのめりこむきっかけを作った一人です。彼女は人道的活動に精を出していましたが、さらに次へ飛躍しようとしていました。彼女は私にある年老いた妄想気味の隣人との関係を話してくれました。その老女はよく彼女の家へ避難してきて、アフリカ人のメイドが、夜、自分を部屋に閉じ込めて、証拠が残らないように虐待するのだと訴えていたそうです。私はこの三人の奇妙で煩わしく、孤独な老女たちのキャラクターにとても興味が沸いたのです。彼女たちは元来、我々が日常で出会うようなごく普通なキャラクターだと思いますが、映画の中ではあまり会うことのないキャラクターだと思います。

――第二部のサイレント部分はどのように思いついたのですか?

第二部が技術的にサイレント映画なのかはよくわかりません。対話は抑制されていますが、映画の中で起こっている出来事を詳しく語るナレーションがついています。そしてベントゥーラとアウロラが交わした手紙も出てきます。誰かが聞き手に向けてストーリーを語っているのです。ベントゥーラの記憶と、ピラールとサンタが彼の話から想像するイメージの間には、対話の余地はありません。まるで登場人物が交わす具体的な言葉が時間の中でさ迷っているかのようです。それはまた、サイレント映画の美学を伝えたいという側面から来ています。サイレント映画の現代的な模倣をしたくはなかったのですが、そのエッセンスや美に辿り着く方法を探りました。少なくとも努力してみました…。

『熱波』場面3 『熱波』場面4
――それはもう存在しない映画への探究だったのでしょうか?

本作は、時間の流れ、消えてしまったもの、記憶、幻想、亡霊といったイメージの中でしか存在しないもの、あるいはそういったものが集まった映画の中でしか存在しないもの、についての映画です。映画の中では大きな省略があり、私たちは50年前にまでさかのぼります。老人から若いころへ、過去の遺物や罪の時代から非道の時代へ、ポスト植民地社会から植民地時代へ。これは消滅してしまったものについての映画です。例えば死んだ人、消滅した社会、その時に生きていた人々の記憶の中にしか存在しない時代などです。私は死に絶えた映画とこういったものを結びつけたかったのです。私たちは映画をモノクロフィルムで撮ることにしました。それは消える危機に瀕しているものです。現代のパートは35ミリで、アフリカのパートは16ミリで撮影しました。なぜ前半はカラーではないのか、とよく聞かれるのです。過去はモノクロで、現代はカラーだという、バカバカしい慣習があるせいですね。もし第二部がいわゆる“時代物”として知られる作品に当てはまるとしても、第一部の方が“時代物”ではないかというと、そうとも限らないと思うんです。

――現代のリスボンの芝居の中で植民地時代はどのような役割を担っていますか?

それは社会学的な質問ですね。きっと長い答えになると思いますが、自分では答えられる気がしません。ポルトガルと旧植民地(アンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウ、カーボベルデ)との戦争は60年代前半に始まり、1974年まで続きました。その年の4月25日にカーネーション革命が起こり、ファシスト政権が崩壊し、各国が独立を宣言しました。つまり、その出来事はこの国の歴史の中でも、つい最近のことなのです。何千人ものポルトガル人がその時に帰国しました。例えば、私の母はアンゴラ出身で60年代に勉強するためにポルトガルにやってきました。申し上げた通り、私はこの映画で植民地問題について明確にするというより、もっと抽象的な要素を表現したかったのです。喪失の曖昧な感覚、非道で残忍な愚行の時代の罪といったような。でも、第二部の強い高揚感を汚すために、第一部の憂鬱感が欲しかったのです。「楽園」におけるイメージと登場人物の行動はすでに「失楽園」から来ているのです。タブー山はモザンビークのどこにあるのか?モザンビークにタブー山はありません。映画の中で見る全てのことを信じないで下さい。映画は、マラウィの国境近くの、北部にあるザンベジア地方で撮影されました。そこは紅茶農園のある山岳地帯です。映画の中ではモザンビークだとさえわかりません。それは名前のない旧ポルトガル植民地です。本作のために新たに創造された不明確な歴史地区なのです。

C R E D I T

監督・脚本・編集:ミゲル・ゴメス
共同脚本:マリアナ・リカルド 撮影:ルイ・ポッサス 音楽:ヴァスコ・ピメンテ
衣装:シルビア・グラボウスキ 編集:テルモ・シューロ 製作:サンドロ・アギラール、ルイス・ウルバノ
出演:テレーザ・マドルーガ,ラウラ・ソヴェラル,アナ・モレイラ,エンリケ・エスピリト・サント,
カルロト・コタ,イザベル・カルドーゾ,イヴォ・ミュラー,マヌエル・メスキタ
2012 年|118 分|モノクロ|スタンダード|35 ㎜|ポルトガル=ドイツ=ブラジル=フランス合作
ポルトガル語|原題 TABU 字幕翻訳:西山敦子
提供:新日本映画社 配給・宣伝:エスパース・サロウ 後援:ポルトガル大使館
© O SOM E A FURIA, KOMPLIZEN FILM, GULLANE, SHELLAC SUD 2012
http://www.neppa.net/

2013年7月13日(土)より、
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夜顔 [DVD] 夜顔 [DVD]
  • 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
  • 出演:ミシェル・ピコリ, ビュル・オジエ, リカルド・トレパ, レオノール・バルダック, ローレンス・フォスター
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永遠の語らい [DVD] 永遠の語らい [DVD]
  • 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
  • 出演:レオノール・シルヴェイラ, ジョン・マルコヴィッチ, カトリーヌ・ドヌーブ, ステファニア・サンドレッリ, イレーネ・パパス
  • 発売日:2005/01/28
  • おすすめ度:おすすめ度4.5
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2013/07/06/11:19 | トラックバック (0)
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