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恐るべき子子供たち
4K レストア版

ある雪の日の夕方、子供達の雪合戦が熱を帯びる中、ポールは密かに想いを寄せていた級友ダルジュロスの放った雪玉を胸に受け倒れてしまう。怪我を負ったポールは自宅で療養することになるが、そこは姉エリザベートとの秘密の子供部屋、他者の介入を決して許さない、危険な愛と戯れの世界だった。

公式サイト 公式twitter

2021年10月2日(土)、シアター・イメージフォーラム他にて
全国縦断公開決定!

INTRODUCTION

コクトー × メルヴィル、アンリ・ドカエ
――ヌーヴェルヴァーグの礎を築いた奇跡のタッグ

『恐るべき子供たち 4K レストア版』ポスター画像 1920~1950 年代、パリのカルチャー華やかなりし頃に、時代の寵児となったジャン・コクトー。『美女と野獣』『オルフェ』など詩・小説・絵画・演劇・批評・映画などマルチな才能を発揮した彼の活動は当時の多くの芸術家たちに影響を与え、特にピカソやモディリアーニ、サティ、シャネル、ピアフ、藤田嗣治らとの親交は有名。日本でも澁澤龍彦、萩尾望都、寺山修司などジャンルに囚われない多くの芸術家たちに多大な影響を与えたことで知られている。
一方、ジャン=ピエール・メルヴィルは、スタジオ式の撮影スタイルとは距離を置き、俳優たちの演技はもちろん、街頭、自宅、公共の施設など、即興性を重んじた撮影方法を敢行、以後の映画界に大きな革新をもたらし、後には、『サムライ』や『仁義』などに続くフイルム・ノワールのスタイルを確立していった。
撮影のアンリ・ドカエもメルヴィルの撮影スタイルに共鳴し、この後、ルイ・マルの『死刑台のエレベーター』、トリュフォーの『大人は判ってくれない』など、ヌーヴェルヴァーグの大きなうねりの一端を担った。
まだ監督デビューしていなかった若きフランソワ・トリュフォーは、この映画を 25 回も観たとメルヴィルに告白し、後には「コクトー最高の小説が、メルヴィル最高の映画となった」と絶賛している。クロード・シャブロルも、『いとこ同志』にアンリ・ドカエを迎える際に「『恐るべき子供たち』と同じ様に撮って欲しい」と懇願したそうだ。ヌーヴェルヴァーグの胎動は、この作品を起点に既に始まっていたのである。
美しくも危険な姉弟を演じた俳優たちも素晴らしい。姉を演じたニコール・ステファーヌは、あのロスチャロイルドの家系で育った。弟役のエドゥアルド・デルミットは、コクトーに「彼は私にとって“美”そのもの」と言わしめ、彼の寵愛の下に生涯を送った。

新しく生まれ変わった『恐るべき子供たち』の日本語字幕と映像

日本語字幕は今回の公開を機に一新された。『燃ゆる女の肖像』の横井和子氏が翻訳を担当し、小説版『恐るべき子供たち』の翻訳者でもあるフランス文学者・映画評論家の中条省平氏が監修を担った。古典と現代の表現の絶妙のバランスが、今回の新訳では遺憾なく発揮されている。
また最新の 4K 映像は、コクトーとメルヴィルが拘った美術や撮影のディテールが、深みのあるモノクロームの映像の中にクリアに表現されており、その再現性は圧巻というほかない。

『恐るべき子供たち 4K レストア版』画像 『恐るべき子供たち 4K レストア版』場面画像1

公開記念関連グッズプレゼントキャンペーン、
9月20日(月)23:59 まで実施中

9 月 20 日(月)23:59 までに公式 Twitter アカウント( 公式twitter )をフォローし、下記ツイートをリツイートした方合計 66 名様に、関連グッズをプレゼントするキャンペーンを実施中。
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アクセサリーや洋服をはじめ、陶器作品やオブジェ、人形服やアーティスト衣装なども手がける等、多岐に渡って表現活動を続けるクリエイター「 Lhiannan:Shee (リアナンシー)」により、本作をイメージして創作されたジュエリーラインより黒真珠のネックレス[ダルジュロスの掌](28,800 円)を 1 名様に。
ジャン・コクトー版ドローイングポストカード +全国共通特別鑑賞券を 30 名様、小石川あお版ドローイングポストカード(フランス語版) +全国共通特別鑑賞券を 30 名様、光文社古典翻訳文庫版原作本+全国共通特別鑑賞券を 5 名様にプレゼントする。

2021年10月2日(土)、シアター・イメージフォーラム他にて
全国縦断公開決定!

COMMENTARY
  • コクトー原作の映画のなかでも、白眉の名作というべきだろう。とくに終盤のクライマックス、映画史上に稀な古典悲劇風のすざまじい戦慄を走らせるのは、メルヴィルでもなくコクトー自身でもなく、あの奇跡のような女優、ニコール・ステファーヌである。恐るべきエリザベート!
    ――巖谷國士(フランス文学者・批評家)
  • 往年の傑作が、リストアによってまるで未知の新作のようにみずみずしい輝きを放っている。これはコクトーとメルヴィルが二人で見た夢の鮮やかな結晶だ。前半の弾けっぷりから一転して悲劇に雪崩れこむ展開に息をのむ。主演女優ニコール・ステファヌ、一世一代の名演技に瞠目せよ! ――野崎歓(フランス文学者)
  • 一点突破!!の雪合戦!! ダルジュロは学校の雄鶏だった。挑戦する者にも見方につく者にも等しく好意と闘志を抱く。ポールはそのダルジュロが好きだったが、性欲も目的も理屈も伴わぬ清浄な欲望は強烈な苦しみであり歓喜でもあった。ポールはそのダルジュロの強力な雪玉の一撃に倒れる。この冒頭の美しすぎる純愛シーンがこの物語りは始まる。超古典主義の超古典。純愛のための純愛はこの映画から始まったとさえ言いたくなる。ともかくダルジュロ精神全面展開の一本なのです。――あがた森魚(シンガー・ソングライター)
  • 子ども達が自由に羽ばたくのは、ベッドの上だ。何をしても許される。
    映画「恐るべき子ども達」の舞台は全てベッドだ。列車の二段ベッド。狭い姉弟のベッド。玉突き台のベッド。そうなのだ。この映画が魅惑的な秘密の匂いを発するのは、子どものベッドが語る大人の詩だからなのである。
    ――萩原朔美(映像作家 / 演出家)
『恐るべき子供たち 4K レストア版』場面画像2 『恐るべき子供たち 4K レストア版』場面画像3
  • 美しく儚い、人間の心の世界に引き込まれ、
    終始、自分の中に宿る“瞬間と対話”をする感覚に。
    雨霰と飛び交うエリザベートとポールのやり取りは、お互いが同じように
    “最も憎み最も愛する自分の存在”を確かめ合う為の愛情表現の一つであり、
    とてもピュアな感情として印象的だった。
    そしてまた小さな部屋で繰り広げられるこの描写が行き場のない感情、
    そして有り余る二人のエネルギーを描いていた。
    物語は進み彼らを乗せた列車は海へ向かう。
    列車の規則的な音は退屈な人生そのものを表す様で、
    そしていつか訪れる“その時”へのタイムリミットを刻み知らせる様にも感じた。
    過去と未来を繋ぐ列車はまさに儚く過ぎ去ってしまう永遠の様。
    鼓動が続く限り永遠と一瞬は同じだ。
    そんな事を考えさせられた。――中村月子(音楽家)
  • 笑うときも怒るときも悲しむときも止まることなく死へと映画は前進していく。私たちの人生がそうであるように。いつかみんな死ぬけどこの映画の雪と影の美しさを見ないで死ぬのはもったいない。 ――深田晃司(映画監督
  • 陰影に富んだ映像の美しさに重なるコクトーのナレーションに、底知れぬ不安感が募る。悲劇への道標を暗示しているのか。姉弟の倒錯した感情は、激しく、他の介入を許さない。これが「愛」ならば、ギリシア悲劇の様相を帯びるのは、当然の帰結だろう。姉弟の秘密「夢想の国」へと「出発」するシュールな結末は、この映画が「ヌーヴェルバーグのゆりかご」であることを示唆している。
    ――藤岡篤子(ファッションジャーナリスト / f プロジェクト代表)
  • ふたりには永遠の子供部屋が必要だった。
    社会を遮断したまま、夢想へ出発する為の窮屈な揺り籠。
    悪戯に傷付け合う背徳感は、耐えがたく純愛であった。
    愛を知る前の欲望が許されない場合信仰として神聖化され、
    抗うことなどできないのである。――東佳苗(ファッションデザイナー)
CREDIT
監督・脚本:ジャン=ピエール・メルヴィル
脚本:ジャン・コクトー / ジャン=ピエール・メルヴィル
撮影:アンリ・ ドカエ 衣装デザイン:クリスチャン・ディオール
出演:ニコール・ステファーヌ,エドゥアール・デルミット
1950 年|105 分|フランス |モノクロ |スタンダード 4K デジタルリマスター版|DCP・ Blu-ray
日本語字幕:横井和子/監修:中条省平
©1950 Carole Weisweiller (all rights reserved) Restauration in 4K in 2020 / ReallyLikeFilms

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2021/09/19/15:00 | トラックバック (0)
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