映画『ゆきゆきて、神軍』
公開30年記念上映
2017年8月12日(土)~8月18日(金)、アップリンク渋谷にて開催
- 8/13(日)茂木健一郎(脳科学者)
- 8/14(月)春日太一(映画史研究家)
- 8/15(火)渡辺えり(劇作・演出・俳優)
- 8/17(木)井上達夫(東京大学大学院教授<法哲学>)
「知らぬ存ぜぬは許しません」元日本兵が過激に問い続けた戦争責任。
日本映画界が震撼し、世界の映画人に影響を与えたドキュメンタリー映画の傑作。公開30年を記念し、連日ゲストを迎えてのイベント上映開催
1987年8月1日に渋谷のユーロスペースで封切られた『ゆきゆきて、神軍』は、ドキュメンタリー映画としては異例の26週間に渡る大ロングランとなり、約5万3000人を動員した。これは同劇場の歴代興行成績の中でも一位の数字で、今なおその記録は破られていないという。
その後、作品の評判は全国に広がり、現在では当たり前になった感のある「映画館でドキュメンタリー映画を観る」というスタイルの先駆けとなった。また、話題性だけでなく、作品自体もベルリン国際映画祭カリガリ映画賞や日本映画監督協会新人賞など、その年の映画賞を独占し、『ボウリング・フォー・コロンバイン』で知られるマイケル・ムーア監督が絶賛するなど世界中の映画人に影響を与えるほど国内外で高く評価された。
現在では日本のドキュメンタリー映画の代表作が選ばれる際にはほぼ確実にその名が挙がる金字塔的作品である本作だが、その反面、自らをたった一人の“神軍平等兵”と名乗る奥崎謙三の奇矯さや、その奥崎を執拗に追いかける原一男監督の過激さといった内容の異色さゆえに、上映や公開される機会が極めて限られている作品でもある。
今回、作品公開から30年という節目を迎えることを記念して、世間の目も気にせず、我が道を貫いた奥崎謙三が問い続けた戦争責任、権力やタブーに抗って生きていくことを改めて考える上映イベントが、アップリンク渋谷で開催されるはこびになった。原監督がオファーしたゲストや、ネット上で募ったリクエストで決まったゲストを交えて、とことん語りつくすという激アツな一週間。作品未見の人はもちろん、すでに観たことがあるという人も、ぜひこの機会を逃さず劇場まで足を運んでみて欲しい。
87年の日本映画界を震撼させた驚愕の作品。天皇の戦争責任に迫る過激なアナーキスト・奥崎謙三を追った衝撃のドキュメンタリー。
神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、たったひとりの「神軍平等兵」として、”神軍”の旗たなびく車に乗り、今日も日本列島を疾駆する。生き残った元兵士たちの口から戦後 36 年目にしてはじめて、驚くべき事件の真実と戦争の実態が明かされる……。平和ニッポンを鮮やかに過激に撃ち抜いた原一男渾身の大ヒット・ドキュメンタリー。
『ゆきゆきて、神軍』( 1987年/122 分/DCP )
監督・撮影:原一男 製作:小林佐智子 録音:栗林豊彦 編集・構成:鍋島惇