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先生を流産させる会

『先生を流産させる会』1

『先生を流産させる会』は本当に人を切り裂く映画だ。
真の悪意をもつ映画だけが人を感動させることができるのだ。
――柳下毅一郎(特殊翻訳家)

http://sensei-rsk.com/

2012年5月26日(土)より、渋谷ユーロスペースにてレイトショー!

INTRODUCTION

『先生を流産させる会』2 『先生を流産させる会』3サワコ先生が妊娠した。それは思春期を迎えて揺れ動く女子生徒たちにとって、大きな事件だった。「サワコ、セックスしたんだよ。気持ち悪くない?」サワコの妊娠に反発を覚えた生徒たちは、ある会を結成する。その名は――“先生を流産させる会”。
2009年の1月から2月にかけ、愛知県半田市のごく普通の中学校で起こった出来事が日本中を戦慄させた。1年生の男子生徒たちが<先生を流産させる会>を結成、妊娠中だった担任の女性教諭の給食に異物を混ぜるなどの悪質な悪戯をしたのだ。おぞましくも今日的な事件はメディアの注目を集めたものの、教育委員会は「あくまで稚拙な悪戯」という見解だった。ネット上では過激な処罰を求める声も少なくはなかったが、どちらも安全な立場から発せられた無責任な発言ではないか……そんな疑問から、この映画『先生を流産させる会』は誕生した。
成熟過程の漠然とした不安と焦燥が性に対する嫌悪感と結びついたとき、予想もしない行動に出る少女たち。それに“大人”として、そして“母親”として、毅然と立ち向かう女性教師。映画化にあたり、男子生徒から女子生徒へと設定が変わり、物語はあくまでフィクションとして描かれるものの、閉塞的な学校社会、モンスターペアレンツの問題といった現代の教育がはらむ病巣をしっかりとらえながら、少女たちと教師との“いのち”をめぐる葛藤にしっかり向かい合った最凶の教育映画と言える本作。それはまた、同じく学校における犯罪をモチーフにしたメジャー映画『告白』に対するインディペンデント映画からの返答と言っても過言ではない。
脚本・監督は短編『牛乳王子』が国内外の映画祭でセンセーションを巻き起こした内藤瑛亮。極めて扇動的なテーマを扱いながらも、瑞々しい映画的感性を存分に発揮、過去になかったような余韻を残す。また本作が長編第一作にあたる。出演する少女たちは、“先生を流産させる会”のリーダー、ミヅキを演じる小林香織をはじめ、全員が映画初出演。しかも撮影当時ほとんどが演技未経験だったとは思えない圧倒的な存在感と思春期特有の危うさをまき散らす。
2011年のカナザワ映画祭、ドイツ・ニッポンコネクション、そして2012年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭に出品されて絶賛されたものの、そのタイトルや題材の過激さ故、なかなか一般に陽の目を見ることはなかった。だが作品本来の魅力が伝わるにつれ各方面から公開を希望する声があがり、ついに劇場公開となった。
「生まれる前に死んだんでしょ。いなかったのと同じじゃん」
無邪気にそう告げる少女に、大人はどう答えることができるのか。これは“良識ある大人”への、極めて過激な挑戦状なのかもしれない。

Story
『先生を流産させる会』4 『先生を流産させる会』5ある郊外の女子中学校教員・サワコ(宮田亜紀)は、難しい年頃の生徒たちや子供に過剰な愛情を注ぐ父兄らに手をこまねながらも、時に厳しく教え子たちを指導する。
そんなサワコが妊娠した。一気に色めく立つ生徒たち。退屈な毎日に刺激が欲しい生徒たちにとって、それはひとつの事件だった。担任のおめでたに過度に反応したのは、複雑な家庭環境に育ったミヅキ(小林香織)たちのグループ。「サワコ、セックスしたんだよ。気持ち悪くない?」思春期の少女たちにとって、それは汚らわしい行為にしか思えない。彼女たちは廃墟となったラブホテルの一室で、ある会の結成の儀式をたてる。名付けて、“先生を流産させる会”。
早速サワコに嫌がらせを始めるミヅキたち。理科室で薬品を盗み、サワコの給食に混入する。異変に気付いたサワコはすぐに口に入れたものを吐き、保健室のベッドに運ばれた。何食わぬ顔で眠るサワコの元を訪れたミヅキは、サワコの腹部に触れながら保健の先生に問う。「何カ月から人間になるんですか?もう人間なんですか?」答えに詰まる保健の先生。
ホームルームで、心当たりの生徒の名前を配った紙に書くよう告げるサワコ。そこから犯人を割り出したサワコは、放課後ミヅキたちを教室に残す。「私は赤ちゃんを殺した人間を殺す。先生である前に女なんだよ」。しかしサワコの怒りを込めた訴えも、罪の意識が希薄なミヅキたちには通じない。逆に嫌がらせはエスカレート、後ろめたさを感じ始めたメンバーも、仲間外れにされる恐怖感からかミヅキに異を唱えることができない。サワコにあからさまな対決姿勢をとるミズキらに、大人として、そして母親として毅然として立ち向かうサワコだったが・・・。
C R E D I T
宮田亜紀 小林香織 高良弥夢 竹森菜々瀬 相場涼乃 室賀砂和希 大沼百合子
監督・脚本:内藤瑛亮
脚本協力:佐野真規 松久育紀 渡辺あい
撮影:穴原浩祐/照明:星野洋行/録音:黒須健/美術:原太一/
特殊造形:麻草郁/音楽:有田尚史/編集:冨永圭祐/ロゴデザイン:勝彦/CG:谷脇邦彦/整音:中瀬慧 黄永昌/
助監督:佐野真規/制作進行:笠原雄一企画:内藤組/製作協力:映画美学校/製作:内藤瑛亮
日本/2011/HDV/62分 ©2011 内藤組
http://sensei-rsk.com/

2012年5月26日(土)より、渋谷ユーロスペースにてレイトショー!

2012/04/29/18:25 | トラックバック (0)
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