新作情報

第63回カンヌ国際映画祭 コンペティション出品作品

ルート・アイリッシュ

『ルート・アイリッシュ』1 『ルート・アイリッシュ』2

世界で最も危険な道路(ルート)

http://www.route-irish.jp/

2012年3月31日(土)より、銀座テアトルシネマほか全国ロードショー

INTRODUCTION

現代の名匠ケン・ローチ監督が
男たちの感動的な友情を描きだした最新作

『ルート・アイリッシュ』3麦の穂をゆらす風』でカンヌ映画祭パルムドール(大賞)に輝き、その後も『この自由な世界で』、『エリックを探して』と、着実に新作を撮り続け、世界の映画界から絶賛されてきたイギリスの名匠、ケン・ローチ監督。最新作『ルート・アイリッシュ』は幼なじみとして育ちながらも、イラク戦争で謎の死を遂げた友人の死の真相を探る男の物語で、いつもながら誠実で骨太のドラマ作りが熱い感動を呼ぶ。

主人公ファーガスと友人フランキーは兄弟同然に育ち、成長後は兵士としてイラク戦争に参加する。ファーガスはひと足先に故郷リヴァプールに戻るが、イラクに残ったフランキーは、戦場で帰らぬ人となる。彼が亡くなった場所はルート・アイリッシュ。それはイラクのバグダッド空港と市内の米軍管轄区域グリーンゾーンを結ぶ12キロに及ぶ道路のことで、03年の米軍によるイラク侵攻後、テロ攻撃の第一目的とされる“世界一、危険な道路”として知られていた。フランキーの死後、ある携帯電話に残されたイラクでの映像を手がかりにファーガスは彼の死を探り始め、やがて、戦争を背景にした軍事ビジネスの恐るべき真実が浮かび上がる……。

「イラクで起こったことは、私と脚本家と製作者が長い間、描きたいと思っていたことだった。あの戦争はイラクの人々に対する大きな犯罪で、たくさんの不正もあった。私たちは戦争中にあった様々な出来事をほのめかすような物語とキャラクターを見つけることだった」と語るローチ。彼の映画には珍しくスリラーやアクション映画の要素も盛り込み、新境地ともいえるスリリングな謎解きのドラマが展開する。

イラク戦争に参加したコントラクター(民間兵)の知られざる真実に迫る
ポール・ラヴァーティのリアルな脚本

『ルート・アイリッシュ』4今回の映画の脚本を手がけているのは、ローチ監督の創造上のパートナーともいえるポール・ラヴァーティで、これまで『SWEETSIXTEEN』,『麦の穂をゆらす風』等にも参加し、ローチ映画の世界観を作り上げるのに欠かせない存在となっている。今回の映画作りにあたってラヴァーティはイラク戦争に参加した多くの兵士にインタビューを重ねた後、ファーガスというキャラクターを生み出した。ファーガスは戦場で亡くなったフランキーよりタフな人物だが、物語の進展と共に心に深い闇を抱え、戦争の痛みを引きずっていることが分かる。

「イラクで兵士たちの面倒をみていた看護師に会ったが、彼女の話によれば多くの兵士が『昔の自分を取り戻したい』と語っていた。その話を聞いて、イラクを引きずったまま、英国に帰るキャラクターを思いついた」とラヴァーティは語る。これまでローチ映画では社会の底辺で生きる人々の複雑な問題点や矛盾が描かれてきたが、今回の新作では戦争の後遺症を抱えながらも、故郷で日常生活を送ろうとする人物たちの深い喪失感に迫ろうする。また、イラク戦争中に約16万人いたといわれるコントラクター(民間兵)の真実を本格的に描いた初めての映画でもある。危険な任務に身をさらすことで大きな報酬を得ていた彼らの真実の姿を名脚本家ラヴァーティが大胆な語り口で見せてくれる。

ケン・ローチが絶賛する
新人俳優たちによる心をゆさぶられる愛の物語

『ルート・アイリッシュ』5「ルート・アイリッシュ」はイラクで夫を失った妻と夫の友人、戦争の痛みを分かち合う男と女の愛の物語でもある。友人フランキーの死に不信感を抱くファーガスは、その死の真相を探っていく。そんな彼の追いつめられた心を誰よりも深く理解したのが、残されたフランキーの美しい妻、レイチェルである。ふたりは男と女としても強く惹かれあいながらも、やがては異なる道を選択することになる……。

タフな肉体と繊細な心を同時に持つファーガス役を強烈な存在感で演じているのは、テレビドラマで活躍しながらも、今回、この映画で初デビューを飾ったマーク・ウォーマック。また、真の強さを持つレイチェル役を同じくテレビ出身の新人アンドレア・ロウが演じる。ふたりの確かな演技力に関してはケン・ローチ監督も絶賛している。優しい性格のフランキーを演じるのはリヴァプール出身のスタンダップ・コメディアン、ジョン・ビショップ。
製作は『麦の穂をゆらす風』など数多くのローチ映画を手がけてきたレベッカ・オブライエン。撮影監督はローチの60年の代表作『ケス』に参加し、近年では『愛を読むひと』など手がけた名カメラマン、クリス・メンゲス。
プロダクション・デザインのファーガス・クレッグ、編集のジョナサン・モリス、音楽のジョージ・フェントンらは、これまで『麦の穂をゆらす風』など、数多くのローチ作品に参加してきた常連スタッフである。衣装デザインは『エリックを探して』のサラ・ライアンが手がけている。

Production Note

コントラクターの実態を調査したラヴァーティの脚本

『ルート・アイリッシュ』6今回の映画でケン・ローチ監督が焦点を当てるのは、コントラクター(民間兵)と呼ばれるイラク戦争での兵士の存在である。主人公のファーガスと親友のフランキーはコントラクターとして戦争に参加していたという設定になっている。「海外の地から帰国の途についた兵士の遺体にまつわる式典は、我々もよく目にするもので、壮厳な音楽、国旗、エスコートと敬礼と、その様子は国家のメディアが詳細に記録する。しかし、同じように戦争に参加しながら、ファンファーレも、ユニオンジャックもない者もいる。その死はどんなリストにも掲載されることがない。それは彼が個人として契約した兵士(コントラクター)だったせいだ」と語るのは脚本家のポール・ラヴァーティだ。「戦争を突き進ませるには、彼らの力が不可欠だったはずだ」とラヴァーティは語る。そして、イラク議会が強引に通過させた指令第17号により、コントラクターたちのイラクでの行動は一切裁かれることなく、刑事処分を免れた。そんな社会背景が「ルート・アイリッシュ」でも物語の下敷きとなり、特にドラマの後半では重要な意味を持つことになる。また、戦争の後遺症に悩む元兵士たちをケアする慈善団体、「コンバット・ストレス」を取材することで、後遺症に悩む兵士たちの体験談も映画に取り入れている。

ケン・ローチ監督が見つめるイラク戦争のもうひとつの真実

アカデミー作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』、イラクでの息子の死を調査する父親を描いた『告白の行方』、イラク兵の戦場を見つめた『グリーンゾーン』など、過去にもイラクを舞台にした映画は数多く作られているが、ケン・ローチ監督は、この戦争をイギリス人の視点で見つめることで、これまでにない物語を創造する。「脚本家のポールがファーガスというキャラクターを作り、友人だったフランキーの死の謎解きを通じて、私たちは戦争をめぐる恐るべき犯罪の様々な要因に近づいていく。なぜなら、歴史は今も人々の人生や経験の中に生き続けているからだ。そういった人々の経験を探ることで、戦争の恐ろしさを見せたいと思った」とローチは語る。「この戦争の最大の犠牲者はイラク人であることも忘れてはいけないと思う。私はアメリカ人の兵士こそが最大の犠牲者であるかのような描き方をしたアメリカ映画にはうんざりしている。彼らだって苦しんできたが、イラク人の苦しみもけっして忘れるべきではない」

役作りに語るマーク・ウォーマックとアンドレア・ロウ

『ルート・アイリッシュ』7今回の映画で主人公のファーガスを好演したマーク・ウォーマックは今回の役作りについて語る。「ローチ監督は多くのリサーチを役者に要求する。登場人物と共通点があるかもしれない人たちに会うように言われ、登場人物が属していた世界についての本も読む。そうすることで、いざその場面に放り込まれても、その人物を作りこむことができるようになる。また、演じる人物たちと長い時間をすごすことで、彼らと太い絆でつながるようになる。フランキー役のジョン・ビショップらと軍の野営キャンプに出かけ、気心が知れる関係が作れた」
また、ファーガス役に関しては「僕が出会った多くの戦闘ストレスを抱えた兵士たちのように、ファーガスは自己崩壊の途上にいる。イラクやアフガニスタンを見てきた後、どうやって妻や子供と買い物に行くことができるのか、悩む人もいる。中にはうまくやれる人もいるが、ほとんどの人がうまくできないでいるんだ」と語る。
一方、彼と惹かれあうレイチェル役のアンドレア・ロウは自身の役とファーガスについてこう分析する。「ファーガスは気分屋で、レイチェルも以前なら彼と一緒にがんばることができたのかもしれないわ。しかし、今の彼女はどこか彼と違っていて、ふたりの関係は実を結ばない。結局、フランキーは闇にとどまり、レイチェルに救われることを拒否して、ふたりはお互いを救うことができないのよ」。 また、初参加したケン・ローチ映画については、「過去の彼の映画を見ていて、俳優は即興ベースで演じているのかと思ったら、実際は違っていた。実はすばらしい台本があり、人物を掘り下げる段階で即興の要素が出てくるのよ。ケンの映画は人間の真実を描いていて、今回の映画は壊れてしまった人々を見つめた物語だと思うわ」とその印象を語っている。

C R E D I T
出演:マーク・ウォーマック,アンドレア・ロウ,ジョン・ビショップ,ジェフ・ベル,タリブ・ラスール,
クレイグ・ランドバーグ,トレヴァ-・ウィリアムズ,ジャック・フォーチュン
監督:ケン・ローチ 脚本:ポール・ラヴァーティ
製作:レベッカ・オブライエン 製作総指揮:パスカル・コシュトゥ,ヴァンサン・マラヴァル プロダクション・デザイン:ファーガス・クレッグ
撮影:クリス・メンゲス 録音:レイ・ベケット キャスティング:キャスリーン・クロフォード 衣裳デザイン:サラ・ライアン
助監督:デヴィッド・ギルクライスト,マイケル・クイーン ロケーション:クラリー・ニュートン 録音編集:ケヴィン・ブレイザー
ライン・プロデューサー:ティム・コール 編集:ジョナサン・モリス 音楽:ジョージ・フェントン
2010年/イギリス・フランス・ベルギー・イタリア・スペイン合作/英語/109分/カラー/原題:ROUTE IRISH
配給:ロングライド
©Sixteen Films Ltd, Why Not Productions S.A., Wild Bunch S.A.,France 2 Cinéma, Urania Pictures,
Les Films du Fleuve,Tornasol Films S.A, Alta Producción S.L.U.MMX
http://www.route-irish.jp/

2012年3月31日(土)より、銀座テアトルシネマほか全国ロードショー

夜空に星のあるように/DVD
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2012/03/06/19:43 | トラックバック (0)
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