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Virginia /ヴァージニア

『Virginia/ヴァージニア』エル・ファニング 『Virginia/ヴァージニア』ヴァル・キルマー&ベン・チャップリン

http://virginia-movie.jp/

2012年8月11日(土)より、ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次公開

INTRODUCTION

巨匠コッポラが誘う、ゴシック・ミステリーの世界

ゴッドファーザー』3部作や『地獄の黙示録』と、映画界に燦然と輝く作品を作り上げてきた巨匠フランシス・F・コッポラ。約10年間映画監督業から離れていた彼が復活したのが2007年。その復帰第1作『コッポラの胡蝶の夢』(07)から『テトロ 過去を殺した男』(09)を経て、映画界の若きミューズ、エル・ファニングを迎えた、あらゆるミステリーの原点エドガー・アラン・ポーがモチーフの最新作『Virginia/ヴァージニア』がついにベールを脱ぐ。

次回作に悩む小説家が、サイン会のために訪れた奇妙な街。そこでは、つい数日前に胸に杭を打たれた身元不明の少女の死体が発見されたばかりだった。ミステリー好きの保安官にこの事件を題材とした小説の共著をもちかけられる彼。そしてその夜、夢に現れたV.[ヴィー]と名乗る少女と敬愛する作家エドガー・アラン・ポーに導かれ、この街で起きた過去の凄惨な事件を知る。かつてポーが宿泊したとされるチカリング・ホテルで起きたこの事件の謎を紐解きつつ、彼自身、小説家としての原点に還る指標を見出し、新作の執筆にとりかかることに。しかしこの物語の結末が自分の人生に深く関わっているとは、彼自身、まだ知る由もなかった…。

2つの殺人事件を繋ぐのは、エル・ファニング演じる謎の少女V.[ヴィー]

過去と現在、2つの殺人事件が平行して紐解かれながら、小説家の創造過程も同時に進むメタフィクション構造の本作。そのD・リンチ的ともいえる複雑な構造の水先案内人として、謎の少女V.[ヴィー]と、エドガー・アラン・ポーの存在は、本作の大きな魅力のひとつである。

コッポラ監督の娘ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』(10)で大注目され、『SUPER8/スーパーエイト』(11)でも魅力を放った映画界の若きミューズ、エル・ファニング演じる妖艶さ漂う謎の少女V.[ヴィー]。コルセットの付いたロリータファッションで、顔には幻想的な化粧を施した彼女は、まさに夢の中の少女の具現化であり、彼女と子供たちが幽囚される教会でのイノセントな戯れは、あの『エコール』(04)を髣髴とさせる耽美な匂いに満ち満ちている。また、夢とうつつの世界を彷徨いながら、やがて充満する残酷な暴力の匂いは『パンズ・ラビリンス』(06)にも通じる世界観ともいえる。
殺人事件の結末を、そして小説家ボルティモアの人生の物語の鍵をも握る少女V.[ヴィー]は、時にヴァージニアのV、ヴィッキーのV、そしてヴァンパイアのVであり、ある種の憂愁を帯びた記号として映画に絡まる複数の物語を貫いているのである。

『Virginia/ヴァージニア』1 『Virginia/ヴァージニア』2

エドガー・アラン・ポーの神秘的雰囲気に彩られディテクティブは加速する

そしていわずと知れたアメリカ文学でもっとも有名な一人エドガー・アラン・ポー。死と憂愁の美学を持ったアメリカ文学の鬼子は、その作品が海を渡ってフランスでは象徴主義に発展し、イギリスでは探偵小説の礎を築いたといわれている。本作が謎解きミステリーでありながら、たとえば湖の彼岸にいる若者にポーの影響を受けたといわれるフランスの詩人ボードレールを読ませるシーンなど、ポー文学を意識した演出がなされていることもコッポラのポーへの深い共振を感じ取れる。『コッポラの胡蝶の夢』(07)では幻想文学の巨匠ミルチャ・エリアーデをきっかけに、そして本作はポーをモチーフにと、近年コッポラはこれまで以上に文学に近づいている。
作中では夢の中でポーに道を教えられる小説家ボルティモアだが、コッポラ自身もこのゴシック・ミステリー映画製作においてポーに道を教えられたようだ。「ポーの人生と僕の人生には何か大きな共通点があるのだろうか?僕たちは2人とも小さな幽霊にとりつかれているようだった。すぐにポーの幽霊は若くして亡くなった彼の妻ヴァージニアだと気付いたが、僕の幽霊とは誰なのか?」その答えは映画の中にある。

『Virginia/ヴァージニア』3 『Virginia/ヴァージニア』4

またアメリカが生んだ偉大な吟遊詩人で、テリー・ギリアム監督作『Dr.パルナサスの鏡』(09)や、『アウトサイダー』(83)、『ドラキュラ』(92)等コッポラ作品にも数多く出演してきたトム・ウェイツがナレーションで参加。その呪術的声質に導かれて、我々は新生コッポラワールドへ彷徨いこむというわけだ。

かくして、『エコール』のあやうさ、『パンズ・ラビリンス』の残酷さ、そしてD・リンチ的な謎を秘め、神秘的雰囲気に彩られたコッポラのディテクティブ世界は、エドガー・アラン・ポーをモチーフに、現実と夢とが幽明相接するミステリーの形をとって妖しく花開いた。
新生コッポラ――これほどの奇才との出会いは我々にとって“nevermore(またとないもの)”だろうと、ポーの代表詩「大鴉」に倣ってひとまず言っておこう。

『Virginia/ヴァージニア』5 『Virginia/ヴァージニア』6
C R E D I T
キャスト
ヴァル・キルマー,ブルース・ダーン,エル・ファニング,ベン・チャップリン,ジョアンヌ・ウォーリー,デヴィッド・ペイマー,
アンソニー・フスコ,オールデン・エアエンライク,ブルース・A・ミログリオ,ドン・ノヴェロ,リサ・ビアレス,トム・ウェイツ
スタッフ
監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ミハイ・マラメイアJr. 音楽:オスバルド・ゴリホフ、ダン・ディーコン 製作総指揮:アナヒド・ナザリアン、フレッド・ルース
共同制作:マサ・ツユキ、ジョシュ・グリフィス アート・ディレクター:ジミー・ディ・マルセレス 衣装:マージョリー・バワーズ
編集:ロバート・シェイファー、グレン・スキャントルベリー、ケビン・N・ベイリー 音響:リチャード・ベッグス
プロダクション・マネージャー:アドリアナ・ロタール
2011年/アメリカ/英語/89分/カラー/アメリカンビスタ/PG12/原題:TWIXT/字幕翻訳:戸田奈津子
提供・配給:カルチュア・パブリッシャーズ ©Zoetrope Corp.2011

http://virginia-movie.jp/

2012年8月11日(土)より、ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次公開

ゴッドファーザー 製作40周年記念 ブルーレイ・コレクターズ・エディション【期間限定】 [Blu-ray] ゴッドファーザー 製作40周年記念 ブルーレイ・コレクターズ・エディション 【期間限定】 [Blu-ray]
  • 監督:フランシス・フォード・コッポラ
  • 出演:マーロン・ブランド, アル・パチーノ, ロバート・デ・ニーロ, アンディ・ガルシア
  • 発売日:2012/08/10 おすすめ度:おすすめ度2.0
  • Amazon で詳細を見る
Virginia/ヴァージニア (竹書房映画文庫)
Virginia/ヴァージニア (竹書房映画文庫)

2012/08/01/17:46 | トラックバック (0)
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