朝倉 加葉子 (監督)
映画『RADWIMPSのHESONOO Documentary Film』について【2/4】
2016年3月11日(金)~3月24日(木)全国ロードショー
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――撮影期間としては10月にスタートし、アジア・ヨーロッパツアーと国内の対バン形式でのツアー、そして12月に幕張メッセで行ったワンマンライブまでを追うものになっていますが、監督はその間ほとんど同行する感じだったんですか?
朝倉 リハーサルスタジオにメンバーとテック(楽器関連のスタッフ)さんたちが集まってライブの曲をリハーサルしていく、いわゆるゲネが始まったのが10月1日で、そこで私もみなさんと「はじめまして」の挨拶をして撮影を始めました。海外ではツアーバスでスタッフさんもみんな一緒に移動するという行程だったので、私もほぼ全部一緒に行かせてもらいました。国内はあまり目立つと防犯上の問題が出てくるので、ライブの当日リハからライブハウスに入って、対バンだから結構長時間なんですけど、ライブが終わるまで撮って、そのあとみなさんが食事に行くのについていったり行かなかったり、という感じですね。
――時間にするとどれぐらい撮ったんですか?
朝倉 600時間ですね。
――すごい! バンド側から「こういうところを撮ってくれ」というような注文はあったんですか?
朝倉 そういうのは一切なかったですね。逆に「こういうところは撮らないで」という制約も最初からまったくなかったです。
――ツアーのドキュメンタリーなのでライブシーンも重要なところですが、どの曲を入れるかは監督が選ばれたんですか?
朝倉 はい、彼らから「この曲を使ってください」みたいな意向は一切なかったです。そこが潔いなと思いました。彼らのチームで作っているプロモーションではないというのを向こうも理解していて、私と編集の人とで相談しながらやりたい順番と曲目を全部決めました。本当はもっともっと見せたい箇所はあったんですけど、全部は入れられないし、曲数を絞ってもちゃんと見せていくほうが大事かなと思いながら選んでいきました。
――海外ツアーの直前にドラムの山口智史さんが病気のため休養に入り、ツアーはサポートドラマーを迎えて行うことになりました。監督から見て、このころのバンドはどんな雰囲気でしたか?
朝倉 私はそれまでMVとかライブDVDとかでしか動く彼らを見ていなかったので、実際の彼らがどんな感じなのかを取材しながら撮影する感じだったんですけど、そのときに彼らが置かれている状況がどうとかいうよりも、これから始まるツアーに向けて現実的に準備をしていくそのさまに、技術と体力と精神力を必要とするアスリート的なものを感じました。ご本人たちも「ロックバンドにはそういう側面もあるかもしれない」と言っていたんですけど、目に見える形で堅実に準備していく、プロフェッショナルな職業人としての姿が非常に興味深いなあ……というのが、彼らに会ったいちばん最初の印象でしたね。
――それは映画を観ていてもすごく感じました。自分たちでいろいろなことを判断して動かしていける、大人びた人たちだなと。
朝倉 音楽に対しても、ライブをやるということに対しても、非常に真面目だと思いますね。それがやっぱり10年やってきて彼らがつかみ取ってきたものなのかなあという気がしました。
――今回メンバーをひとり欠いてしまうことになったのは、10年の中でも大きな壁であったのではないかと思うんですけど。
朝倉 映画の中でも彼らが言っていましたけど、ずっと一緒にやってきたメンバーとやれなくなったというのはやっぱり演奏する上で大きな変化ですし、別の形でまた新しく作るというのはかなりの労力を要することだな、っていうのは頭では分かるんです。で、実際に彼らが毎日準備していくさまを見ても「やっぱり非常にパワーを使うことなんだなあ」というふうに思いつつも、そういう苦闘みたいなところを実際の空気にはそんなに表立って出さないんですよね(笑)。
――ええ、全然出ないですよね。
朝倉 彼らの品のよさの表れなんだと思います。そこがやっぱりいいですよね。
監督:朝倉加葉子
製作:東宝、電通ミュージック・アンド・エンタテインメント、東北新社
制作プロダクション:東北新社 上映時間:101分 © 2016“HESONOO”FILM PARTNERS
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