大川 五月 (監督) 映画『リトル京太の冒険』について【4/6】
シアター・イメージフォーラムにて4月28日まで絶賛上映中!
名古屋シネマテーク、京都・立誠シネマにて5月27日(土)より上映 以降、全国順次公開予定
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――(笑)。短編は多くの国際映画祭で上映されていますが、海外の反応で印象的なのは?
大川 すごく単純なことでは、ティム先生の訛りがイギリス以外で大爆笑になりますね、「あんな英語喋ってるよ」って(笑)。カタールの子供映画祭では、100人ぐらいお子さんの審査員がいて、監督も一緒に7本ぐらいの候補作を観たあとすぐ投票して賞を決めるというものだったんですが、私の作品だけすごい笑いが起こったので「もらったな」と思いましたね(笑)。審査員をやった子たちがインターナショナルスクールに通っていて、英語を話す子たちなんですよね。ティム先生の訛りはそんなにきついものでもないんですけど、すごく面白かったみたいで、仕掛けた笑いのポイントが何倍にもなって返ってきました(笑)。他には頭巾についての質問がいろいろ出ました。「あれは何なんだ?」とか「他の人はどうして着けないんだ?」とか。映画が震災のことを描いているということに気付くタイミングも国によっていろいろだったので、それを踏まえて、長編を撮るときには最初に頭巾の役割を説明しなくちゃいけないな、と思って防災訓練から始めました。
――なるほど。長編は、今までの短編の場面そのものも取り入れて作っていますが、脚本や編集が大変だったのではないでしょうか?
大川 そうですね。脚本は最初に短編のシーンを組み込んで構成していたんですけど、それがなかなか上手くいかなくて、プロデューサーたちに「短編は抜いたほうがいいんじゃないか? 長編だけの物語にして短編は忘れましょう」と言われました。私としては短編は絶対に必要だろうと思ったんですが、そこで言い張るのもよくないなと思って、あとで必然的に戻ってくるだろうから今は従おう、と(笑)。それで短編は抜いて長編だけで成り立つように脚本を書いたのですが、あとで短編が入りやすいような形で構成を組んでいました。編集のときには、短編のシーンをどこにどう入れようかと考えながら、入れないバージョンでまず編集して、それを見せたら「やっぱり足りないかも、短編も入れたほうがいいかも」という話になって、「そうですか?」って言いながらも心の中では「よし!」って(笑)。そこからまた大変でしたね、脚本を書きながら考えたようには戻らなくて。どこからどこまでをどういう流れで見せるか、そこに行き着くまでが大変でした。
――短編は過去の回想シーンとして使われ、とても自然に繋がっていましたが、過去と現在が入り混じるので作業は複雑そうですね。
大川 過去をどうストーリーに絡ませてどんな流れにしようかとずっと考えていて、試行錯誤しましたね。「こんなことがありました、あんなことがありました」と羅列するのか、それとも誰かの視点で過去を切り取って、それをまた別の人の視点から見せていくものにしようか?とか。最後のほうは、絹子という人物や、絹子と京太の親子の関係を説明するために短編を使いました。
出演:土屋楓,清水美沙,アンドリュー・ドゥ,木村心結,眞島秀和,ステファニー・トゥワイフォード・ボールドウィン ほか
監督・脚本・編集:大川五月
プロデューサー:杉浦青 音楽:HARCO
撮影:千葉史朗 照明:上野敦年 録音:長村翔太 美術:宇山隆之 助監督:清水艶
製作:リトル・ネオン・フィルムズ 制作プロダクション協力:テトラカンパニー
特別協力:わたらせフィルムコミッション,桐生市,みどり市,公益社団法法人 桐生青年会議所
特別協賛:コトプロダクション 配給:日本出版販売 宣伝:キャットパワー ©2016 Little Neon Films
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