インタビュー
岩名雅記監督/『シャルロット すさび』

岩名 雅記 (監督)
公式インタビュー
映画『シャルロット すさび』について
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公式サイト 公式Facebook

2018年10月6日(土)より、新宿K’s cinemaにてロードショー!

構想16年。在仏30年にして今尚、現役の舞踏家・岩名雅記(いわなまさき)、73歳による、パリ、東京、福島を舞台にした171分に及ぶ渾身の衝撃作『シャルロット すさび』が、10月6日(土)より、新宿K’s cinemaにて公開される。公開を控える岩名雅記監督の公式インタビューをお届けする。
岩名 雅記 1945(昭和20)年2月東京生まれのソロ舞踏家。1975年、演劇から舞踏の世界へ。1988年フランスに渡り、現在まで70カ国/200都市でソロ公演。1995年フランス南ノルマンディに拠点をつくり、2004年から映画製作を開始、2007年初監督作品「朱霊たち」は英国ポルトべロ国際映画祭で最優秀映画賞を受賞したほか、オランダ・ロッテルダム国際映画祭、タリン黒夜国際映画祭(エストニア)、スペイン・ヒホン国際映画祭、ほか4本の国際映画祭に公式招待される。第二作「夏の家族」(2010)は同じくロッテルダム国際映画祭、タリン黒夜国際映画祭(エストニア)、スウェーデン・ヨーテボリ国際映画祭ほか3本の国際映画祭で公式招待。2019年にはニコシア(キプロス)「オルタネティブ国際映画祭」で本作品を含む岩名雅記3作品の回顧上映が行われる。「独立映画鍋」会員。Solitary Body主宰。
STORY 現代のパリ。自身のアート活動に深くのめり込んだために前妻スイコを失った日本人パフォーマー・カミムラ(以後<K>)は、以前のようにシンバルを使ったパフォーマンスが出来ないでいた。初夏のある午後、Kは公演に使う板ガラスを買うため、パリ13区、トルビアックにあるガラス店を訪れ、日本人の女主人・朝子に出会う。 何故かほろ酔いの朝子。同じ日、突然の雨で、メトロ構内に入り込んだKが見たのは、大勢の人々の視線にさらされるイタリア人の美しいフリークスの女性・シャルロットだった。そこでKは、シャルロットに「夢の中で逢いましょう」と告げられたKはその晩、シャルロットとのエロティックなサイドショーの夢をみる。パリ、東京、福島。未来とも終焉ともつかない、心のおもむくままの旅が始まる――。
『シャルロット すさび』 『シャルロット すさび』場面1 『シャルロット すさび』場面2
――映画「シャルロット すさび」を製作した、いきさつを教えてください。

岩名 20年ほど前に前妻が自死したことで、懺悔の念から最初の作品『朱霊たち』を作りました。とはいえ、映画の内容はそれとは全く関係はなく、モチーフ(動機)だけがあったのです。今回『シャルロット すさび』で初めて前妻との関わりを僕の記憶や思い出を素材にしてシナリオを書き始めました。それだけでは私小説ならぬ私映画になってしまうので、創作によって更に生命論的な広がりを描いたのがこの映画です。

――本作の撮影で、監督としての取り組み方、苦労した点はありますか?

岩名 ほとんどが苦労の連続でした(笑)。まあ日仏伊の混合チームといえば聞こえはいいですが、経済の問題とは別に日本に住む日本人のキャストやスタッフが外国で仕事をするということがいかに大変なことかーー思い知りました。食生活や習慣の違い、言葉の壁、外国人スタッフとの関係、そうしたことが演技や撮影に少なからず影/波紋を落としましたね。

――本作で、印象に残ったエピソードはありますか?

岩名 一つだけ挙げるとしたら、やはり大団円の河での撮影ですかね。撮影の年(2015)は雨の少ない年で、初めは自宅(南ノルマンディ)の池を使って撮影しようと思って掘削までして半年間準備したのですが、普段は豊富な水がその年に限って水量が少ない。そこで村長に急遽相談して近くを流れるユジン川を使えるように川べりを所有している人に口利きをしてもらいました。撮影用のクレーンなどはとても経費がかさんで使えないので、農業用のクレーンを借りて6mの高さまで台座を引き上げて撮りました。感心したのは主演のエレナ・クーダ(シャルロット役)です。夏とは言っても川の水はすぐに震えがくるほど冷たい。そこに彼女、30分も入ったままだったのに文句ひとつ言わずにやってくれました。

――本作の撮影で、一番苦労したシーン、是非、観て欲しいシーンを教えてください。

岩名 日本人アーティストK(成田 護)は過去、現在、夢想の中の女たちと交渉し、時には性的な欲望に身をまかせます。そんなKが覚醒するのがシャルロットの着ていた白シャツに書かれた文字を発見するシーンです。僕は、釜ヶ崎に住みながら住民の救済にあたっている本田哲郎司祭の書かれた著作に数年来注目していて、司祭が考えるキリスト像というもの言葉化しようとしてこのシーンを書いたのですが、何度書き直しても良いテキストにならない。撮影が終わっても更にテキストを5回も書き直し再々度撮影もしましたが、いまでもじゅうぶん納得がいっていません。

――本作には自伝的要素あるように見受けられます。監督自身はどのくらい作品に反映されていると思いますか?

岩名 前半の部分はかなりの「自分史」になっています。自分が舞踏家としてそれなりにやってこられたのはひとえに前妻の励ましと協力があったからで、それを思うと結果的に妻を裏切ってしまったことへの悔やみ/懺悔の想いは今でも変わりません。

――本作の公開を迎えるにあたって、どんな人に観て欲しいですか?

岩名 私と同世代の方々には共感していただける部分が多いと思います。ですからむしろ若い方達にぜひ観ていただきたい。物語としてではなく、方法としてこういう映画もある/あっていいということを是非知っていただきたい。試写会に来てくださったある方が「この映画には現代の映画のような<観る人に媚びた分かりやすさ>は微塵もない」と書いておられた。現代の映画の全てが「媚びている」とは思いませんが、「わかる」前に「感じる」余地/隙間のある映画を僕は作りたいのです。この映画には「いつ/どこで/どうして」がほとんど描かれていない筈です。

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シャルロット すさび ( 2017年/日仏合作/171分/白黒+パートカラー/16:9/デジタル撮影 )
監督・脚本:岩名雅記
出演:クララエレナ・クーダ(シャルロット)/成田護(カミムラ)/高橋恭子(朝子)/大澤由理(スイコ)
企画・製作: Solitary Body 配給: Solitary Body
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2018年10月6日(土)より、新宿K’s cinemaにてロードショー!

2018/09/29/20:11 | トラックバック (0)
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