しゃべれども しゃべれども
「語り」と「語り」のあいだで / TEXT By 松本不二人 本作は、佐藤多佳子原作の同名小説を映画化したものだ。古典を愛する、売れない落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)のもとに、落語を習いたいという三人の変わり者がやってくる。無口な美人・十河五月(香里奈)、勝気... 続きを読む
2007/06/06/20:55 | トラックバック (16) | 「し」行作品 ,松本不二人 ,今週の一本
ジェシー・ジェームズの暗殺
『卑怯者が卑怯者らしい死を遂げられた時代』 西部開拓時代――。兄のフランク・ジェームズと共に群盗を率いて銀行や鉄道を襲撃し、貧しい民衆にそのあがり(収益)を分配したとされる“義賊”、ジェシー・ジェームズ。本作は長年にわたる逃亡生活に疲れ果て、いささかパラノイアの症状を帯びてきたジェシーを、あろうことか背後から射殺した“卑怯者”ロバート・フォードの物語である。... 続きを読む
2008/01/21/14:56 | トラックバック (1) | 膳場岳人 ,「し」行作品 ,今週の一本
ジャンパー
『突っ込んだら負けの"純粋"エンターテイメント』 / かなりの自信を持って断言するが、本作を観た人の10中9人は劇場を後にしながらこう呟くことだろう。――で、あのサミュエル・L・ジャクソン率いる「パラディン」ってのは、一体何だったんだ?本作は「ジャンパー」と呼ばれる瞬間移動能力者と、ジャンパーを数百年... 続きを読む
2008/03/05/00:22 | トラックバック (5) | 仙道勇人 ,「し」行作品 ,今週の一本
フランス映画祭2010レポート/ビガー・ザン・ライフ(人生より大きく)
『ビガー・ザン・ライフ(人生より大きく)』 / 今年で18回目を迎えたフランス映画祭。横浜から六本木に場所を移動し、開催時期も変わりながらも、優れたフランス映画を日本に紹介し続けてきたことに変わりはない。特に昨今の映画の受容の問題として、2000年代後半からいよいよ洋画よりも邦画の興行収入の方が上回るという傾向が顕著になっている。「アート系映画の危機」が叫ばれることが多い状況のなか、アート系映画の配給会社の倒産のニ... 続きを読む
2010/04/02/17:41 | トラックバック (0) | 「あ」行作品 ,「く」行作品 ,「し」行作品 ,夏目深雪 ,映画祭情報
レビュー:SING FOR DARFUR
『無関心であることの残酷さ、知ることの大切さ』 / スーダンと言えば皆さんは真っ先に何を思い浮かべるだろうか?筆者の場合は、スーダン西部のダルフール紛争だ。2003年に勃発した紛争だが、30万人が虐殺され、270万人が避難民となり、史上最悪の紛争とまで言われている。そして解決の糸口はまだ見つかっていない。また、今年3月にはバジール大統領に対して国際刑事裁判所から逮捕状の発付が決定するなど、イメージ的には最悪であ... 続きを読む
2009/10/03/14:23 | トラックバック (0) | 「し」行作品 ,富田優子 ,「英字」から始まる作品 ,話題作チェック
レビュー:シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(監督:ジェマイン・クレメント,タイカ・ワイティティ)/1月24日公開
Text By わたなべりんたろう / 近年稀にみるコメディホラーの傑作。日本公開されない類いの出演者が日本では無名の洋画コメディなので公開がまずは嬉しい。今作を日本公開してくれる松竹には拍手をおくりたい。今作を知ったのはイギリスの映画雑誌「EMPIRE」だった。レビュ... 続きを読む
2015/01/22/23:31 | トラックバック (0) | 「し」行作品 ,わたなべりんたろう ,レビュー
レビュー:シャネル&ストラヴィンスキー
『芸術家同士の許されない愛は、ハッピーエンド』 / 昨年は『ココ・シャネル』(08)、『ココ・アヴァン・シャネル』(09)と高級ブランド「シャネル」の創始者ココ・シャネルに関する映画が相次いで公開された。シャネルについて門外漢の筆者であるが、この2作でシャネルの人生やファッションや恋愛へのポリシーを知ることができ、シャネルのブランドにも以前よりは興味が湧いてきて、シャネルのお店やロゴマークを見かけると「おっ!」と反応するようになった。だからと言ってシャネルで買い物ができるような財力は... 続きを読む
2010/01/17/19:00 | トラックバック (5) | 「し」行作品 ,今週の一本 ,富田優子
レビュー:シャーロック・ホームズ
『続編への期待を抱かせるジュード・ロウの男っぷり!』 / ガイ・リッチー監督が、本作の主役である世界で最も有名な探偵の1人、シャーロック・ホームズ役にロバート・ダウニーJr.を、彼の相棒兼同居人のワトソン医師役にジュード・ロウを迎えたと聞いた時は、正直なところ、「イメージが全然違う!」と抗議ものだった。アーサー・コナン・ドイルの小説に登場するホームズの活躍は、これまで多くの映画やテレビでも映像化されているし、何よりも「シャーロキア... 続きを読む
2010/03/30/23:53 | トラックバック (10) | 「し」行作品 ,富田優子 ,話題作チェック
主人公は僕だった
「主人公は僕だった」評/文学的な、あまりに文学的な (ネタバレの可能性あり!) 創作の秘訣を問われた作家が「キャラが動き出すのを待つ」と答えるのを耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。新人脚本家のザック・ヘルムのオリジナル脚本を映画化した本作... 続きを読む
2007/05/23/00:04 | トラックバック (2) | 仙道勇人 ,「し」行作品 ,今週の一本
実録・連合赤軍―あさま山荘への道程(佐藤)
『“カワイイ女”で何が悪いか――“革命”にすべてを賭けて』 / 暴力革命への過度の憧憬をこめるでなく、スキャンダラスに内ゲバを描くでなく、青臭い男子と女子の集団劇として、愚直なまでに誠実にゴロンと提示したことがこの映画のヴィヴィドな衝撃の根底にあるとオレは感じています。――もう、お察しでしょうが... 続きを読む
2008/03/09/19:36 | トラックバック (0) | 佐藤洋笑 ,「し」行作品 ,特集「実録・連合赤軍」
実録・連合赤軍―あさま山荘への道程(河田)
『「連合赤軍」への或る個人的な感想。』 / 以下、個人的かつ概念的な感想に終始した文章になってしまいましたが、この映画を正面から受け止め考えるにあたって、どうしてもこの道筋を避ける訳にはいきませんでした。 映画そのものについての具体的な感想については、こちらの僕のblogの文章を併読していただけると... 続きを読む
2008/03/15/20:14 | トラックバック (0) | 「し」行作品 ,河田拓也 ,特集「実録・連合赤軍」
昭和八十四年~1億3千万分の1の覚え書き/富田評
『「語り継ぐ」ことの大切さや苦しみを改めて思う』 / 毎年8月には戦争に関連するドキュメンタリー番組や映画、ドラマ等が盛んに取り上げられる。確かに、8月には広島・長崎への原爆投下(6日、9日)や、終戦の日(15日)があって、1年のなかで戦争を振り返るには絶好の月であることには間違いない。戦争を振り返るということは、戦争を体験した世代から、その悲惨な経験を語り継いでもらうことが最も効率的(という言い方は適切ではないかもしれな... 続きを読む
2009/08/21/13:10 | トラックバック (0) | 「し」行作品 ,富田優子 ,話題作チェック
昭和八十四年~1億3千万分の1の覚え書き/若木評
『たたかい続ける人の心を誰もがわかってるなら』 / 製作・上映もろもろを含めた映画のデジタル化。この約10年のうちに、すっかり既成のこととなりましたね。僕たちはその推移にリアルタイムで接してきた分、いつのまにか馴染んでいて、それがどういう意味を持っているか、ちょっと把握が遅れているところがあります。フィルムからデジタルへの移... 続きを読む