アダン・ホドロフスキー (俳優)
映画『エンドレス・ポエトリー』について【2/3】
2017年11月18日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
公式サイト (取材:深谷直子)
――この映画では黒子が使われているのも特徴的ですね。
アダン 父は映画の中で誰もやったことがないことを実験するのが好きなんです。今回の黒子の手法は、父が好きな日本の能から取り入れました。映画の中でそれは振付と同じようなことであり、観客に「これは本当のことではない、虚である」ということを伝えるものです。他の映画監督は嘘を本当だと信じさせようとしますが、ホドロフスキーは観客を信じているので「これは嘘だ」ということをちゃんと観客に示しているんです。ひとつのメタファーになっていて、現実の世界でも、建物とかお金とか政治とか「これが現実だ」と思っているものが、別の視点からは意味をなさなくなったりします。あくまでも現実のひとつであって、すべてが現実ではないっていうことですね。みんなが現実だと思っていることに対して疑問を投げかけることでもうひとつの画が見えてくるという、メタファーとして使ったのだと思います。
――アダンさんが手がける音楽がとても印象的でした。ほとんど全編で鳴っているような感じですね。
アダン はい、音楽は私の得意分野ですし、監督からもとにかく音がほしいと言われて、映画は2時間ほどですが、そのうち1時間半分ぐらい作りました。音楽がなければまったく別の映画になるでしょう。
――前作から出演している母親役のパメラ・フローレスさんも元々はオペラ歌手ですよね。台詞に節を付けて話すのは彼女の即興で、そこにアダンさんが音楽を付けていったとのことです。また、本作ではステラ役との二役を演じ、アダンさんともガッチリ共演されていますが、パメラさんとの音楽やお芝居でのコラボはいかがだったでしょうか?
アダン 彼女とは『リアリティのダンス』(13)の撮影現場で初めて会いましたが、おっしゃるとおり俳優ではなくオペラ歌手なので、どういう芝居になるかは父でさえわからなかったんですね。初めは歌う予定ではなかったところを「即興で歌ってみて」という感じになっていったのですが、即興なので音程もリズムもバラバラで、音楽を付けるときはすごく大変でした。今回は彼女が歌うことは初めからわかっていたので、リズムや音程はちゃんと取ってやっていたし、彼女もテンポとかに気を付けて歌うようになって、前回よりはかなり楽にアレンジできるようになりました。演技面では、今回は私の母親役と恋人役を演じましたが、不思議なことに映画を観てもそれに気付かず、あとでパンフレットなどを読んで初めて「同じ人なんだ」と驚く人が多いんです。それぐらいちゃんと演じ分けていました。本当にプロフェッショナルですし、エネルギーがあるので驚くことばかりでした。“ホドロフスキー仕様女優”といった感じでした(笑)。
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー 撮影: クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ ほか
© 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE Photo:© Pascale Montandon-Jodorowsky
公式サイト 配給・宣伝:アップリンク
2017年11月18日(土)より、新宿シネマカリテ、
ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
- 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
- 出演:アレハンドロ・ホドロフスキー, ミシェル・セドゥー, H.R.ギーガー, クリス・フォス, ニコラス・ウィンディング・レフン
- 発売日:2016/04/18
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