田中さくら監督2作品同時上映
薄暮の旅路
『夢見るペトロ』
『いつもうしろに』
2024年3月2日(土)~15日(金)、
シアター・イメージフォーラムにて2週間限定上映
2023年8月に開催された、若手映画監督の登竜門として知られる「田辺・弁慶映画祭」のセレクション上映で3日間限定で上映され、16回に及ぶ同セレクション史上初の3日間満席を記録して話題を呼んだ田中さくら監督の2作品同時上映が、《薄暮の旅路》と題されてシアター・イメージフォーラムにて単独公開される。
今回上映される『夢見るペトロ』は、全編16㎜フィルムで撮影され、いくつもの選択と決断の中で、少しずつ前を向こうとする少女の“心の旅”を描き、第16回田辺・弁慶映画祭審査員特別賞と俳優賞(主演:紗葉)の二冠を獲得した。また、併映の『いつもうしろに』は、過去や思い出たちとの”出会い直し”を描く少し不思議な物語で、監督は、苦しい思いをしてい人の心に寄り添う、ホットミルクのような映画が作りたい、という思いを込めてメガホンを取ったという。
上映初日となる3月2日(土)の舞台挨拶には、 大下ヒロト (『いつもうしろに』主演)、 紗葉(『夢見るペトロ』主演)、 佐藤京(『いつもうしろに』出演)、 二村仁弥(『いつもうしろに』出演)、 田中さくら監督の登壇も決定している。
夢見るペトロ
チラシ配りのアルバイトをしながら暮らすさゆりのもとに、ある日、飼っていたインコのペトロを失くした兄・りつが訪れ、突然自身の結婚を告げる。さゆりは、兄の結婚という現実から目を背けるように過去へ、幻想へと沈み込む。
出演:紗葉,千田丈博,雪乃
脚本・監督:田中さくら 撮影:古屋幸一 撮影助手:蔵並遥,齊藤佳斗,余語優志 録音:木暮篤,宮城智之
美術:濱中春 衣裳:西嶋美有 スチール:松井惣一朗,友長光明 車輌:山口泰佑,髙尾健蔵,井上直紀
制作:亀山広樹,細貝勁介,久能輝 助監督:庄璃花子 現像:IMAGICA Lab. 音楽:Asu フォーリー,川嶋輝久
題字:PINKY CHAU 宣伝イラスト:近田しおん 翻訳:鄧カ川,田川葵,Sori Lim ポスターデザイン:田中さくら
協力プロデューサー:熊谷宏彰,山口宇彦,山口泰佑 協力:同志社大学自主制作映画サークルF.B.I.
2022/日本/カラー/16:9/ステレオ/16㎜フィルム/32分
いつもうしろに
大学を卒業して2年。実家を離れ就職することが決まったショウタは、淡々と思い出たちを断捨離していく。空っぽの新居で出会ったのは怪しげな着ぐるみ。その着ぐるみの中にいたのは、別れた恋人と同じ顔をした女性だった。
出演:大下ヒロト,佐藤京,在原貴生,二村仁弥,金谷真由美
監督:田中さくら 共同脚本:石井夏美 撮影:浅津義社 照明:石川冬生 照明助手:大嶋空大,武田哲喜
録音:堀内萌絵子 スチール:伊藤奨 メイク:橋内弥生,滑川彩香,堀江風花 操演:STRONG遠藤,船山拓哉
音楽:Asu 制作:佐藤和貴,島田有捺 助監督:稲田凌 劇中漫画:松下周平 衣裳協力:小宮山芽以
題字:坂田佳菜女 プロデューサー:山口泰佑,山口宇彦,熊谷宏彰
2023/日本/カラー/4:3/36分
- やす子(芸人)
『夢見るペトロ』>人に対する執着や年月を重ねると変わっていくことに目を背けがちな私に凄く刺さりました…!フィルムの味も、台詞もとてもとても素敵で、またみたいなともう思っています。
『いつもうしろに』>捨ててしまっている自分を見て見ぬふりしてたなと、自分にも残酷な部分があるなと思い知らされました。苦しいきもちになりそうな中、海や草原が綺麗で落ち込みすぎずに見ることができました! 日常の一つ一つをもっと好きになれそうな気がしました! - 磯村勇斗(俳優)
田中さくら監督の描く世界に足を踏み入れたい。彼女の作品は映像の呼吸がとても心地良い。僕の心を擽り、不思議な世界へと誘ってくれる。 - 寺尾紗穂(シンガーソングライター)
気にかけることが愛であり 忘れないことが愛なのだ 田中さくらが描くのは 時間の中に息づく愛についての物語だ - 浦上想起
『夢見るペトロ』>こちらの想像の及ばない両人の関係に惑いつつも、フィルムトーンを通した可憐な有象無象、美しい判じ物のような映像の世界にゆったりとろける心地よさがあった。ボーダーレスでパラレルな営みの中で、ゆっくりとで良いので生活に希望を取り戻してもらえると嬉しい。
『いつもうしろに』>静かな軽妙さと切なさを湛えたタッチが美麗なロケーション(緑も海も草原も)と調和するさま、どこまで本当なのか分からぬはぐらかされ方にも胸を打たれる。喪失した過去を丁寧に掬い取る想い、自我に隣り合う眼差しを大切に解釈したいです。暮らしにぬいぐるみを! - 犬童一心(映画監督)
「不器用な手つき。慌てず騒がず過ぎていく時間に身を浸す。楽しかった。若さが眩しかった。「今」は、過去も未来も幾つにも折り重なってそこにある。その場に見えないこともそこにはある。それをカメラが探り当ててこそ「リアル」が現れる。と田中さくらさんの映画を見ながら思った。 - 大友啓史(映画監督)
今の時代に忘れられているものを、令和の新しい感性が捉え始めている。いまこの時代に残すべき映画だ。 - 根矢涼香(俳優)
景色をフィルムに焼き付ける時、いつか自分が見る夢を撮り溜めているのだと、たまに思う。曖昧で掴めない感情に栞を挟むようにきっと、田中さくら監督はものづくりをしているのだと思う。光に晒せば消えてしまうかもだけど、ちゃんと私は覚えているよ、と言うかのように - 羊の目。(漫画家)
シームレスに流れる日常と非日常。夢と現実の間をゆったりと泳ぐような心地よさ。田中さくら監督が撮る景色は静謐で、それでいて雄弁だと思う。ガラスの瓶が落とす小さな影から人生が垣間見える。ポツリとこぼすセリフひとつがその人の辿った足跡を想起させる。子供の頃、あるいは思春期。ふとした時に訪れた寂しさ。愛しさ。かつて誰もが内包していたあの気持ちをそっと優しく掬いあげてもらえたような。そして気づけば映画に身を委ねている。白昼夢を泳ぐように。この映画に出逢えて本当に良かった。 - 東直子(歌人)
立ち止まって、来た道をゆっくりとふりかえる。そうすることで、失いつづける世界を深く受け入れることができる。たくさんの光とかすかな風とおだやかな声が、立ち止まるための時間と新しい気づきを与えてくれる。