ディア・ドクター
『「田舎の医師の物語」が暴くもの』 / (ネタバレあり!) 西川美和監督の話を、間近で聞いたことがある。「ゆれる」(06)公開前の記者会見だったのだが、その時監督にちょっと惚れた。美人だから、だけではない。それまでも美人という枕詞付きで散々騒がれてきただろうに、そんなことにまるで頼っていない媚びない雰囲気、映画へのあふれる情熱、そして自作に限らず映画界全体を俯瞰している視野の広さが格好よかった。オリジナル脚本にこだわると... 続きを読む
2009/06/26/20:33 | トラックバック (2) | 「て」行作品 ,今週の一本 ,寺本麻衣子
ノーボーイズ,ノークライ
『友情でも愛情でもない、名付けられない絆の物語』 / ファンタジーと現実の狭間を自在に行き来しながらも、現実をあぶりだす巧みさ。夢と現実、切ない愛情と生々しい性、純粋さと狡さといった、相反する要素が同居する世界。脚本家・渡辺あやには「ジョゼと虎と魚たち」(03)でその魅力にガツンとやられて以来、新作を心待ちにしている。「メゾン・ド・ヒミコ」(05)では奇抜な設定の中で光る生身を感じる科白が、「天然コケッコー」(07)では原作... 続きを読む
2009/08/22/09:29 | トラックバック (3) | 「て」行作品 ,今週の一本 ,寺本麻衣子
特集:映画「掌の小説」公開に寄せて:坪川拓史映画の序章
『天然の美とマニエラへの憧憬/坪川拓史映画の序章』 / 2010年、渋谷ユーロスペースにて公開となった『掌の小説』は、川端康成が若き日から四十余年にわたって書き続けたとされる掌編小説集を原作としたオムニバス映画である。ここで取り上げられた掌編には、川端文学の長編小説とはまた一味違う珠玉の詩精神が息づいている。「日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による、叙述の卓越さに対して」という評価を得てノーベル... 続きを読む
2010/04/09/15:46 | トラックバック (1) | 「あ」行作品 ,「う」行作品 ,「て」行作品 ,特集 ,鎌田絢也