伊藤 洋三郎 (俳優) 映画『秋の理由』について【4/4】
2016年10月29日(土)より新宿K's cinemaにてロードショーほか全国順次公開
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――この作品に出演して印象に残ったことは?
伊藤 少人数でパッパッパと行ってパッパッパと帰ってくるので、機動力がよかったですね。人数が少ない方が好きなので。テストも1回しかしなくて、時間をあんまりかけないので楽だし。この映画の前にも『恋』(14)という映画を主演でやったんですけど、それも小さい映画で、地元の映画学校の学生が手伝ってくれて。中には働かないで座って煙草吸ってるやつもいるし、働く子は僕がコーヒー好きだとわかるとやたらコーヒーを持ってくるし。そういうのを見ているのがすごく面白くて。「あの子とあの子ケンカしているな」とかそういうのを見つけては、「ちょっと」って呼んで「何かあったの?」っていちいち訊いて(笑)。今回も、そういう人はいないんですけど、助監督が福間監督の学校の学生で、チーフもピンク映画を3本撮っている監督で。だからこういうのに慣れているんだろうけど、若いスタッフが現場で走り回っていて。走っている音を聞いて「あいつだ」ってわかるぐらいで、ひとりひとりの存在がすごくわかるからそれがいいんですよ。3人でやるところをひとりでやると責任を持つし、無駄な人がいないから。人が多すぎて、ここでは制作主任が来て、こっちではチーフが呼びに来て、誰のことを信じたらいいんだろう?というような現場もあるんですよ。そういうのは無駄に思えてしまうんですよね。少人数のほうがいいですね。楽しいです。
――これからはどんな活動をされていきたいですか?
伊藤 何も考えていないですね。これから1本舞台の脚本を書かなきゃいけなくて、映画の企画もあるけど、先のことはノープランです。舞台と映画をこれからも両立させていけたらいいなと思います。
――最後にお客さんへのメッセージをお願いします。
伊藤 秋とか街とか、普段の生活で身の回りにあるものをもう1回味わってもらえる映画じゃないかなと思います。ときどき中国に行くんですけど、中国には四季もあんまりないし、緑もないところには全然ないし、空気も汚いし。日本ってそういうものがすごく豊かで、それに囲まれて生きているんだなあと思いました。食べ物とかも秋の実りを食べて。そういうふうに普通に生きている人たちの映画です。大きな事件は起きないけど、男はまあだらしないけど(苦笑)、日本人が本来持っていたものをもう一度感じてほしいです。
( 2016年9月8日 新宿ケイズシネマで 取材:深谷直子 )