安藤 桃子 (映画監督)
映画『0.5ミリ』について【3/3】
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2014年11月8日(土)より、有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー!
(取材・撮影:わたなべりんたろう)
――安藤サクラさんの肉体性が随所に出ていて良かったです。階段から転げ落ちたり、取っ組み合いのケンカをしたり。それらのシーンはテイクは重ねている?
安藤 重ねていないです。マコトが髪を切るシーンや津川さんの長回しも本番1テイクですね。
――サクラさんを初めて観たのは「愛のむきだし」で、あの肉体性が印象的だったので今作も生かしているなと思いました。
安藤 サクラに関しては意識も何も小さな時から見てきて、他の出演作を見ていても「安藤サクラの美しさってそんなところにとどまらないでしょう」って思いもあり、誰と仕事してもプラスマイナスはあるけどプラスにするべき一番重要な部分として、生まれた時からずっと見てきている姉妹だからこそ知っている顔があって、それを映画の中で出したいのはありました。それが出来るのは私だとの思いもありました。
――このポスターのサクラさんの顔もその1つ?
安藤 全部です。人は生きてたら、刻一刻と全部が連続性の中にあるわけだから。人は生き物で2度とないものを撮りたい。映画はその切り取りが出来るところが素晴らしいなと。映画も人生も瞬間の連続だから。
――こういう老人を描いた映画で土屋希望さん演じる片岡マコトのようなキャラクターは普通は入れないと思うんです。老人介護の枠から一歩外れて、主人公がマコトと関わることで映画は終盤に向かっていくわけですが。
安藤 世代のバトンタッチも描きたかった。子どもはイコール未来ですし、「カケラ」も食べるシーンが多かったけど食べるシーンや料理のシーンを今作でも多く入れたのは食べる行為は生きる行為に直結しているからなんです。マコトの役は未来につなげていくもの、でも今が明るい未来につながっているかといったら若者は若者で重い問題をいくつも抱えている。日本は素晴らしい国だけど、どの世代も問題がありすぎて、その問題をできるだけ今作で切り取りたいなと思ったんです。全部連動しているから。
――今作の高知の町でそういう今の日本が抱える多くの問題を描きたかった。縮図のように?
安藤 そもそも日本人が持った民族性とコミュニティの作り方は生の扉に近い子どもたちと死の扉に近い老人たち、この両者を神に近い存在だとして、きちんと敬うべきものとして扱ってきた。この両者を大切にすることで真ん中に生きる我々は豊かな気持ちで優しく暮らしていける。平和の和もそうだし、輪っかの輪もそうだし、そのコミュニティの作り方が今、崩壊している。子どもたちや老人の両者や他の世代が切り離されている。そこをつなげたいなあというのは普段から思っていることです。そこは大切だと思います。
――今の日本で生きることが描かれた作品として見応えがありましたが、その日本人の民族性の指摘は興味深いです。今日はありがとうございました。
安藤 こちらこそありがとうございました。
( 取材・撮影:わたなべりんたろう)
出演:安藤サクラ / 柄本明 坂田利夫 草笛光子 津川雅彦
監督・脚本:安藤桃子
エグゼクティブ・プロデューサー:奥田瑛二 プロデューサー:長澤佳也
アソシエイト・プロデューサー:畠中鈴子 原作「0.5ミリ」安藤桃子(幻冬舎文庫)
撮影:灰原隆裕 照明:太田博 美術:竹内公一 録音・整音:渡辺真司 音楽:TaQ フードスタイリスト:安藤和津 主題歌「残照」寺尾紗穂 作詞・作曲:寺尾紗穂(アルバム「残照」収録)(発売元:MIDI INC./Published by YANO MUSIC PUBLISHING Co.,Ltd.) 助成:文化芸術振興費補助金
企画:ゼロ・ピクチュアズ 制作:リアルプロダクツ 製作:ゼロ・ピクチュアズ,リアルプロダクツ,ユマニテ
配給:彩プロ 宣伝:『0.5ミリ』三姉妹 広報企画:道田有妃 © 2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS
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2014年11月8日(土)より、
有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー!
- 映画原作
- (著):安藤桃子
- 発売日:2014/6/6
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