ポーランド映画の巨匠アンジェイ・ワイダ監督
遺作『残像』公開記念講座開催
6月12日(土)、16日(金)、岩波神保町ビル9Fシネサロンにて開催
ワルシャワ蜂起など史実に材を取った作品を撮り続け、レジスタンスの体験を基にした『世代』(54)、対ソ連の地下抵抗運動を描いた『地下水道』(56)、第2次大戦前後のポーランド社会の流転を描いた『灰とダイヤモンド』(58)など、「抵抗3部作」で国際的な評価を獲得。1981年には『鉄の男』でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞、2000年には米アカデミー賞名誉賞を受賞するなど、文字通りポーランド映画界の巨匠と呼ばれるにふさわしい監督だ。
そんなワイダ監督渾身の遺作となった『残像』は、第二次世界大戦後のソヴィエト連邦影響下に置かれたポーランドを舞台に、スターリンによる全体主義に脅かされながらも、情熱的に創作と美術教育に打ち込んだ実在の画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキを描く。
今回、6月10日(土)からの岩波ホールでの公開を記念して、現代ポーランドを代表する映画研究者タデウシュ・ルベルスキ氏と、ポーランド文化研究で知られる東京外語大学名誉教授 関口時正氏による特別講座が実施される。是非この機会にワイダ監督の足跡を辿って、その一貫したテーマに関する理解と発見を深めてほしい。
「残像」の公開を記念して、ポーランドの映画研究者である、タデウシュ・ルベルスキ教授を招きして、トークイベントを実施。(通訳:久山宏一氏)
◎講演者:タデウシュ・ルベルスキ氏
1949年生まれ。ヤギェロン大学(クラクフ市)教授。現代ポーランドを代表する映画研究者。専門はポーランド映画(特にワイダ作品)、フランス映画、文学と映画の相関関係。
主著:『ポーランド映画史』『ワイダ』『ヌーベルバーグ』
主催:ポーランド広報文化センター、アルバトロス・フィルム、岩波ホール
6月16日(金)13:30~15:00/<残像>とポーランド・アヴァンギャルド100年
映画ではあまり紹介されていない、主人公ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキと妻カタジナ・コブロの造形作品を多数スライドで紹介。二人の生涯や著作を語るとともに、アヴァンギャルド芸術と社会主義について考える。
◎講演者:関口時正氏/東京外語大学名誉教授(ポーランド文化)
◎内容:講義60分+質疑応答30分
主催:NPOフォーラム・ポーランド組織委員会
共催:ポーランド広報文化センター、アルバトロス・フィルム、岩波ホール
◎岩波神保町ビル9階 シネサロンにて
◎定員40名、先着順 (当日、10時30分より10階にて整理番号券を配布)
◎入場無料(映画を事前にご鑑賞いただいている方が対象。整理番号券受け取り時にチケットの半券要提示)
★2016年トロント国際映画祭マスター部門上映作品 ★2017年アカデミー賞ポーランド代表作品
残像
2017年6月10日(土)、岩波ホールほか全国順次ロードショー
本作は、第二次世界大戦後のソヴィエト連邦下におかれたポーランドで、社会主義政権による圧制と闘い続けた実在の前衛画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描く。ワイダの死の一か月前、トロント国際映画祭マスター部門で世界初上映され、2017年アカデミー外国語映画賞ポーランド代表作品に選ばれている。撮影監督と務めるのは、『戦場のピアニスト』(03)でアカデミー賞にノミネートされたパヴェウ・エデルマン。ワイダとのコンビは、『パン・タデウシュ物語』(99)以後の全作品に渡る。
スターリンによる全体主義(個人の全ては全体に従属すべきとする思想または政治体制の1つ)に脅かされながらも、カンディンスキーやシャガールなどとも交流を持ち、情熱的に創作と美術教育に打ち込んだストゥシェミンスキ。しかし、作品に政治を持ち込むことを拒み、党規則に反する独自の芸術の道を進んだため迫害され、やがて芸術家としての名声も、尊厳も踏みにじられていく。しかし彼は、いかなる境遇に追い込まれても芸術に希望を失うことはなかった……。全体主義に対するアーティスティックなレジスタンスのシンボルとなった画家の晩年の姿は、ワイダが生涯を通して追求し続けたテーマを凝縮させたかのようであり、まさしく“遺言”と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっている。 公式サイト
脚本:アンジェイ・ワイダ、アンジェイ・ムラルチク 撮影:パヴェウ・エデルマン
出演:ボグスワフ・リンダ、ゾフィア・ヴィフラチュ
2016年/ポーランド/ポーランド語/98分/カラー/シネスコ/ドルビー5.1ch/DCP/
原題:Powidoki /英題:AFTER IMAGE
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