インタビュー
濱口竜介監督

濱口 竜介 (映画監督)

レトロスペクティヴ『ハマグチ、ハマグチ、ハマグチ!』について

公式

2012年7月28日(土)~8月10日(金)まで、渋谷オーディトリウムにて開催!

映画監督・濱口竜介のレトロスペクティヴが、国内外から多数のゲストを迎えて開催される。ようやく実現した機会に喝采を送る人もいれば、聞き覚えのない名前に首を傾げる人もいるかもしれない。正式な商業公開作が1本もない状態のままで精力的に活動を続ける彼の歩みをたどることは、そのまま、現在の日本における映画監督という職業、あるいは肩書きの意味を考えることにも通じるに違いない。国際映画祭への正式出品、韓国との合作、4時間を超える長篇の制作、東北地方における東日本大震災の被災者の声に耳を傾けたドキュメンタリーの撮影などなど、偶然に翻弄されてきた数奇な監督生活を振り返っていただいた。(取材:鈴木 並木

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濱口竜介監督3――『Friend of the Night』(2005年) ミュージシャンの岡本英之さんからの、「ライヴでの上映用に怖い映画を作ってほしい」との要請によって作られたとのことですが、ホラーの脚本が書けない男が出てきたりして、いわゆるジャンル映画としてのホラー映画ではないですね。

濱口 一応、黒沢清監督の弟子を自認していますが、恥ずかしながらホラー映画はちゃんと通ってはいないです。ホラー的表現には興味がありますけど、体の芯ではホラーを分かっていない部分があると思います。本来いない、見えないはずのものを見せてしまう、ということに少し抵抗があるのかもしれないです。

――見えないものを可視化するのは映画の大きな機能のひとつだと思いますが、幽霊のようなものを可視化することには納得がいっていない?

濱口 ごく日常的なレベルで、「本当にいるの?」っていうのがまずあるじゃないですか。幽霊いるいないの話になった場合、どちらかと言えばいないだろうという立場に立ちます。そのときに、よっぽど強い強制がない限り、そのいないものを、いるもの、あるものとして撮るモチベーションがあまりわかないんですね。「なしをありにする」のは映画の大きな魅力だと思ってますが、できれば作品の過程で実現する方が好みですね。


――藝大の長編課題作品として撮られた、タルコフスキー『惑星ソラリス』(1972年)のリメイク『SOLARIS』(2007年)は、西洋幽霊譚みたいなものですよね。

濱口 『SOLARIS』の場合、すごくやりやすかったのは、幽霊とはいっても実際の人間と見分けがつかない幽霊が出てきて、それを殺したりすることに後ろめたさを覚えたりする。ですから普段の感覚を持ち込んでやれましたね。できたものは、気に入ってもいます。

――いわゆる幽霊とか宇宙人を撮る予定は、今後ともないということですか。

濱口 そんなこともないんですけど(笑)、どうなんでしょうね。伝統として、映画における幽霊というのはありますからね。だから、興味深いんですけどアプローチする方法がまだ僕には分からないということかもしれません。誰かに強制して欲しい、という思いはあります。

――ちなみに今回のプログラムには『SOLARIS』が入っていませんが。

濱口 『SOLARIS』は製作後、公開できないかという話になって、当時の藝大事務室で調べてもらったら、製作や上映関係の権利を持っているのが、(リメイク版『ソラリス』を作った)スティーヴン・ソダーバーグだとわかりました。ですので、作ってはいけないものを作ってしまったということなので、基本的には上映は学内のみに限っています。


――続いて、『記憶の香り』(2006年)についてお願いします。

濱口 あ、でも、これも幽霊みたいな話ですよ。ひとの脚本ですけど。

――初めて他人の脚本(小林美香)で撮られた作品ですね。基本的には自分で脚本を書いて演出したいタイプとお見受けしますが。

濱口 自分で脚本を書くのはけっこう飽き飽きするものなんです。どうしてもパターンも決まってきますし。ですから、なんとか他の人と組みたいという気持ちは常々、持っています。自分じゃないものが、映画を作る際には入ってきてほしいですから。 監督として、こんなことを言っていいのか分かりませんが、『記憶の香り』は脚本のことをよく理解していないで撮ってますね(笑)。どうも河井青葉さんが幽霊のような存在であるらしい、という仮定のもと撮っているんですけど、急に「実はわたしあのひとと不倫してたの」みたいなことを言い出して、生きてるのかしら、みたいな感じがする。ちょっと分かんない役なんです。

――実際的な作業のレベルで、よく分からない脚本を撮ることはできるものなのでしょうか。

濱口 脚本に書かれているとおりに撮る、ということに専念しました。それも新鮮でしたし。ただ、ぼくはそのよく分からない脚本を本当に気に入ってしまったんですよね。因果関係の崩壊しているところがあって、その壊れ方が半端ないなと思いました。それを、とても端正に撮ることができたら、いったいどんな映画ができあがるんだろうという興味で撮りましたね。初見後、2回目を見ると、因果の狭間に落ちるような感覚があって、そこは本当に面白い作品だと思ってます。

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映画作家・濱口竜介レトロスペクティヴ『ハマグチ、ハマグチ、ハマグチ!』
■料金(レイトショー)当日券 一般=1500円/大学・専門学校生・シニア=1200円
※回数券(3回券)=3300円(会期中も販売/複数人数での使用可)
■『親密さ』オールナイト 料金当日券 一般=2000円/大学・専門学校生・シニア=1800円
※半券割引(オールナイトのみ)当日券 一般=2000円→1800円/大学・専門学校生・シニア=1800円→1500円

公式

2012年7月28日(土)~8月10日(金)まで、渋谷オーディトリウムにて開催!

2012/07/26/19:42 | BBS | トラックバック (0)
鈴木並木 ,インタビュー
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