SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014
長編コンペ部門選出日本人監督鼎談
加藤悦生 × 草野なつか × 遠藤幹大
公式サイト
去る7月19日から9日間に渡って開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014の長編コンペ部門で選出された日本人監督3人、加藤悦生監督(『PLASTIC CRIME』)/草野なつか監督(『螺旋銀河』)/遠藤幹大監督(『友達』)で鼎談をおこなった。作品傾向もまるで違う3人の監督の鼎談から現在、映画監督をするとはどういうことか見えてきたら幸いだ。(司会:わたなべりんたろう)
草野なつか 1985年生まれ。神奈川県大和市出身。東海大学文学部文芸創作学科卒業。在学中、当時同学科の特任教授であった映画批評家・山根貞男の講義を受講し、映画に興味を持つ。卒業後は映画美学校12期フィクションコースに入学。在籍中から自主映画の現場に制作などで参加。
遠藤幹大 1985年生まれ、三重県出身。京都造形芸術大学在学中から自主制作映画の製作を。卒業後、演劇カンパニー「マレビトの会」(代表:松田正隆)の活動への参加を経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。黒沢清に師事。主な監督作品に『to/for』(08)『エルドラド』(12)、『ビフォーアフター』(13) がある。
加藤悦生監督
『PLASTIC CRIME』©2013 PLASTIC CRIME司会 まず自己紹介を願います。
加藤 ぼくはテレビやCM、PVなど映像の仕事をしてきたのですが映画、長編映画を作りたくなったんです。理由は映画が好きだから、それだけです。
草野 大学で映画評論家である山根貞男さんの講義を受けた事をきっかけに映画を観るようになりました。卒業が近くなってきて「映画を作りたい」と思い、大学卒業後は映画美学校に入りました。修了後は短編を撮ったりもしたのですが長編には踏み出せずにいて。そんな時にCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)に通り、そこで初めて撮った長編が『螺旋銀河』です。
遠藤 大学卒業後に、演劇カンパニー「マレビトの会」の活動に参加して、その後東京藝術大学に進学しました。大学院の修了制作として作ったのがこの『友達』です。
司会 製作の動機や経緯を教えてください。
加藤 面白い映画を作りたかったんです。プロフィールには『家族ゲーム』に影響を受けたと書いてありますが、そんなこともなくてポール・トーマス・アンダーソン監督の作品が好きなんです。うまく言えないですが、自分が面白いと思う映画をとにかく作りたかったんです。ただ、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭に一つ言いたいのは僕の作品を選んでくれてありがとう、でも僕の作品なんて選んでいいんですか? です。多くの映画祭に応募されましたが入選しなかったんで素直に嬉しいことは嬉しいんですが、この映画をSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映したらお客さんがどんな反応するか分からないんです。
草野 先ほども言った通り、CO2に通ったことでこの作品を撮ることが出来ました。本作に出演している渋谷さんは映画美学校の実習で初めて会って以来、5年以上の付き合いになるのですが、これまで撮った2作の短編にも出てもらっています。石坂さんは過去の出演作品を観て、綾のイメージにとても合っていたのでこちらからお願いをしました。。
遠藤 とある劇団が劇団運営の為にワケありの新郎新婦の挙式、例えば新郎は極端に友人が少ない。一方新婦は沢山友人がいる。それだとかっこがつかないよという事で、数人の劇団員が新郎の友人に成りかわって式に列席する、そしてそれに対して報酬を得る…そんな話を俳優の方から聞きました。その話ががきっかけになり、舞台があり、客席があってという事では無い「演技」の消費の有り様に興味を持ち、映画にしたいなと思ったのがまずもっての動機です。
監督:加藤悦生 出演:伊藤和哉、鄭美奈、辻しのぶ、小林真実、片岡功、小池真吾、鈴木タロオ
螺旋銀河 監督:草野なつか 出演:石坂友里、澁谷麻美、中村邦晃、恩地徹、石橋征太郎
友達 監督:遠藤幹大 出演:山本剛史、松本花奈、大庭裕介
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014
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