13 痴漢電車 下着検札(滝田洋二郎)………………………… | 島田 慎一 |
14 地獄のローパー 緊縛・SM・18才(片岡修二) | |
15 ねらわれた学園 制服を襲う(渡邊元嗣)…………………… | 港 岳彦 |
16 ぼくらの季節(廣木隆一) | |
17 緊縛鞭とハイヒール (北川徹(=磯村一路)) | |
18 制服監禁暴行(福岡芳穂) | |
19 変態家族 兄貴の嫁さん(周防正行)……………………… | 佐藤 洋笑 |
20 神田川淫乱戦争(黒沢清)…………………………………… | 小林 泰賢 |
21 愛奴人形 い・か・せ・て(望月六郎) | |
22 菊地エリ 巨乳(細山智明)………………………………… | 島田 慎一 |
ピンク創世記 | 70年代黄金期 | 80年代ニューウェーブ |
四天王と90年代 |
ピンク七福神 |
大蔵ヌーヴェルバーグ/00年代ニューウェーヴ |
ウェイルメイド作家たち |
◆加藤義一監督インタビュー
2月28日(土)より3月20日(金)まで、
シアターイメージフォーラムにて開催!
痴漢電車 下着検札 ( 1984年/新東宝/64分 )
監督:滝田洋二郎 脚本:高木功 出演:竹村祐佳、風かおる、螢雪次郎、中山光男、竹中ナオトピンク映画からロマンポルノ、一般劇場公開作へと活動の舞台を移し、今や米アカデミー賞まで手中にした滝田洋二郎は、撮影所システム崩壊後の出世魚コースを最も典型的に歩んできた監督といえるだろう。ピンク時代にヒットを飛ばした、監督の原点ともいえる痴漢電車シリーズのなかでも、とりわけ高い人気を誇る本作には、ジャンルものの枠組みのなかに、エロ、ミステリ、歴史劇、スラップスティック、マスコミ批判など、多彩な要素がこれでもかと詰め込まれている。螢雪次郎と竹村祐佳の探偵コンビのお下劣ギャグに漂う、品のいい遊戯性は今観ても新鮮。初期の持ち芸の一つ、松本清張の顔面・形態模写をそのまま役柄にした竹中直人(本作がスクリーン・デビュー)を目にできるだけでも、トクをした気分になれるはず。横溝正史作品からのアイディア借用も、ミステリ・マニアをニヤリとさせることだろう。しかし、この作品の傑作たるゆえんは、編中にばらまかれた思いつきのようなエピソードの数々が、結末に向けてアクロバティックに回収されていく爽快感にある。けっしてベタな展開に堕ちず、観客の不意を突くセンスの良さは、舌を巻くばかりだ。
ねらわれた学園 制服を襲う ( 1986年/新東宝/59分 )
監督:渡邊元嗣 脚本:平柳益美 出演:橋本杏子、田口あゆみ、清川鮎、螢雪次郎成人映画館では新作一本と旧作二本の三本立てが普通だ。新宿国際名画座で本作を見たのは去年のことだった。映画史発掘にちっとも熱心でない筆者は、確か渡辺護監督の新作を見に行って、このとんでもない傑作に出くわしたのだった(記憶違いだったらごめんなさい)。いや、ぶっ飛んだ。これ全編「スケバン刑事」の見事なパロディなのだ。しかも考え得る限りの「くだらなさ」に徹底している。あんま詳しく書けないけど音楽・効果音的に「以下自粛!」と言わざるを得ない部分もあったりなんかして、色々な意味で腹を捩らせて笑ってしまった。名器養成ギブスを装着したスケバン(橋本杏子)が、復讐のためにある学園に乗り込む。その復讐の理由がもう絶句するほどくだらなくて最高なのだが、ここで細部をばらすのはよそう。何も考えずに接してほしい。心の底から笑いたければまず間違いなくこの映画だ!
変態家族 兄貴の嫁さん ( 1984年/国映/62分 )
監督・脚本:周防正行 出演:風かおる、大杉漣、下元史朗、山地美貴『お嫁さん日和』なる原題を持つと伝えられる、小津安二郎監督『晩春』のピンク映画的アダプテーションを施された“続編”。そう、巷伝えられる小津的世界のパロディという言葉は、この映画には適切ではない。監督自身もどこかのインタヴューで吐露していたが、ここで展開されるのは、“マネ”なのれす。いや、それでも言葉として弱いか、近年、田中圭一が連発している“並外れた憧憬の果てに手塚治虫のペンタッチを完全に身に着けた田中が、自身の濃ゆくて捩れた資質を全面に押し出して執筆しているお下劣マンガ”に相通じるグルーヴといいますか、誰も予想し得ない、つまりは期待するわけもない形での続編がとりあえず実存として、ここにゴロンと転がっているわけですね。なので、小津タッチとピンク描写の遭遇に“ギャグ”を求めると肩透かしを食らうし、それを求めるというのもヤボというもの。あまりの滑らかな展開に、どこで笑っていいいのか悩ませるケッタイな空気こそ、非日常らしくない非日常を描いて、ヒットを飛ばすことなる周防正行の肝なんでしょう。その象徴が、まったく老けメイクも施さず、ただただ笠智衆の動きをトレースすることで奇妙なグルーヴを醸し出す大杉漣ではないかと存じます。
神田川淫乱戦争 ( 1983年/ミリオンフィルム/60分 )
監督・脚本:黒沢清 出演:麻生うさぎ、美野真琴、岸野萌圓、森太津也(森達也)立教大学の自主映画サークル人脈が映画美学校、東京藝大大学院へと連なって行く日本におけるアカデミックな映画製作というオルタナティブな流れを作った重要な作品と書くと大げさかもしれないが、一時の学生映画ブームの延長ぐらいに思っていた80年代半ばのころを思うと、その後のOV作品や「勝手にしやがれ!!」のシリーズなどを経ても未だに成立している結びつきは、黒沢監督だけでなくこの映画にかかわった人々が、当時から現在につながるブレのない視点を共有していたということには脱帽しないではいられない。
恋人とのセックスにさえも倦怠を感じる主人公が、神田川を挟んだ向かいのマンションの受験生と母親の近親相姦に「いかん!ゆるせん!」と擬似戦争である奪還作戦に楽しみを見出す。ところどころゴダールの影響を感じさせる活劇とユーモアのセンス。音楽の使い方の絶妙さや、ラスト神田川の戦い、エンドクレジットなど、見所満載。
菊地エリ 巨乳 ( 1986年/新東宝/62分 )
監督:細山智明 脚本: 鴎街人 出演:菊地エリ、池島ゆたか、橋本杏子、藤村真美菊池エリというプロフェッショナルに徹したAV女優とまともに向き合おうとすると、性のビジネスそのものについて考えずにはいられなくなるのだろうか。まぎらわしい題名の『菊地エリ 巨乳責め』(88、廣木隆一)もまた、彼女の初主演ピンクである本作と同じく、AV業界の内幕を描いた青春映画だった。実直なフリーのマネージャー(池島ゆたか)が、これまた生真面目にAV女優業に専心する菊池エリに抱いてしまった恋心をひたすら辛抱する物語は、「あるヌードモデルとマネージャーの不慣れな恋の物語」というこの映画のシナリオタイトルそのもの。監督は『お天気お姉さん』、『レズビアンハーレム』で名高い細山智明。冒頭から丁寧に積み重ねられる、節度を守った引きの構図を見ていると、ああ、映画に身も心も奪われた人の映画だな、と思う。純な恋心を男の勃起で見せるというアイディアもすばらしい。もしかしたら恋人になれたかもしれない、引き裂かれた二人の再会シーンで初めて使われる、男と女の確信的なカットバック(切り返し)に、映画への愛が満ちている。オールドAVファンには懐かしい、藤村真美、中村京子のカメオ出演にも注目あれ。
ピンク創世記 | 70年代黄金期 | 80年代ニューウェーブ |
四天王と90年代 |
ピンク七福神 |
大蔵ヌーヴェルバーグ/00年代ニューウェーヴ |
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◆加藤義一監督インタビュー
チケット
- 前売り券: 1,200円【劇場窓口、チケットぴあ [Pコード:460-542]】
- 当日料金:一般 1,400円/シニア・会員 1,000円
- リピーター割引あり(チケットの半券提示で一般料金より200円引き)
- 整理券制/各回定員入替制
2月28日(土)より3月20日(金)まで、
シアターイメージフォーラムにて開催!
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